平成16年度 地方分権推進対策調査特別委員会 (2004.11.16)

三位一体改革

◯三田村統之委員長 
 次に、「三位一体改革の動向について」、執行部の説明を求めます。
 瀬脇財政課長。

◯瀬脇財政課長
 それでは、三位一体改革の動向につきまして、資料に基づき御説明させていただきます。
 まず、その前に、本日十時からの県の総決起大会に委員長初め委員の先生方に御参加を賜りまして、まことにありがとうございました。改めて御礼を申し上げさせていただきます。
 それでは、委員会資料の二ページをお願いいたします。
 二ページ、三位一体改革の動向についてでございます。最近の動きについて御報告させていただきます。
 まず、一番目の概要でございますけれども、地方六団体としまして、国からの要請を受けた形で国庫補助負担金改革の案を八月二十四日に政府に提出させていただいておるところでございますけれども、それに対しましての国の各省庁の動向でございますが、これにつきましては、そこにお示ししてありますとおりでございまして、地方案に対する全くの拒否と、あるいは地方の自由度の拡大につながらないような交付金化でありますとか、あるいは補助率、負担率の単なる引き下げとか、そういったような代替案を示されておられるということで、あまり地方分権の推進という観点からの協力姿勢が見られていないという状況でございます。
 それから、二つ目の丸でございますが、特に、非常に地方側として問題視してございますのが、財務大臣の方が経済財政諮問会議等には出されておられます資料でありますが、この中で、地方の声に耳を傾けることなく、地方交付税の一方的な削減案というものを提案されておられるという状況でございます。財務大臣が会議に出された資料では、十七年度、十八年度、二カ年で七・八兆円程度の交付税を削減するといったような案を出されておられるところでございます。
 こういった状況でございますことから、政府によります三位一体改革の全体像の取りまとめ、これは当初十一月十八日ごろというお話を聞いてございましたが、若干また流動的になっておるようでございます。
 そういった取りまとめに向けまして、地方六団体などと連携いたしまして、国への働きかけというものに努めてまいっているところでございます。
 二番目でございますが、八月に政府に提出いたしました地方六団体の国庫補助負担金等の改革案についてでございます。こちらにつきましては、そこにお示ししておるとおりでございまして、まず、一つ目としまして、政府の方では十六年度から十八年度というのを三位一体改革の改革期間であるというふうにされておるわけでございますけれども、それだけじゃなくて、引き続き、第二期改革という形で、十九年度以降につきましても引き続き改革を進めていってもらいたいということでございます。最終的な姿としまして、所得税、あるいは消費税等といった基幹税によりまして、国から地方へ八兆円程度の税源移譲をしてもらうべきであると。それにあわせて、税源移譲額に見合った国庫補助負担金の九兆円程度の廃止ということを盛り込んでおるところでございます。当面の十七年度及び十八年度におきます改革といたしまして、さまざまな形で報道されてございますが、一つは、個人住民税の一〇%比例税率化ということによりまして、国税であります所得税から地方税であります住民税へ三兆円程度の税源移譲を実施すべきであるということでございます。こちらは、「基本方針二〇〇四」にも盛り込まれておる内容を踏まえたものでございます。
 それから、その税源移譲に見合うものといたしまして、今、総額で三・二兆円程度の国庫補助負担金の廃止、見直しということをやるべしということでございます。内容につきましては、その下に丸の一番から丸の五番で掲げてあるとおりでございます。経常的な国庫補助金、いわゆる奨励的な補助金が約六千億程度、それから、経常的な負担金、同じく六千億程度、それから、三番目は主に市町村関係でございますが、施設整備に関する国庫補助負担金、これも六千億程度と、それから、公共事業等の投資的な国庫補助負担金、これが六千億程度、それから義務教育費の国庫負担金が約八千億程度といったような形でございます。
 それから、税源移譲が行われましても、特に財政力の弱い団体につきまして、移譲額が国庫補助負担金の廃止に伴う財源措置すべき額に満たないということが想定されるわけでございまして、そういった団体につきましては、地方交付税の算定を通じて確実な財源措置をすべきであるといったようなことを盛り込ませていただいてございます。
 資料の一番でございます。四ページ、五ページでございますが、そちらの方に地方六団体の改革案の概要の資料をお付けしてございます。御参考までに御覧いただければというふうに考えてございます。
 若干、追加的に御説明をさせていただきますと、四ページの一番目で、改革案を提示するに当たっての前提条件ということを書かせていただいております。これは六団体が国からの要請に基づいて改革案を出すに当たって、こういう一定の条件を付した上で改革案を示しておるというものでございます。その一つは、国と地方の協議機関を設置してもらいたいと。その中で地方の意見を確実に反映させるというような仕組みをつくってもらいたいということでございまして、こちらの方は九月に組織が立ち上がりまして、現在まで五回程度開催がされておるということでございます。
 それから、(2)の「具体的な前提条件」ということで、ここは非常に今問題になっているところでもございますが、例えば税源移譲と補助金負担金の見直しとの一体的な実施でありますとか、あるいは補助負担金の見直しに合わせた確実な税源移譲が前提であるとか、あるいは交付税による確実な財政措置でありますとか等々、あるいは丸の五番で申し上げますと、負担転嫁の排除とか、そういったことを実行するということを前提条件として付しておるところでございます。
 また、二ページの方にお戻りいただきまして、二ページの下の方の三番目でございます。「地方による改革案提出後の動向」ということでございます。
 先ほど若干御説明させていただきました、六団体が改革案を出す前提条件としておりました国と地方の協議の場というものが開催されてございます。九月十四日に第一回の会合が開かれまして以降、五回にわたりまして、主に国庫補助負担金改革を中心にいたしまして、関係閣僚と地方六団体の代表者が協議をしておるところでございます。
 一枚おめくりいただきまして、三ページ目でございます。それから、その他の動きとしまして、一番中心となっています政府部内で議論、検討を進めております経済財政諮問会議におきましても、地方の改革案が出された一週間後、八月三十一日以降、四回にわたりまして、総務、財務、両大臣、それから民間議員を中心にいたしまして、特にこちらの方は地方交付税でありますとか地方財政計画につきましての議論がなされておる状況でございます。
 それから、十月二十八日でございますが、地方六団体の改革案に対します関係省庁からの代替案というものが示されてございます。こちらにつきましては、先ほど申し上げましたように、地方の改革案の趣旨を十分踏まえたものになっていないといったものになってございます。例えば一ポツ目でございますが、厚生労働省関係でございますと、例えば国民健康保険につきまして、代替案としまして都道府県の負担を新たに導入するとか、あるいは生活保護費、児童扶養手当給付費につきましては、現行四分の三の負担率を三分の二に引き下げるといったような負担率の引き下げ案というものを示しておられると。それから、農水省、あるいは国土交通省等につきましては、こちらは地方の裁量を拡大するという方向ではございますけれども、補助金負担金の廃止ということではなくて、単なる交付金化といったような案が示されてございます。
 それから、三ポツ目でございますが、文部科学省等につきましては、代替案すら示さないといった状況でございまして、現行制度の単純な維持ということを主張されておられるということでございます。
 申しわけございません、ここでは十一月十八日「三位一体改革の全体像取りまとめ予定」ということになってございますが、若干、今流動的になってきておるという状況でございます。
 それから、四番目としまして、本県としての取り組み方針でございますが、全国知事会等、地方六団体と連携いたしまして、以下の二点ということを特に重点としまして、強く国に働きかけをしてまいりたいというふうに考えてございます。
 一つ目としまして、この三位一体改革の趣旨、これは税財政面での自由度、自主性を高めていくということでございますので、そのために不可欠な税源移譲というものを実現するため、地方六団体の改革案に沿った形での補助負担金改革ということを進めていただきたいということでございます。
 それから、二つ目でございますが、特に財政力の弱い団体についてでございますが、税源移譲額が補助負担金の廃止に伴いまして、財源措置すべき額に満たない場合につきましても、きっちりとした地方交付税による財源措置というものを行っていただきたいと。そのために必要な所要額を確保していき、地方交付税の財源保障、財源調整機能をきっちり維持していくべきであるといったようなことでございます。特に、財務大臣等が主張しておりますような一方的な削減、あるいは平成十六年度におきますような大幅な削減ということは行わないことといったようなことを求めてまいりたいというふうに考えております。
 五番目で、取り組み状況といたしましてでございますが、十月二十六日には本県を含みます八県知事等で構成します地方分権研究会におきます緊急声明の発表でありますとか、それから、十月二十八日でございますが、九州地方知事会議におきます緊急決議の採択ということをした上で九州地域戦略会議におきまして経済界への協力要請等をしてございます。この九州地方知事会議の緊急決議につきましては、資料の三でございますが、七ページにお付けしてございます。七ページ、八ページでございます。非常に厳しい表現で緊急決議をさせていただきまして、これを発表させていただいておるところでございます。
 それから、また三ページに戻っていただきまして、三ページの五番目の丸の三つ目でございますが、十一月十日でございます。県内地方六団体の代表者で構成いたします「福岡県地方自治確立代表者会議」といったものを設立いたしまして、その場で緊急アピールの発表ということをさせていただいております。こちらは資料の四という形で、九ページ、十ページの方にお付けしてございます。
 こちらも、先ほど来御説明させていただきますとおりでございまして、誠意を持った国と地方の協議を進めてもらいたいとか、あるいは国庫補助負担金の見直しについては地方の自由度の拡大という観点から行うべきであるといったようなこと、あるいは地方交付税の必要額、所要額の確保といったようなこと、あるいは交付税の財源調整、財源保証機能の強化といったようことをうたっておるところでございます。
 申しわけございません、また三ページに戻っていただきまして、十一月十六日、本日でございますが、先ほど、午前中御参会賜りました自治確立代表者会議主催によります「真の三位一体改革の実現に向けた総決起福岡大会」を開催いたしまして、緊急決議を採択させていただいたというところでございます。
 それから、明日でございますが、十一月十七日であります。地方六団体で構成いたします地方自治確立対策協議会、これの主催によります地方分権推進総決起大会ということで、東京の日本武道館におきまして一万人集会というものを開催いたしまして、その後の実行運動、実行行動ということに取り組ませていただくという予定にしてございます。
 非常にさまざまな情報が錯綜し、乱れ飛んでおる状況でございまして、また、不透明感もまだまだあるわけでございますけれども、とりあえずそういった基本的なスタンスはしっかり持ちながら、関係方面への働きかけを六団体と協力して取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。御説明の方は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

◯三田村統之委員長
 説明は終わりました。
 これより質疑を行います。
 何か質問等はございませんか。

~略~

◯原竹岩海委員
 確認なんですけども、三位一体改革なんですが、私の認識では、国家予算が八十兆円ということで、三位一体改革は税収、税源の移譲なんですけども、財政というのは、一方では国債なりを発行し、八十兆円という大きな枠組みをつくっておるわけでありまして、そういったことで、移譲されましたら、政府の中に残るのは、結局何が残るかということで、その辺でこういった地方六団体が税源の移譲ということで激しい意見を出しておられますけれども、実行ならしめるものにしなければならないという前提で確認させていただきますけれども、現在、八十兆円の中で国が税収とは関係のないところで、借金で何割ぐらい補っておられるのかということですね。残ったものが税収だろうと思います。その税収が何割なのか。そのうちの何割を移譲として要求されているのか、ちょっと教えてください。

◯三田村統之委員長
 瀬脇財政課長。

◯瀬脇財政課長
 まず、国の一般会計が八十兆円ございますけれども、そのうち赤字国債、建設国債を含めて約半分がいわゆる委員御指摘の借金ということになろうかと思います。残りが主に税収ということになろうかと思いますけれども、今回三兆円なり、あるいは知事会の方で全体像八兆円という税源移譲ということをお示ししておりますけれども、これにつきましては、一つ、国から地方に交付されます補助金負担金が大体二十兆円ぐらいございます。それをいろいろ中身を精査いたしますと、特に社会保障関係等々、これは廃止して地方に税源移譲するというのにはなじまないだろうと思われるものが相当ございまして、それが約十一兆円ぐらいございます。大体それぐらいございます。だから、そういった残った分を本来廃止、見直しをして税源移譲になじむであろうと考えております分、九兆円ぐらいございますけれども、それを基本的に全部廃止、見直しをしてもらうということを究極の目標としておるわけでございまして、今回、第一期改革としまして、当面、三兆円という形で国庫補助負担金の見直し案というものをお示ししておるところでございます。税収の中でどれぐらいという議論というよりも、むしろ国から補助金負担金という形で関与がさまざまなされておると。それをできるだけなくせるものは全部なくしていこうという趣旨で、今回のそういった改革案の考え方ができているというふうに考えてございます。

◯原竹岩海委員
 最後に確認ですが、移譲をすればするほど、単純な考えなんですけれども、借金で政府は補う可能性の確率が限りなく高くなっていくんじゃなかろうか、というふうに想像するんですけれども、その辺のバランスは考えているんですかね。

◯瀬脇財政課長
 まさにそういった御議論が、特に国の財政当局の方、財務省の方からそういう意見が出されておるわけでございます。今でも借金というか、国債の発行でしのいでいるのに、地方に移譲する税源というか、余裕はないのだと、端的に言えばそういった議論もなされておるわけでございますけれども、ただ、私ども地方の側の考えとしましては、そうは申しましても、例えば、これは三位一体改革の前提条件の考え方としてよく出てまいる話でございますけれども、国と地方の最終的な支出割合と、それから国税と地方税の割合というのがそれぞれ乖離しておるというお話があろうかと思います。国税、地方税の割合が三対二であるのに対して、国と地方の最終的な支出の割合が二対三で逆転しておると。であれば、実際に歳出している部分に見合った形で税源を付与するというのが一番自然な形であろうと。その方がサービスを受ける側も、負担と受益の関係というのはより明確になってくるだろうと。そういうことで、そういうことをやることによって全体的に国、地方を通じた財政の効率化というのを果していけるのではないかというような考え方で、るる活動、あるいは考え方、要望をしておるわけでございまして、一方的に地方だけよければいいとか、あるいは国家財政を全く無視しておるというつもりではもちろんないわけでございまして、今回そういった本来の趣旨の三位一体改革であるということで、国と地方も両方とも財政運営の一定の効率化というものが果たせるのではないかというふうに考えておるところでございます。