平成16年 12月定例会 (2004.12.07)

地方分権と三位一体改革

十一番(原竹 岩海君)
 
緑友会・新風の原竹岩海でございます。会派を代表し質問をいたします。

 ことしは、近年にない猛暑、大型台風の襲来、さらに新潟県中越地震と多くの自然災害が日本列島を襲いました。本県におきましても、農林業や家屋等が多くの被害をこうむりました。新潟県内では、今なお我が家に帰れず、寒空の下で生活されている方々が多くおられます。この災害により亡くなられた方に、衷心より哀悼の誠を捧げますとともに、被災地の皆様に対し、謹んでお見舞いを申し上げます。
 暗いニュースが続く中にも、明るいホットな話題がございました。それは内親王紀宮清子様の御婚約が内定されたお話でございます。この慶賀が多くの国民を元気づけるものになりますよう心から願うものであります。
 さて近年、地方の時代と叫ばれていますが、ことしほど地方の時代を身近に感じたことはないのではないでしょうか。昭和五十年代から地方分権が叫ばれ、平成十二年四月一日、地方分権一括法が施行され一定の成果を見ましたが、財源の問題はなおざりにされてきました。三位一体の改革を通じて財源の問題が論じられ、国の果たす役割とは何か、そしてまた地方の果たす役割とは何かという役割分担を真剣に検討していかなくてはなりません。一方、市町村合併の進行で、都道府県と市町村の役割の見直しも今後課題となってくると思われます。それに伴い、今の都道府県もこのままでよいのか、将来的には都道府県の合併、ひいては道州制という議論まで進んでいくものと存じます。まさに、明治時代から続いてきた日本の地方自治の大きな岐路に差しかかっていると言っても過言ではありません。このような中で、雄県福岡のかじ取りを行う麻生知事の手腕に大きな期待を寄せるものであります。
 さて、本年も残すところ一カ月を切りました。知事は、本年二月議会において、内外情勢厳しい中、福岡県の新たな躍進に向けた新展開の年にすると同時に、これまで我が国を支えてきた社会の仕組みを大胆に改革し、時代の要請にこたえる新しい社会システムをつくっていくと述べ、多くの政策を打ち出してこられました。本年度はまだ終わっておりませんが、知事として政策の進捗状況をどのように評価されているのかお聞かせください。
 次に、本県に重大な影響を与える三位一体改革について質問します。先月二十六日には政府・与党の協議会で三位一体改革の全体像が決定されました。そこでは約二兆八千億円の補助金削減と、約二兆四千億円の税源移譲がおおむね盛り込まれましたが、四千億円もの開きがあるのも事実であります。しかしながら、地方交付税については大幅な削減はしないという回答を引き出し、地方への一定の配慮がなされたようであります。地方六団体は、この全体像の受け入れを表明しましたが、その評価については自治体ごとに温度差があるのも事実であります。先般、本議会で知事は今回の全体像について、これまで実現できなかった本格的な税源移譲が緒についたもので、一歩前進と受けとめる、また国民健康保険の負担導入については、議論もなく唐突に盛り込まれたことは遺憾なことである、全体としては不明確な部分も多く課題が残る結果となっている、と率直に所見を述べられております。今回は、多くの内容において先送りとなりましたが、それらについては地方六団体の改革案が実現できるように、積極的に訴えていくことが必要であります。
 そこで知事にお伺いします。福祉関係の補助金削減に対する御所見と、政府に対する今後の取り組みについてお答えください。
 また、今回の決定はあくまで全体像でしかありません。詳細についてはまだ多くの議論の余地を残しているわけであり、三位一体改革が財政改革や地方分権を本当に実現できるのか、それとも地方に大きな負担だけが押しつけられるのか、十二月の財務省原案内示まで予断を許さない状況であります。地方分権の方向性が確立をされるのか、最も大事な局面に来ていると言えるのではないでしょうか。どうか知事におかれましては、最後まで改革の達成に向け、引き続きの御尽力をお願いするものであります。
 次に、三位一体改革を踏まえ、本件に係る財政問題について幾つか質問します。知事は十月二十七日、平成十七年度の予算編成方針を明らかにされ、十七年度及び十八年度合わせて二百億円規模の新たな改革措置を発表されました。その内容は、事務事業の見直しで四十億円、公共事業の抑制で三十億円、財政収入の確保で三十億円、人件費の抑制百億円で合計二百億円というものであります。本県においては、平成九年度以降さまざまな財政健全化策が実施され、現在の財政構造改革プランに、さらに新たな財政改革を実施するものであり、この実現は想像を絶するものがあると考えますが、この二百億円の改革措置に向けた、知事の御決意をお伺いします。
 また、今回の二百億円という新たな削減につきましては、最後の聖域ともいうべき人件費の抑制にまで踏み込んでおられ、本県の財政状況の厳しさがうかがえるのであります。しかしながら、この削減額二百億円の実に五〇%が人件費で占められており、そもそも人件費の削減については、すべて改善の見直しを実行した後の最後の選択肢であり、改革措置が実施された場合は、職員のやる気や士気に影響が出るのではないか、それよりも、頑張った職員を評価するシステムを構築していくことの方が、行政効率が上がるとの意見もあるところであります。
 そして、本県におきましては、まだ十分な見直しや努力がなされていない分野もあるのではないかと思われる一つの事例として、いわゆる収入未済の解消の問題があります。そこで、これまでの県税及びその他の収入における収入未済額が幾らになっているのか、その主なものにはどのようなものがあるのか、またどのような改善策を実施してこられたのでしょうか。この際、収入未済の問題解決へ向けた抜本的な施策として、庁内において検討委員会を設置され、回収計画を作成し、改善状況がどのような所管でも確認できる体制を確立すべきと考えますが、知事はどのような方針で収入未済額を削減していかれるのかお伺いします。 続いて、アウトソーシングのあり方についてお伺いします。人件費抑制の一つの方法としてアウトソーシングがあります。日本語で言えば外部委託することであります。事業等に必要な能力や技術を持つ人材が一定の期間に必要なとき、外部に委託することにより人件費という固定経費を抑制し特殊技能の補完ができるというものであります。経費や効果の面では一定の評価がなされておりますが、最近ではアウトソーシングにおいてさまざまな問題点が指摘されているのも事実でございます。アウトソーシングの名のもとに過度の委託が進んでいるのではないでしょうか。事業の多くの部分においてコンサルタント任せの委託でいいのかと憂慮されます。調査費ということでついた予算も、毎年度委託費として計上され、似たような調査内容が繰り返されているようなところもあります。このような調査のどこに何百万もかかるのかという疑問があります。すべてのアウトソーシング業務について内容の精査や見直しが必要だと思いますがいかがお考えでしょうか、お聞かせください。

行政改革並びに組織や機構の見直し

 次に、行政改革並びに組織や機構の見直しについてであります。本議会におきまして、県税事務所の再編に関する条例案が上程されているところであります。県税事務所の再編につきましては、行政改革大網の実現化であり、まずは一定の評価をするところであります。しかしながら、今後の地方分権時代にふさわしい県の行政体制を整備するためには、この程度の再編だけではなく、引き続き組織や機構など全体のあり方を見直していくことが必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 次に、北部九州自動車一〇〇万台生産構想についてお伺いします。十二月一日、トヨタ自動車九州が苅田町の松山工業用地にエンジン工場を新設する立地協定の調印式が麻生知事の仲介のもとに行われました。知事の公約である自動車一〇〇万台生産や八万人の雇用が実現しようとしていますが、知事並びに執行部の皆さんのこれまでの御尽力に対し敬意を表する次第であります。自動車産業はすそ野が広いために、関連産業の立地を含め地域経済への影響ははかり知れないものがあります。今後、北部九州自動車一〇〇万台生産構想をどのように展開していくお考えなのか、お伺いします。
 また、多くの関連企業が立地するようになりますと、道路等のインフラ整備が必要不可欠であります。大分県中津市でダイハツが操業開始するとなると、この苅田町中津市を結ぶアクセス道路は国道十号線だけであり、大渋滞が予想されるわけであります。御承知のとおり、苅田町には日産九州工場を初めとして、我が国を代表する企業が立地しております。これらの企業の生産活動を支えるには、関連企業の立地環境を整備する必要があり、道路網整備の充実は必要と考えます。
 そこで、知事にお伺いしますが、現在、京築二市二郡が推進している周防灘臨海線道路、すなわち大分県の中津市から豊前、築城を抜け行橋から苅田町を通り、北九州へとつながるこのルート計画をどのように推進していくお考えなのかお聞かせください。
 関連して、ここで教育長にお伺いします。トヨタ自動車が進出してくる苅田町には、京築地域で唯一の工業高校である県立苅田工業高校があります。この高校は、電気科、情報技術科、機械科の三科があり、一学年から三学年合わせて四百七十人近くの生徒が学んでいます。聞くところでは、機械科は機械の基礎一般を学ぶのでどの職種にも適応できるような科目を教えているとのことで、この機械科の教育内容を見直し、自動車関連産業に就職した際、即戦力になるような教育が必要と考えますが、いかがお考えなのかお答えください。
 次に、糟屋郡久山町に建設が予定されている映画テーマパーク、パラマウント・ムービー・スタジオ・パークについてお伺いします。この構想は、一時的な建設効果を除いた年間の経済効果は約二千億円、雇用効果は建設一時効果で一万六千人、継続運営効果で年間一万七千人が見込まれ、その他税収効果を考慮しますと、福岡に相当の影響を及ぼすと考えられます。先月、大手企業十社を中心とした研究会が発足したと聞いております。建設費用約一千億円のこの構想は、本年七月二十九日にアメリカのテーマパーク運営会社と福岡市内の企業によって、計画の正式発表がなされました。その構想はメディア・アンド・エンターテイメント・コンプレックス(MEC)構想と名づけられ、アメリカの大手映画会社が所有する映画を題材にしたテーマパークや、カリフォルニア州立大学などと共同で国際的な教育プログラムをベースとして、コンテンツ教育と人材育成、さらにはコンテンツ制作とその配信を行う計画であると発表されております。まさに、福岡県が推進するふくおかIT戦略に通じる構想ではないでしょうか。久山町では、本年三月、議会においてテーマ構想の具現化に関する決議がなされ、同計画の予定地の確保も終了したと伺っております。現在、着々と進むこの構想に対する麻生知事のお考えと、地元住民の最大の関心事である交通アクセスと周辺整備並びに県としての協力態勢をどうお考えか、知事の御所見をお伺いします。

農政問題

 次に、農政問題についてお伺いします。今年度からスタートした新たな米政策では、平成二十二年度を施策の目標年次と定め、消費者や市場重視の米づくりや、麦、大豆の本作化を通じた適正な水田利用、農業者や農業団体みずからの判断による需給調整など、需要動向に応じた集荷、流通を展開することを目標としていることは周知のところであります。産地づくり対策を見ましても、従来は全国一律であった要件や単価を見直し、地域がみずからの農業情勢を考慮し、交付金の使途や単価を設定することができたり、地方独自の裁量で決定できる仕組みとなりました。しかし、本県における本年の米の作況指数は相次ぐ台風の襲来により八三と著しい不作で、予想収穫量は昨年に比べ二万トンの減であります。全国の作況指数は九八ですが、本県では収穫量はおろか品質も例年に比べて非常に悪く、ほとんど収穫のできない田んぼさえ見られ、大規模農家ほど被害は甚大でありました。私も現場に出向きましたが、生産意欲を大きくそがれ、茫然としておられる農家の皆さんの姿を見て、一刻も早い対策が必要であると痛感した次第であります。
 そこで知事にお伺いします。被害の救済措置として農業共済制度がありますが、水稲被害に対する共済金の支払いはどうなっているのか、お答えください。
 次に、地域水田農業ビジョンについてであります。ことしからスタートした新たな米政策は、二年後の十八年度に、農業者や農業団体みずからの判断で需給調整が可能かどうか検証する年度となっております。そこで、知事にお伺いします。この水田農業ビジョンは、だれがどのようにチェックしておられるのでしょうか。また県は、農協や市町村に対してどのように指導されるのかお答えください。
 米問題の最後に、来年度の数量配分についてお伺いします。農林水産省は、十七年産の生産目標数量を、本年から六万トン減らした八百五十一万トンとし、十一月二十二日に都道府県に対し配分しました。米の消費量が年々減少する中では仕方のないことかもしれませんが、本県への配分量はどうだったのですか。また先日、県下の市町村に目標数量を配分されたようですが、県として売れる米づくりを今後とも推進するために、市町村への配分をどのような考えで行ったのかお答えください。
 次に、鳥インフルエンザ対策についてお伺いします。我が国は、島国という地理的条件と輸入検疫制度の充実などで、鳥インフルエンザは七十九年間発生しておりませんでした。しかし、本年一月山口県で発生し、その後大分県や京都府でも相次いで発生が確認され、約二十八万羽の鶏が死亡または処分されました。山口県での発生からやがて一年になろうとしておりますが、養鶏農家を初め関係機関の努力により、その後、我が国においては幸いにも発生しておりませんが、タイやカンボジアなどアジアの一部地域では、依然として本病の発生が報告され、安心はできないのであります。本県は、近年アジアの交通拠点として人や物の交流が飛躍的に増加しており、海外からの悪性伝染病の侵入の危険性にさらされていると思うのであります。農林水産省は、感染原因や感染経路の究明のため、鳥インフルエンザ感染経路究明チームを設置し、六月に渡り鳥によって我が国にウイルスが持ち込まれた可能性があると報告したところであります。いよいよ今月から、数多くの渡り鳥がアジアの地域から、我が国へ越冬のために飛来しますので、養鶏業者の方々に対する衛生管理の指導が必要ではないでしょうか。
 そこで知事にお伺いします。鳥インフルエンザの防疫に対し、県としてどのような対策を講じているのかお伺いします。鶏のみならず、人への感染も報告されている本病は、食品の安全、安心確保の観点からしても慎重に対処することが重要ではないでしょうか。もし、本県で鳥インフルエンザが発生した場合に備え、関係部局が横断的に連携し、迅速に対応することが重要でありますが、県としてどのような態勢で臨まれるのかお伺いします。
 農政問題の最後として、鳥獣被害に関する防止対策についてお伺いします。本年は台風の襲来や大雨の影響を受け、農作物の被害と同様に野生動物のえさとなる山間地域の木の実なども不作のようで、本年は特にクマによる被害がマスコミなどで大きく報道されております。九州では幸いにもクマによる被害は報道されておりませんが、水稲や果樹などに対する鳥獣による被害が増加傾向にあるという報告があったところであります。鳥獣被害は全国的にも拡大の方向にあり、本県でも、平成十五年でシカによる被害は林産物を中心に五億五千万円、イノシシによる農作物の被害は三億八千万円を超えるなど、農林水産物の被害総額は二十一億円余りに上っております。農作物などの被害防止対策として、電気牧さくやわなの設置などが実施されておりますが、残念ながら十分な効果が上がっておらず、農業者や林業者の皆さんにとっては切実な問題となっております。被害防止対策は、県、市町村、地域が一体となって取り組むことが最も重要ではないでしょうか。
 そこで知事にお伺いします。本県における被害防止対策について、どのように実施しておられるのか、また駆除には地元の猟友会の協力が必要でありますが、高齢化が進んでいるのが現状であります。この対応策として、農協等の職員に狩猟免許の取得を勧めるなど被害防止策の強化を図るべきと思いますが、知事のお考えをお伺いします。

林政問題

 次に、林政問題についてであります。我が会派では、台風災害の復旧を円滑に進めていく観点から、九月議会におきまして、台風十八号による森林、林業被害の災害復旧に関して代表質問を行ったところであります。最終的には、森林関係で被害総額が約八十五億円となっております。我が会派は、被災直後から全般にわたる被災地の現地調査を行いました。現地を歩いてみますと、多くの風倒木や林地の崩壊箇所の多さと現状のすごさには圧倒されたところであります。その後、森林や林地及び林道の災害復旧等について、どのように取り組んでおられるのかお伺いします。

水産問題

 次に、水産問題についてお伺いします。我が国は周囲を海に囲まれ、昔から水産物を食料として利用してきました。水産業は環境に大きく依存する産業であり、安全な魚介類を供給するためには漁場環境を良好な状態に保全していくことが重要な課題となります。産業、経済の急速な発展は水産物の分野においても大きな変化をもたらし、輸入水産物の増大などによりさまざまな食品が提供され、私たちの食生活は大変豊かなものになりました。一方、最近ではBSEの発生や、偽装表示問題などによる食品の安全や安心に関する消費者の信頼を損なう事件が相次いで発生し、食の安全性に対する国民のニーズは顕著であります。
 これらを踏まえ知事にお伺いします。安全で安心できる水産物を提供するために、県ではどのように取り組んでおられるのかお答えください。
 また、沿岸域での漁村では高齢化が進み、後継者が不足し、全体的に元気がないように思われてならないのであります。そこで、本県における沿岸漁業環境の振興策として、漁村の活性化施策についてお伺いします。本県には漁港が六十五ありますが、その多くは市町村の中心部から離れた沿岸部や離島などに存在しております。水産業を支える基盤である漁港や漁場の整備につきましては現在でも鋭意推進されており、本県水産業の振興に大きく寄与していることは一定の評価をされるところであります。しかし、漁港の後背地にある漁村の生活環境の現状はどうでありましょうか。下水道や公園などの整備は、都市部に比べ大きく立ちおくれている漁村が多いのが現状であります。そこで知事にお伺いします。漁業活動の拠点である漁村の生活環境の整備や具体的な活性化施策が必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。

環境問題

 次に、環境問題についてお伺いします。先般、県の産業廃棄物行政に関する審査ミスの問題が報道等により指摘されておりました。筑紫野の産廃処分場において、適正量の約十倍もの産廃を違法に埋めていたことが発覚しました。県の審査ミスにより適正量の約五倍もの埋立申請をしたのを見過ごし、その後十九年間にわたり放置をしてきました。今回最悪にも誤った容量を目安とし撤去させるとした措置命令が出されたのであります。地元住民から産廃の富士山と言われるまで山積みになった産業廃棄物の量の異常さに、所管の行政関係者はどうして気がつかなかったのでしょうか。近年、産廃行政の確立が叫ばれる中、この失態は県の産廃行政への不信感を増幅させるほど重大な問題であると言わざるを得ないのであります。このような一連の問題について、知事はどのように受けとめられておるのかお伺いします。
 また、このような失態を二度と繰り返してはならないという行政の確立をすべきであると考えますが、どういう体制の整備を図られてきたのか、また今後の対応策についてもお伺いします。

教育問題

 次に、教育問題について教育長にお伺いします。学校教育は、我が国を担う人材を育成することを大きな目的としております。その子供たちが生きる現代社会は日々さまざまな変化を見せており、その変化に対応できる子供の育成が急務であります。社会の変化の中でも最も重要なものの一つに、国際化への対応があります。国際化の進展の中、諸外国とのコミュニケーションの手段としてIT教育の重要性、そして外国語、その中でも英語教育の重要性が産業界を初め各界各層から叫ばれております。我が国の将来を担う子供たちにとっての基礎教育として、今後、その充実に努力しなければならないと考えております。
 まず、IT教育についてであります。国におきまして、平成十五年にe-Japan重点計画二〇〇三が策定され、コンピューターや高速インターネットが活用できる環境整備に関し一定の目標が示されたところであります。さらに、児童生徒のコンピューター活用能力を高めるとともに、情報社会への参画を目指したIT教育の充実が求められたところであります。また、有能な指導者を養成する研修も本年度よりスタートし、国を挙げて取り組みが進められているところであります。このような状況を踏まえて、本県の小中学校におけるIT教育の重要性をどのように認識され、どのような取り組みを行っていこうとしておられるのかをお伺いします。
 次に、英語教育についてであります。現行の学校制度の中では中学生から外国語教育がスタートしますが、今後の国際化の進展を考えますと、小学校段階からの早期導入が必要であると思うのであります。アジア各国では、早期に小学校段階から英語教育が採用されているようです。韓国では、小学校三年生から高校一年生までの期間に英語教育が実施されております。台湾では小学校五年から導入され、中国でも小学校三年から週四時間の英語授業を試行していると伺っております。この中で大変参考になりますことは、小学校から中学校までの教育において、実践的な英語教育、すなわち話すことができる教育が行われていることであります。このような中、ようやく我が国においても、英語教育の実施に関する諮問が中央教育審議会になされ、その審議が始まったところであります。このように早い段階での英語教育の導入の機運が盛り上がる中、本県におきましても英語教育の積極的な推進を図ることが必要と考えますが、教育長の御見解をお伺いします。
 次に、PTAの必要性と活性化についてであります。今日の子供たちは、いつでもどこでも欲しい物が手に入るという大量消費文化の中で育っています。こうした中で、子供たちは基本的な生活習慣の定着力が弱かったり、善悪の判断はもとより、すべてにおいて判断力が低下していたり、思いやりの精神が失われつつあると言われており、子供の問題行動がマスコミをにぎわすことも日常的になり、看過できない状況となっています。こうした状況を打開するために、県ではさまざまな青少年の健全育成のための施策を講じていると思われますが、子供たちの生活の場である家庭と地域、そして学校がみずから主体的に連携して子供たちの教育を真剣に考えることがぜひ必要であると考えます。まさに、PTAはこうした活動を組織的に行い、学校と家庭そして地域をつなぐかけ橋として重要な役割を担う団体であり、その活動は青少年の非行や犯罪を抑止する大きな力となっております。しかし一部では、PTA活動の意義や必要性が会員に十分理解されていないとか、役員の選出に大変苦労しているなどの声もあり、このような状況ではPTA活動の活性化は望めないのではないかと思います。
 そこで教育長にお伺いします。今後ますます重要な役割を担うPTAの必要性をどのように認識しておられるのか、またPTAの活性化を具体的にどのように進めておられるのかお伺いします。

警察問題

 最後に、警察問題についてお伺いします。
 県内の治安情勢を見ますと、いわゆる犯罪発生に関する件数が平成十四年中は、約十六万八千件で過去最高でありました。県警は、この情勢を最悪と受けて、平成十五年から街頭犯罪等抑止対策を推進され、さらには交番や駐在所の再編効果も影響してか、平成十年以降、増加傾向であった犯罪の発生件数が一転して減少傾向という成果を上げるなど、県民も県警の街頭犯罪抑止対策に評価をしているところであります。しかしながら、捜査報償費の問題が、県警に寄せる県民の期待と信頼を大きく裏切る結果になったということは非常に残念であります。今、県民から県警に課せられた責務は、一日も早く捜査報償費問題を解決するとともに、福岡県の治安を回復させることであると思います。
 そこで、県警本部長にお伺いします。平成十四年以降の治安回復の実態、その中でも特に街頭犯罪抑止対策の推進の経過と、今後の目標についてお示しください。 
  次に、捜査報償費に関する裏金疑惑の問題についてであります。県警では先般、これまでの調査の結果として問題となった執行額を調査され、約一億七千万円に利息を加えた金額を返還する旨の内容を発表されました。県警がみずからを厳しく正すという姿勢には一応の評価をしているところでありますが、捜査報償費というものが、県民の税金という貴重な公金であることを再認識されるべきと思うのであります。今後は、廣畑県警本部長を先頭に職員が一丸となり、本県の治安回復を初め安心と安全な福岡県づくりにしっかり取り組まれるよう強く要請するものであります。裏金疑惑に関する再発防止と予算執行の改善策について県警本部長の御決意を伺いまして、質問を終わります。

◯副議長(重野 正敏君)
 麻生知事。

◯知事(麻生 渡君)登壇
 本年度のいろんな政策の進捗状況についてでございます。

 まず第一に、本年度重点を置いておりますのは経済あるいは雇用をつくるということでございます。この点では、自動車一〇〇万台プロジェクトがずっと進んでおります。また、新しい戦略産業といたしましてシステムLSI、半導体産業の育成も進んでおる。中小企業につきましては、元気フクオカ資金───新しい融資のやり方でありますけれども、九百億を超えているという状況でございまして、中小企業振興に大いに役立っていると思います。また、農業の分野では、あまおう初め高収益農業あるいは水産業の振興にも取り組んでおりますが、いろんな新しいプロジェクトの推進が図られている状況であります。
 二番目の大きな点は、新しい社会をつくるということであります。基本の一つは男女共同参画社会でございますが、少子化に対応いたしまして子育て応援宣言企業の登録制度などが進んでいるわけであります。また、特に今後非常に重要なNPOとかボランティアの皆さんと我々の協働、これも進めてまいりたいと考えております。産廃税の導入によります資源循環型社会づくり、あるいは水素エネルギー社会づくりにも取り組んでおりまして、環境負荷の少ない社会づくりを進めております。
 人づくりと文化の点につきましては、青少年アンビシャス運動、あるいは日本の次世代リーダー塾などを行ってまいりました。七月には若年者しごとサポートセンターを開設いたしましたが、非常によく使われておりまして、効果を上げているわけであります。とびうめ国文祭、三百四十五万人の皆さんが参加をいただきました。大きな成功をおさめたと考えております。
 四番目はアジアとともに発展するということでございますが、九州国立博物館、いよいよ来年の十月に開館、新北九州空港も来年度末には開港するということになりました。アジアとの交流のためのインフラ整備がずっと進んでいるわけでございます。
 このような四分野を中心に将来を見据えた新しい取り組みを進めておりますけれども、本年度におきましても全体としては着々と進んでおるというふうに考えているところでございます。
 三位一体改革についてでございます。その中でも特に社会保障関係の国庫補助負担金の改革でございますが、地方六団体の案にありませんでした国民健康保険につきまして、都道府県の負担の導入という制度が唐突に織り込まれました。非常に残念なことだと思っております。制度の詳細につきましては、まだ不明確な部分が多いわけでございます。できるだけ我々都道府県の自主性、創意工夫が発揮できるような制度としていくべきであると考えております。また、生活保護、児童扶養手当にかかわります見直しにつきましては、平成十七年度中に検討を行うということでございまして、結論が先送りをされております。これらの福祉関係につきましては、本来はこれは国の事務であると考えております。地方の裁量の余地が非常に少ないという分野でございます。したがいまして、単純に負担率を下げるというような形での改革にならないように地方六団体との連携を図って、本当の意味で我々の裁量の余地が広がるように国に働きかけをしてまいりたいと考えております。
 二百億円の新たな改革措置についてでございます。平成十六年度の予算で地方交付税などの大幅な削減が行われました。財源不足がさらに拡大をしたわけでございまして、このままいきますと、平成十九年度以降の予算編成に大きな支障を来すということが予想されたわけでございます。さらに、十七年度の今回の三位一体改革の影響、景気の動向など不透明な要素がございました。したがいまして、この中で平成十九年度以降におきましても予算を安定的に編成するためには、もう一段踏み込んだ改革措置が必要であるというふうに考えたわけでございます。財政構造改革プランに掲げます改革措置にさらに二百億円の改革をやっていこうということは大変厳しいわけでございますけれども、将来を見据えた財政構造の健全化のためには不可欠であるというふうに考えております。ぜひともこの二百億円の改革措置を実現しなければならないというふうに考えております。
 収入未済の解消策についてでございます。平成十五年度決算によります収入未済額は県税の方で二百一億円、税外収入の方で六十六億円でございます。合わせまして二百六十七億円余りとなっております。特に、御質問がございました税外収入の未収分が多い分野でございますが、小規模企業の皆さんの設備導入資金の貸付金、それから地域改善奨学資金貸付金、県営住宅の家賃などの分野でございます。これは、借り手の皆さんの方の経済状況の悪化などによりまして税外収入の未済分がふえる状況にございます。このような未済に対しまして、県税では積極的な差し押さえ、休日の訪問催告などに取り組んでおります。そして現実にその縮減に効果を上げております。税外収入の分野におきましても、県営住宅にかかわります悪質な滞納者に対しまして明け渡し訴訟を実施するというようなことも始めておりまして、それぞれ督促、催告、戸別訪問などを実施しております。今後さらにこのような取り組みを強化いたしますが、庁内では収入未済の解消に取り組みますための推進会議を設置いたしまして、全庁的な協力のもとでこれを進めてまいる考えであります。こうした中で案件ごとに縮減の目標、具体策を明確にした計画をつくりながら速やかに取り組んでいく考えでございます。また、県税につきましても事務所ごとの徴収計画を作成をいたしまして、これによって全体としての収入確保を上げていきたいと考えております。
 アウトソーシングについてでございますが、県の業務のうち民間の能力を活用して県民サービスの向上、業務の効率化を図る、こういうものにつきましては、積極的にその導入を進めております。委託業務のうち各種の調査業務についてでございますが、専門的な知識の活用、省力化を図るために実施をいたしております。今後もその目的、必要性そしてまた費用対効果について十分勘案しながら進めてまいりたいと考えております。
 今後の分権時代の行政体制についてでございます。分権が進むに従いまして、県といたしましては、我々の地域に即したいろんな行政需要、これに自主的にまた自立的な施策を用いることによってこたえていくということが特に重要になりました。換言をいたしますと、独自の政策立案能力を高めていくという必要があるわけでございます。このような観点から、職員の意識の改革はもとより、政策立案能力を高めるための研修の実施、地域の課題に応じました組織機構の改革などによりまして、我々県に求められております機能、施策これが効果的に実施できますように改革を進めてまいります。
 北部九州自動車一〇〇万台生産拠点づくり構想についてでございます。このたび、トヨタ九州におきまして、自動車の生産台数を倍増するということになりました。一方で日産自動車も非常に頑張っております。また、中津の方ではダイハツ工場が新たに生産を始めるということになりました。これらを総合いたしますと、目標としておりました北部九州におきます百万台の生産、だんだんめどが立ってきたという状況でございます。また、加えましてトヨタのエンジン工場の進出が決まりました。これによりまして非常に技術的に高い部品の生産ということも進むわけでございまして、構想の質的な大きな飛躍になったものと考えております。さらに、今後多くの関連企業が進出するということも見込まれているところでございます。名実とも日本の自動車産業の一大拠点の構築を目指しましてこの計画を推進し、雇用と地域経済の活性化を図ってまいります。
 周防灘の臨海線道路の整備についてでございます。現在、この地域におきましては、東九州自動車道の整備を最優先に進めております。また、国道十号バイパスの四車線化、東九州自動車道へのアクセス道路となります県道門司行橋線、県道須磨園南原曽根線などの事業を実施いたしております。これらの道路網の整備が進みますと、北九州市から中津市を結ぶ主要な広域道路の拡充が図られます。周防灘の臨海線道路につきましては、これらの整備後の交通需要動向を見きわめながら検討してまいる考えでございます。
 パラマウント・ムービー・スタジオ構想についてでございます。このテーマパーク構想は、実現をいたしますと新しい観光、集客産業の振興が行われ、その経済波及効果、雇用効果は広範なものになるものと期待をいたしております。先月、事業化に向けました研究会がつくられまして、今後、事業主体、事業計画などについての検討がなされてまいるわけであります。その状況について情報収集に努めてまいります。
 稲作被害に対する農業共済の支払いについてであります。今回の台風被害につきましては、水稲の品質の低下が広範囲に発生をいたしております。本県の方では、品質低下分を加味いたします損害の評価の特例をとるように国に要望いたしまして、先般その適用が承認されました。現在、農業共済組合では、品質低下分も収量の減少とみなしまして共済金を算定いたしておるところであります。農家への具体的な共済金の支払いは十二月下旬になる予定であります。
 水田農業ビジョンについてであります。このビジョンにつきましては、市町村や農協、農業代表者などで構成をいたしております各地域の協議会で、作物の生産、販売、担い手の育成など各種の目標に対します達成状況を毎年点検、評価をする仕組みになっております。県の方では、取り組みがおくれている地域に対しましては農業者、農業団体がビジョンの実現に向けて自主的、主体的に取り組むよう、地域別の検討会の開催や支援チームによります現地指導を行ってまいります。
 米の生産目標数量の配分の問題でございます。本県の十七年産米の生産目標数量は、米の消費量の減退によりまして全国の目標数量が減少したことなどから、十六年産に比べまして二千八百五十トン少ない二十万一千五百六十トンとなっております。市町村別、JA別の目標数量は、売れる米づくりが一層進みますように十五年産米の販売実績を基本にいたしまして産地に対する米穀業者の評価、産地みずからの販売努力を考慮いたしまして、今月の三日に配分を決定いたしました。
 鳥インフルエンザ対策についてでございます。鶏等を飼育をいたしておる方に、異常な鶏の早期発見、速やかな通報を強く要請をいたしております。また、野鳥の侵入防止、鶏舎内外の清掃、消毒の実施といった発生予防についても周知徹底を図っております。また、この病気の発生を迅速に発見するために県下五カ所で定期的にウイルス検査を行うモニタリング調査を実施をいたしました。県内での発生を想定いたしまして、家畜保健所で机上の防疫演習も行うというような態勢、対策をとっているわけであります。
 実際に鳥インフルエンザが発生した場合の態勢づくりでございますが、これは山口、大分での対応事例を参考にいたしまして、知事部局、教育庁、県警本部の関係部署で連絡会議を組織いたしまして、県内の発生の初動防疫などの業務分担を既に決めております。万一発生の際には、直ちに対策本部を設置いたしまして、鳥インフルエンザの蔓延防止のほか、県民の皆さんへの速やかな情報提供を行ってまいる考えでございます。
 鳥獣被害防止対策についてであります。このためには、わなの効果的な設置方法、被害防止技術研修会を実施をいたしております。また、補助事業を活用いたしまして、電気牧さく、防護ネットの導入を推進をしております。駆除対策の方でございますが、猟友会の協力を得ながら実施をいたしております。今後は、このような駆除対策に加えまして網・わな猟免許取得者の拡充───数をふやしていく、農業者が取り組みやすいような支援策を検討してまいります。
 台風十八号によります被害についてでございます。森林の復旧の方では、風倒木によります二次災害、崩壊地の拡大の防止、林道や森林機能の早期回復を目指しております。特に人家近くなどの危険な箇所では、既に県単治山事業によりまして風倒木などの除去を行っております。また、林地被害のうち緊急を要します四割の箇所につきましては、災害関連事業などによりまして年度内に全箇所、林道被害の方では一月までに九割の箇所の復旧に着手をいたします。激甚災害指定の森林災害復旧事業は、国の方の査定が終わり次第速やかに実施をしてまいる考えでございます。さらに、今後とも復旧に必要な労働力の確保、高性能の林業機械、作業中の安全の確保のための研修等に努めながら早期の復旧を図ってまいりたいと考えております。
 安全、安心な水産物の提供についてでございます。県の方では、生産の方から消費に至るまで一貫した食品の安全対策を推進をしよう、このため、ことしの三月に福岡県食の安全対策基本方針を策定をいたしまして、この方針のもとで水産物につきましては鮮度保持技術を開発をする、またその普及を図っております。衛生管理施設の整備支援、これも行っておりまして、安全、安心な水産物の提供に努めております。さらに、消費者が安心して水産物を購入できますように、関係者に対しましてJAS法に基づきます水産物の適正な表示を徹底するように進めておるところでございます。
 漁村の生活環境整備についてでございます。漁村は漁業従事者の生活の場としまして、また水産業の発展のために当然重要な役割を果たしているわけであります。このため、県の方では下水道、道路の整備をするといったことを通じまして、漁村の生活環境改善を計画的に進めております。また、漁村の活性化のために新鮮な水産物を提供いたします直販施設を整備しておりまして、都市と漁村の交流を進めております。今後ともこのような多様な施策を用いながら、漁村の活性化を進めてまいる考えでございます。
 筑紫野の最終処分場の問題についてでございます。この最終処分場につきましては、昭和六十年の施設設置届け時に、埋立容量と埋立図面が提出されております。しかし、それぞれの容量が異なっておるということについては平成十二年に確認をするという状況でございました。また、この最終処分場が大量の過積みとなっているという問題もあるわけでございます。このような状況になっておるということにつきましては、六十年当時の書類審査、またその後の監視指導体制が不十分であったということによるものと考えております。県の方では、過積みの是正のための行政処分を検討する中で、現実的で実効性のある措置を求めることといたしまして、措置命令を発しております。この命令は、廃棄物の飛散、流出の防止という生活環境保全のための措置でございます。届け出時の埋立容量を超える廃棄物の撤去をするように関係者に是正措置を命じているわけであります。
 産廃問題に対処しますための体制整備についてでございます。産廃問題に対処しますために、平成十二年に監視指導課を設置いたしまして、そこでは現職の警察官二人を配置いたしますとともに、人員につきましても随時増強を行ってまいりました。また、平成九年度からは土木の専門職も配置いたしまして、技術的な能力を高めてまいりました。さらに保健福祉環境事務所におきましては、平成九年度に環境課を設置いたしまして、廃棄物適正処理指導専門員も配置などいたしまして、現場の体制の整備を図ってきたわけでございます。監視マニュアルの作成、研修会の実施などをいたしまして、職員の資質の向上にも相努めているところでございます。このような取り組みによりまして、産廃問題、複雑になってきておりますし、多様な問題が発生するという状況になっておりますが、一層適切に対応してまいる考えでございます。

◯副議長(重野 正敏君)
 森山教育長。

◯教育長(森山 良一君)登壇
 まず、県立苅田工業高校の機械科の問題についてでございます。県立の苅田工業高校におきましては、これまでも機械や電気を中心に地元産業界から求められる人材の育成に努めてきたところでございます。このたび、
苅田町に日産自動車の九州工場に加えましてトヨタ自動車九州のエンジン工場の進出が予定されておるということから、こうした地域の産業の実態、就業状況の変化を踏まえながら、生徒の進路希望や地域のニーズに適切に対応した工業教育を実現をできるように今後検討をしてまいりたいと考えております。
 次に、IT教育の重要性と今後の取り組みについてでございます。IT教育は現代社会におきまして多様な情報の収集能力とか、新たなコミュニケーションの手段としてのコンピューターの活用能力の育成におきまして重要な役割を担っておると認識をいたしております。本県の小中学校におきましては、各教科や総合的な学習の時間などにおきまして、コンピューターなどになれ親しむことから積極的に活用できるようになるまで、児童生徒の発達段階に応じたIT教育の推進をいたしております。また、あわせて情報モラルとして他人の誹謗、中傷の禁止とか、個人情報の保護などの指導の充実を図っておるところでございます。本県といたしましては、教師の指導力を向上させる研修などを推進をいたしまして、IT教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、英語教育に対する見解と取り組みについてでございます。英語教育は国際化に対応するために、英語による聞く、話すなどを中心としたコミュニケーション能力を育成することが重要であると考えております。本県の学校におきましては、小学校段階から英語になれ親しむことが必要という認識のもとで、九割以上の小学校で英語活動が実施をされておりまして、各学校で地域の海外生活の経験者とか、ALTをこの英語活動に活用をいたしておるところでございます。県教育委員会におきましては、児童の学習状況に応じて活用できる学習教材を開発をしたり、あるいはモニター校を募集をして、教材の活用研究を進めておるところでございます。今後とも英語教育につきましては、国の動向を見据えまして適切に対応していく考えでございます。
 最後に、PTAの必要性と活性化についてでございます。PTAは児童生徒の健全な成長を図るということのために自主的、主体的に活動する団体でございまして、青少年の健全育成に大きく貢献をしておると認識をいたしております。また、その活性化に向けましては、会員の参画意欲の向上が大変重要であると考えております。県教育委員会におきましては、現在各種の研修会の実施とか、活動の手引、あるいは家庭教育啓発資料の作成、配布などを通しまして会員の資質の向上を図りますとともに、PTA活動の必要性についての啓発や活性化に努めておるところでございます。今後とも、PTAとのさらなる連携強化、PTA活動の活性化に向けまして、継続的に支援をしてまいりたいと考えております。

◯副議長(重野 正敏君)
 廣畑警察本部長。

◯警察本部長(廣畑 史朗君)登壇
 まず、本県における近年の治安回復状況等についてお答えします。本県では、議員御指摘のとおり、平成十年以降、刑法犯の認知件数が増加の一途をたどり、平成十四年には戦後最多の十六万八千百九十件を記録しました。このため、県警察では平成十五年を治安回復元年と位置づけ、街頭犯罪等抑止総合対策室の設置、交番、駐在所の再編とパトロール活動の強化、自治体や地域住民の自主防犯活動への積極的支援などなど組織の総力を挙げてさまざまな対策に取り組んだところであります。その結果、昨年は前年比七・九%減の十五万四千八百三十四件と犯罪の増加傾向に一応の歯どめをかけることができました。さらに本年は、治安回復を軌道に乗せる年と位置づけ、年間一万件削減を目標に諸対策を推進したところ、十月末現在における街頭犯罪を含む刑法犯の認知件数は、前年同期比一六・二%減の十万六千九百六十四件で顕著な減少傾向を示しております。しかしながら、強盗など一部の罪種が増加傾向にあることから、県民が強く望んでいる治安回復にはまだまだほど遠い情勢にあると認識しているところであります。

 こうしたことから、来年も引き続き県警察の最重要課題の一つとして街頭犯罪等抑止総合対策を継続的に推進していくこととしております。なお、今後の目標についてのお尋ねでありますが、犯罪を抑止することが県警察の責務であることから、当面は平成十八年末までに刑法犯の認知件数を十二万件に抑えるという目標の達成に向け、県警察の総力を挙げて諸対策に取り組んでまいる所存であります。
 次に、不正経理問題に関する再発防止と改善策についてでありますが、この問題につきましては、県警察としてみずからの意思でみずからを正すとの決意のもと、私を長とする調査委員会において厳正、公平な調査を行ってきたところであります。その結果、警察本部会計課が捜査報償費を交付する際、警察本部の十四課から基本経費として一定額を留保し、捜査本部等への激励費などのほか本部長室経費として使用していたなどの不適正な会計経理が明らかとなったものであります。今回の問題を踏まえ、幹部職員の公金に対する認識に甘さがあったことを組織全体の問題として真摯に反省し、同じ過ちを二度と繰り返さないため、再発防止に向けて既に所属長等に対する臨時研修会の実施、捜査幹部に対する巡回教養の実施、捜査員が捜査費経理を理解しやすくするための手引の配付と教養の実施などに取り組んでいるところであります。また、現在予算の執行については、会計経理の透明性確保のための方策、警察職員が会計経理を理解するための方策などの改善策を検討しているところであります。
 最後に、県警察本部長としての決意についてでありますが、先ほども申しましたように、今回の問題は県警察の幹部職員の公金に対する認識に甘さがあったものであることから、このことを組織全体の問題として真摯に反省し、適正な会計経理を推進してまいりたいと考えております。また、将来に向け今回の問題をきちんと清算し、県警察の最重要課題であります治安回復に向け、全職員が一丸となって諸対策に取り組み、県民の信頼回復に努めていく所存であります。

◯副議長(重野 正敏君)
 原竹岩海君。

◯十一番(原竹 岩海君)登壇
 ありがとうございました。三位一体改革とかですね、行財政の問題等については、多くの会派の皆さんから質問が出されておりまして、再質の重複は一応避けさせていただきたいと思っております。今回はですね、産廃行政についての質問が唯一我が会派から出ておるようでございますので、産廃問題について一点だけお話をさせていただきたいと思っております。

 行政の審査ミスでございますけれども、知事の報告では、平成十二年にミスの確認ができたということでございますが、それから四年経過をいたしております。問題は、この四年の空白が問題でありまして、住民の皆さん、県民と福岡県行政との信頼関係では、情報を共有をするということが私は大事だと思います。こういったところで、地元住民はもとより自治体とも信頼を深めていただきますようお願い申し上げたいと思っております。そして、監視は今後とも強めていくという発言でございますけれども、福岡県行政だけですべての産廃行政を監視をするということは限界があると、私は日ごろから訴えておりまして、地元のすべての市町村との連携を深めて情報網をしっかり確立をする、こちらの方も引き続き御尽力をお願い申し上げたいと思っております。
 質問でございますけれども、産廃行政について県民の理解を得ること、これが今求められておるわけでありまして、産廃は必ず発生するものであります。これを適正に処理することは今後の経済活動、生活環境両方を確保する上でも絶対欠かせない、そういった問題であります。知事がですね、産廃の適正処理のその確保に向けて整備体制を進めてまいられましたことは一定の評価ができるわけでありますが、しかしながら、最終処分場の容量は本当に確実になくなっております。伺ったところでは、平成二十二年が限界ということです。将来的な展望に立ったときに発生の抑制、再利用、リサイクル、適正処理といういわゆる循環型社会をつくり上げることが緊急の、私は課題であると思うわけであります。こういう意味で幅広く本県を見据えて適正な処理技術の開発の普及、そしてまた適正な処分場の確保などさまざまな分野で的確な施策を講じていくことが本県の行政に求められているわけであります。産廃行政問題に対する県の対応、県行政が的確に行われていくことを県民にわかりやすく説明をするべきではないでしょうか。産廃問題をしっかりと解決をしていく、こういったことについての、再度知事の御決意をお伺いをいたしまして、質問を終わります。

◯副議長(重野 正敏君)
 麻生知事。

◯知事(麻生 渡君)登壇
 産廃問題については規制がいろんな形で変化いたしまして、そういう中で我々どうやって実態と制度の乖離を埋めながらやっていくかと苦慮しながらやってきたわけでございます。今後の問題といたしましては、一つは御指摘にもございましたように、やはり監視体制をきちっとやっていくということであるわけであります。これは当然いろんな市町村との協力関係、信頼関係を築きながらやっていくということが重要であると思います。

 もう一つは、産廃の発生量を減らすということが非常に大切なわけでございます。これはいわゆるリサイクル技術は北九州、大牟田を中心にやっていますが、それを定着をさせていく、また最終的に残ったものの最終処分場、これの確保もいろいろな形でやっていかなければいけないと思っているわけであります。
 いずれにいたしましても、いろんな過去の負の遺産を持ちながら進めている最中でございまして、いろんな形で県民の皆さんとの意思疎通を図っていくということは非常に重要であると思っていますから、そのような努力をしながら適正な処理が行われますように努力をしていきたいと思っています。