産廃税
◯十一番(原竹 岩海君)登壇
皆さん、こんにちは。緑友会・新風の原竹岩海でございます。
私は、産業廃棄物問題と産業廃棄物税の件と、アジア地域戦略を踏まえましての道州制についての二件を、事前通告に従いまして質問させていただきたいと思っております。
まず初めに、産廃税に関する件でございます。九州地方知事会におきまして、来年四月から福岡県を含みます九州七県で産業廃棄物税を共同導入することで同意がなされ、これを踏まえ今議会におきまして産廃の排出抑制、再生利用等の促進を図りながら循環型社会の実現に資することを目的とした条例案が上程をなされ、おおむね六億円の税収を見込まれているところでございます。麻生県知事は、法定外目的税の本産廃税の導入実施に向け、その会長として強力なリーダーシップを遺憾なく発揮されたところであります。本件に関しましては、県民からも麻生県知事の環境問題に取り組む姿勢を高く評価されるものと確信をするところであります。これらを踏まえまして、幾つかの質問をさせていただきたいと存じます。
まず、福岡県下での税の徴収業務の対象となる事業者数はどれぐらいになるのでありますでしょうか。これは、環境部長にお尋ねをいたしたいと存じます。
次に、自社処分場での本税の取り扱いについてであります。納税義務者が事業活動に伴う産業廃棄物を排出する事業者であることから、あらゆる分野にわたるものと推測されるところであります。また、委託処理については、税の効率的な徴収方法として特別徴収方法を採用されるとしておられますが、自社処分のその課税については、先般長崎県におきまして課税のあり方等をめぐり議会を巻き込んでさまざまな動きがあっておるようでありますが、本県におかれましては自社、委託を問わず例外なく一定のルールに従って課税がなされるのでありますでしょうか、お尋ねをいたします。
次に、産廃税の課税免除等についてお尋ねをいたします。産業活動はもとより、農業活動から出る廃棄物や医療廃棄物についても一トン当たり千円の課税を実施されるようでありますが、課税の減免の措置や免除措置等についてはどのようになっておるのでありますでしょうか。
また、本件に関し北九州市との関係についてお尋ねをいたしたいと存じます。北九州市は、昨年十月から産廃のリサイクル推進と環境対策の財源確保を目的として、九州で初めて産廃に課税する法定外目的税環境未来税を導入し、市内の産廃処分業者八社を納税義務者として、福岡県が設定をいたしております同じ金額で先行実施をされておりますが、産廃が北九州市やほかの政令市等の処分場に搬入されても市域外への搬入と同様に課税の公正性並びに公平性が図られるべきであると思うのでありますが、それらの調整が果たしてなされておるのかをお尋ねいたしたいと存じます。
これらの実施により、今後産廃の不法投棄が、福岡県の目的とは反対に増大をするのではないかとの不安の声も一部では聞かれるところでございますが、不法投棄防止の具体的な対応が私は急務と思いますが、具体的な対応策についてお伺いをいたしたいと思います。
この項の最後といたしまして、税の使途について私の思いと政策を含め確認と質問をさせていただきたいと存じます。
福岡県では、産業廃棄物処分場に関して自治体や住民との紛争が起きているところが、私どもの筑紫野市平等寺を初め、嘉穂郡、田川郡、八女郡、福間町、行橋市、山門郡など多くありますことは周知のところであります。ちなみに私が住んでおります筑紫野市は、産廃に関する問題による環境調査費として、市内の一つの地域だけでも、平成八年の水質検査費約二十二万円から、本年の四月周辺環境調査費五百七十万円まで、実に合計一千七百万円余の市民の貴重な税金が拠出をなされておるわけであります。これらの現状を踏まえまして、この際、財政が厳しい自治体に対して、本来福岡県がしなければならないと思われる産業廃棄物に起因する環境調査費や環境パトロール等の関係経費等については、環境の目的税である本税を積極的に配分をするべきであると私は強く訴えますが、麻生知事の明快なる御回答を賜りたいと存じます。
次に、アジア地域戦略を踏まえましての福岡県を中心としましたいわゆる道州制について、私の考えと政策を含めて、麻生知事の思いなり政治の姿勢をお伺いをいたしたいと存じます。我が国の政府と地方自治体の借金は実に七百兆円をはるかに超えるとともに、特殊法人等に関する財政投融資の借金を含めますと、一千兆円を超えてしまい、一千四百兆円あると言われております私ども国民の金融資産もほぼ数字的には食い尽くされ、今後も確実に増大をいたしてまいります膨大な借金を、人類史上類を見ないスピードで少子、高齢化が進んでまいり、減少いたしてまいります国民がどのようにして財政の健全化を図っていけばいいのでしょうか。今議論をされております年金問題、この顕著な事例ではないでしょうか。また、県民等のニーズの多様化に対応しようにも、明治の時代からの中央集権というしばりにも似た制度がございまして、行政サービスの迅速化に多くの支障が起こっておることは周知のところであります。このような財政的、構造的に危機的な日本を抜本的に再構築をしていこうと、政府では地方制度調査会や福岡県では知事会等で、市町村合併はもとより、県同士の合併や道州制、連邦制等が熱心に議論されているところであります。
道州制に関する国の動きといたしましては、平成元年、臨時行政改革推進審議会いわゆる第二次行革審におきまして、国と地方の関係等に関するその答申の中で道州制について都道府県連合制度の導入及び都道府県の自主的な合併の整備を踏まえつつ検討を進めると提言され、その後第二十四次地方制度調査会、地方分権推進委員会、経済審議会、経済財政諮問会議等でそれぞれの協議がされ、第二十七次地方制度調査会においては、昨年十一月総理大臣に対し、今後の地方自治制度のあり方に関して答申がなされております。主なものといたしましては、道州制の導入に際しては道府県を廃止し、より自主性や自立性の高い広域自治体として道または州を設置するとともに産業の振興や雇用、国土の保全、広域防災、広域ネットワークの構築などの権限を政府から移譲するとなっております。私は、国や地方が抱えております財政問題を初めとする諸問題の抜本的解決をしていくには、道州制の導入は大きな選択肢の一つではないかと思うのであります。これらを踏まえまして幾つかの質問をさせていただきたいと存じます。
九州地方知事会の道州制等都道府県のあり方を考える研究会では、どのようなことが研究されておるのでありますでしょうか、でき得る限り具体的に御報告をお願い申し上げたいと思っております。
また、私は九州の全県が同時に道州制に移行することは財政的にも大変困難なことではないかと思うのであります。九州の県民所得等は、福岡県と大分県及び佐賀県を除きましては全国的にも下位を占めておるのが現状であります。よって、福岡県と佐賀県並びにその先の長崎県が先行的に道州制へと移行し、財政的な基盤を構築した後に、九州南部と漸進的に合流していくのが現実的ではないかと思うのでありますが、麻生知事の御見解を賜りたいと存じます。
次に、県のアジア戦略の中でアジアの拠点に事務所等を設置しておられますが、アジアでの雄県福岡という計画を実効ならしめるには、アジアの多くの人々や物量を受け入れることができるよう、道州制の実現によりまして経済基盤や社会資本の確立と人口増や空港並びに湾岸の整備や新幹線、高速道路等交通体系の整備等を初め、今から始めましても、すべてが稼働するには膨大な時間が必要となります。これらを踏まえまして、福岡県を中心とする北部九州の道州制移行によるアジアと日本の新たな関係が構築されていくと思うのであります。アジア戦略を踏まえた道州制の導入につきまして、麻生知事の御所見を賜りたいと存じます。
一回目の質問を終わります。
◯副議長(重野 正敏君)
麻生知事。
◯知事(麻生 渡君)登壇
産廃税につきまして、産廃を自社で処分した場合の税の課税を行うかどうかということについてでございます。この産廃税の目的でありますけれども、これはすべての産業廃棄物の排出を抑制しよう、またリサイクルを促進しようというものでございます。そして、この産業廃棄物が自社の中で処理されようと外部に対して処理されようと産業廃棄物そのものを減らそうということでありますから、政策の目的からいうと同じようなものと考えなければいけません。また、環境負荷という点につきましても自社であろうと委託であろうと同じであるというふうに考えております。したがいまして、産廃税は自社で処理しようとあるいは外部に委託しようと同じように課税対象にするという考え方をとっております。
産廃税の課税免除はどういう場合に行うかということでございます。産廃税は県内の焼却施設、最終処分場への産業廃棄物の搬入について産廃のどんなものであるかという種類にかかわらず課税をすることといたしております。しかし、焼却施設への搬入でありましても、例えばセメント製造に見られますように産業廃棄物を原料として再利用するという場合がございます。また、産業廃棄物を利用いたしまして発電をする、その発電した電力を売るというものがございます。これは一種の産業廃棄物の有効利用、リサイクルであるわけであります。このようなものにつきましては、まさに最終的に目標としております循環型社会づくりそのものに資すると考えられる施設でございますから、これにつきましては、課税を行わないという特例にいたしております。
北九州市との環境未来税との調整についてであります。北九州市におきまして環境未来税が課されておりますが、この課税の対象となります産業廃棄物につきましては、二重課税を避けるということが必要でございますから、我々の方では課税の免除を行うというやり方をとっております。その結果、県内のいずれの処分場へ産業廃棄物を搬入いたしましても税負担は公平であるという課税にしておるわけでございます。
不法投棄の防止対策についてであります。まず不法投棄の防止につきましては、監視態勢の強化が必要であると考えております。現在、不法投棄防止対策といたしましては、廃棄物適正処理指導専門員を配置をいたしております。また、産業廃棄物運搬車両の検問を行う、スカイパトロール──空から見るというヘリコプターによるパトロールを実施いたしております。また、不法投棄の未然の防止という観点からは、今開発されておりますICタグという新しい技術を利用いたしましてこれを捕まえていく、このための新たなシステムの開発と普及に取り組んでおります。このような対策を今後とも関係機関と協力をいたしまして実施をしていく、これによって不法投棄の防止を進めてまいる考えでございます。
今回の産廃税を使いました市町村に対する支援についてであります。産業廃棄物の処分場があります市町村におきましては、処分場の環境調査といった活動あるいは人員を配置する経費を生じている状況にあります。したがいまして、産廃税収を活用いたしまして、それぞれの地域の実情に応じました支援策を検討してまいりたいと考えております。
次に、道州制の議論についてであります。九州地方知事会の方では、このたび道州制を初めといたしまして今後の都道府県のあり方について本格的に研究するという活動を始めております。これは一つは、市町村の合併がずっと進んでいった場合に県というものが今の状況でいいのかということ、もう一つはこれは後の質問とも非常に関係してくるわけでありますけれども、我々の周辺地域では中国あるいは韓国を中心に非常に活発な経済発展、またいろんな社会システムの開発が行われております。そういう状況を見た場合に、これと今後は国際的、国境を超えた地域間の協力と競争ということをやっていかなければいけませんけれども、それを考えた場合にこの今のような我々の地域、地方単位として最高であります都道府県でうまくやっていけるのであろうかというような国際的な情勢の変化、そしてまた日本全体といたしましては、地方制度調査会が今後本格的に道州制問題を初め、都道府県のあり方を検討するということになりました。これに対して我々としても積極的に我々としての研究をし、必要な意見を言っていくということをきちっと持たなければいけないというような問題意識から、これをやっていこうということにしたわけでございます。今、後ほど総務部長の方からもあるかと思いますが、こういう道州制についての具体的な論点整理をし、それぞれの論点ごとに外部のいろんな頭脳も動員した形で研究を進めていくという状況でございます。したがいまして、今の段階で北部九州、北部三県だけの道州制がいいんじゃないかとか、あるいは九州一体がいいんじゃないかということについてこの段階でいろんなことを言うだけのまだ研究段階になっていない、評価できる段階になっていないというのが率直なところでございます。
また、アジア戦略を踏まえたということを考えました場合には、北部九州での三県なりの道州制というようなことを考えるのが必要なんではないかという御質問でございますけれども、アジア戦略といいましても、いろんな側面があるわけでございますが、北部九州が一体となってやった方がいい事項と、そうじゃなくてむしろやっぱり九州全体でやった方がはるかに効果的であるという事項があります。例えば、今我々は九州知事会と経済界がアジア戦略会議をつくっておりますが、その最も中心的なテーマは観光でありまして、九州観光を戦略をつくって実行しようと、やはり九州という売り込みをしなければ、なかなか効果的な観光の政策にならないんじゃないかという問題意識であります。例えば福岡県、今ITとか半導体政策を進めておりますけれども、これもIT、半導体ということを考えますと、例えば熊本県とかあるいは大分、あるいは宮崎、ああいうところに非常にすぐれた工場なり頭脳が集積しておる、これと合わせた格好でアジアとの競争、協力関係をつくっていくということが不可欠な状況であります。
一方で、私ども北部九州は、海峡サミットというのをやっておりまして、韓国との間では非常に密接なサミット関係をつくり、協力関係をつくっているわけであります。そういうことがあるわけでありますけれども、ただアジア戦略といった場合に北部九州で固まることがいいかどうか、これはやはり今の道州制の研究をしっかり進めていく中で考えていかなきゃいかぬというふうに思っています。
◯副議長(重野 正敏君)
江口総務部長。
◯総務部長(江口 信介君) 登壇
最初に、産廃税の特別徴収義務者の数でございます。産廃税の徴収につきましては、効率的に税を確保する必要がございますので、処理業者によりますところの特別徴収の方法を採用することといたしております。この特別徴収義務者となります処理業者数は、最終処分業者が約六十、焼却処理業者が約七十の合わせて約百三十業者となる予定でございます。
次に、九州地方知事会におきます道州制等の研究会の論議の状況でございます。道州制など都道府県のあり方につきましては、ことしの二月に九州地方知事会における研究会を強化いたしまして、新たな態勢として発足させたところでございます。この研究会では、道州制を初め都道府県の合併や連合などに移行する場合のメリットあるいは課題などについて比較検討いたしまして、今後の都道府県のあり方につきまして各県と共同で研究を進めるものでございます。今後は、研究会では仮に九州が道州制に移行した場合の論点整理を来年の春までに行うことを目標といたしておりまして、必要に応じまして国に対し提言ができるようにしたいと考えているところでございます。
◯副議長(重野 正敏君)
原竹岩海君。
◯十一番(原竹 岩海君)登壇
ありがとうございました。産廃税に関しましては、これは施行されますのは来年でございますので今後とも見守ってまいりたいと思っております。私、産廃に関しまして知事に気がついたことがございまして、それは一方の道州制について政務調査をやっておりましたときにでございますが、第二十七次地方制度調査会に──平成十四年九月に開催をされたようでございますけれども、その席に我が麻生知事が参考人として出席をされておりまして、その中で、産廃問題をしっかりと延々と訴えておられました。一つは、産廃の問題を解決をしようにも福岡県の権限と政令市との権限、整理をしっかりしないと事業所と産廃の処分場が別々にある、こういったところでその辺でも分権のいいところと悪いところ、この辺のところをしっかりと訴えておられました。まあ、麻生知事のこういったところでの産廃の取り組みについても本当に感動をいたしたところでございまして、今後とも引き続き産廃の抜本的な問題の解決のために先頭に引き続き立っていただきますことを強く要望をいたしておきたいと思っております。
もう一点、これも今回は要望に一応とどめさせていただきたいと思っております。道州制の問題でありますが、三がいいか七がいいかという議論がありますけれども、私は三がいいという考えですが、最終的にはどちらでもいいと思う──できればどちらでもいいという考えですが、一つの事例だけ申し上げます。福岡県の人口は五百万人と聞いておりますけれども、佐賀県ですね、佐賀県の人口は八十七万人と聞いておりまして、福岡に二つ政令市がありますが、二つの政令市の中の一つよりも小さいといったところですね。そういったところでも県として残っておるということです。長崎県は人口は百五十万だそうでございまして、こういったところでも合理的にしっかりやっていく、そして三つが一本にまとまってですね、人口が七百三十万になります。アジアとのしっかり関係が結ばれましたらですね、人口はすぐ一千万に、私は近づくと思います。一千万というのは東京都の人口ではないでしょうか。こういったところで何を目標に、どういったことをしっかりやっていくかといったことでは一定の人口を目標にするということも選択肢の一つではなかろうかなと思っております。
そして、私は新幹線問題を訴えさせていただきましたが、世界で一番日本が自慢できることは、世界最高水準の新幹線の鉄道の技術であります。こういったものをですね、日本の郡部に引っ張ることも賛成です、反対しません。しかしながら、こういったすばらしい新幹線は、思い切って中国大陸の方まで伸ばしていく、そして戦前は軍事目的でトンネルの構想はあったようでございますけれども、戦後は平和的目標そしてアジアの経済の発展のためにしっかり寄与するということで、こういった新幹線をアジアの方に引っ張っていく、こういったことも将来の道州制に私はしっかり寄与するんではなかろうかなと思っております。
一つの事例でございますが、フランスの新幹線、フランスにありますが、韓国の新幹線は日本は落札で負けました。フランスがとったのであります。アジアの最終地はフランスがとりました。日本は負けました。ですから、ひょっとすると日本は台湾ぐらいにしか新幹線は敷けないのではないかなと。残っているのは中国大陸の新幹線をどのようにするかということでございますけれども、日本もしっかり頑張らないとセールスポイントがなくなってくる。要するに日本は動脈をしっかり、鉄道か道路をしっかり日本の技術でもって通していく、こういったことが必要ではなかろうかなと思っております。イギリスとヨーロッパ大陸をしっかり結んだドーバー海峡を掘ったのは日本の技術と聞いておりますが、こういった技術を持ってですね、しっかり今から先は日本の経済を支えるのは福岡が中心である、こういった勇気と自信を持って地方分権というものをしっかり絵をかいて確立をお願い申し上げたいと思っております。日本の時代を救ったのは歴史的にもその当時の政権を担っていた人たちがしっかり守ったわけではございませんで、一方の地方で頑張っておった人たちが見えないところがしっかり見えておったのではなかろうかなと思っております。私は、そういった面でも福岡、九州が中心となって日本の経済の復興をこういった道州制をもって先頭をしっかり切っていく、こういった気持ちで今後とも道州制問題、福岡県知事、しっかり頑張っていただきますことを要望申し上げまして質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。