平成17年 地方分権推進対策調査特別委員会 (2005.01.28)

市町村合併と道州制

◯三田村統之委員長 
 次に、「県の地域振興政策のあり方について」、執行部の説明を求めます。中村地域政策課長。

◯中村地域政策課長
 それでは、県の地域振興のあり方につきまして、資料で説明をさせていただきます。
 九ページをお願いいたしたいと思います。まず、県としまして基本的に踏まえておかなければいけない地域振興の課題について整理をさせていただいております。
 (1)の、住民ニーズ、価値観の多様化につきましては、所得、生活水準の向上、それからライフサイクルの変化等に伴いまして、県民が物質的な豊かさからソフト、心の豊かさなどの精神的な面を重視する傾向が強くなっております。今後は、何をつくるかということだけではなくて、どのように活用するかという観点が重要になるというふうなことでございます。
 次に、少子高齢化の進行でございます。少子高齢化に伴いまして、右肩上がりの経済成長を維持することが困難になりまして、中心市街地の空洞化、中山間地域の維持困難、税収減等による行財政運営への重大な影響等が懸念されております。このため、高齢者の社会参画や子育て支援等の施策による活力ある地域社会の形成が必要となっております。また、高齢者が住みやすく、子育てしやすいまちづくりも重要な課題でございます。
 三つ目は、情報化社会の進展でございます。急速に進展しております情報システムや情報ネットワークを地域振興に生かすためには、情報通信基盤をさらに充実させるとともに、それを活用できる人材の育成が必要でございます。また、これらの情報基盤を活用しまして、地域のニーズを踏まえつつ、遠隔地教育・医療とか、SOHO等の新しい就業形態、高齢者等の社会参加システムの整備などが必要になってまいります。
 四つ目は、国際化の進展でございます。人、物、金、情報が国境を越えて交流する潮流の中で、地域においても、産業、文化等を中心に、国際的な理解や協力が必要となるだけでなく、国際的な地域間競争も起きておるところでございます。今後の地域の活性化には、このような課題に対応できる人材の育成や国際競争に耐えられる産業の育成が急務であるというふうに考えております。
 五つ目が、地方分権の問題でございます。国が全国一律の施策を策定し、地方がそれを実施するという仕組みから、地域みずからが地域の特性に応じた施策を実施する地方分権型社会に移行するためには、地域振興の主体となる市町村が政策形成能力を高め、地域の多様な主体と一緒になって、創意と工夫により、個性あふれた地域振興施策を展開していくことが必要というふうに考えております。
 最後に、厳しい地方財政事情の問題でございます。地方財政は、今後ますます厳しさを増していくものと考えられますが、このような厳しい財政制約のもとでも、一層の効果的、効率的な行財政運営に努めつつも、住民ニーズを踏まえた施策を重点的に実施していく必要があるというふうに考えております。
 次に、これらの課題を踏まえまして、地域振興における県の役割と進め方についての御説明をさせていただきます。分権社会におきます地域振興というのは、まずは市町村がみずから考え、みずから実施し、県はそれを支援するということが基本になっていくというふうに考えております。しかし、単独の市町村では困難な施策も多数ございますので、県が引き続き担っていかなければならない施策もございます。
 (1)の、単独市町村では行えない広域的な事業についてでございますが、県の役割は、補完機能の重視から広域機能の重視へと軸足を移すということになりますが、高度なインフラ整備でありますとか、経済活動の活性化、国土の保全などの、単独の市町村ではとても実施できないような事業については、引き続き、県がその役割を担っていくことになると考えております。
 二番目は、先導的、先進的な施策の企画立案でございます。地域の資源を生かしまして効果的な地域振興を進めるためには、先導的であり、先進的な施策が重要となってまいります。しかし、現状では、市町村において、経験や情報などが不足しておりまして、企画立案に当たって県の支援が必要であるというふうに考えております。具体的には、研究機関や地域の団体とのネットワークをつくったり、景観の保全、整備、それから教育、医療、福祉の連携強化などの課題について、その課題を整理し、実現方策の提案などを行っていく必要があるというふうに考えております。
 十ページをお願いをいたします。市町村の自立促進への支援についてでございます。まず、地域振興については、分権社会のもとでは、地元市町村とNPOなどの地域の多様な主体が地域振興を担っていくんだという、そういう認識を醸成していくことがとても重要になってまいります。また、市町村長による懇談会などを開催することにより、市町村長の理解のもとに地域振興の機運を醸成するということも重要であると考えております。さらに、地域が持っております資源、地域資源の意義等を市町村や地域の多様な主体が一緒になって発見し、またそれを共有していくことにより、地域の一体感をつくり出すということも重要でございます。次に、この共有化されました地域資源を活用しまして、地域の将来像を具現化する、具体化するために、戦略的なものであるとか、実効性の確保というようなものが必要になってまいります。このため、市町村や地域の多様な主体が一緒になりまして戦略プロジェクトを構築し、それを協働して実施することが効果的であると考えております。次に、このような地域振興の取り組みが地域に真の自立をもたらすためには、持続可能な仕組みというものをつくり上げていく必要がございます。このため、戦略プロジェクトが軌道に乗るまでの一定期間は、県がさまざまな支援を行うことといたしまして、その間に、研究機関等にも協力を求め、地元企業、NPOや地域づくりなどの関係団体が積極的に参加できるような、一緒になってやれるような仕組みをつくっていくことが必要でございます。
 最後に、地域振興における県の調整機能の発揮でございます。市町村が協働して地域活性化を進めるためには、意思決定者である市町村長が理解しておくことが特に重要であるというふうに考えております。このために、県の方から呼びかけまして、市町村長が直接参加するような協議会等の推進体制を整備することや、また戦略プロジェクトを一緒になって展開していくというような方向に行くように調整をしていくことが必要であるというふうに考えております。また、地域振興策を幅広い視点で議論、検討する研究会等を設置をいたしまして、地域振興を高度な観点から検討しまして、その地域の将来像でありますとか、戦略プロジェクトを構築していくことも一つの県の調整機能として重要であると考えております。さらに、市町村が実施する施策の支援につきましては、何よりも県庁内の連絡調整を積極的に行いまして、市町村の課題を県庁の中で十分共有化するということも、本当に基本的な問題でございますが、極めて重要であるというふうに考えております。
 以上で県の地域振興のあり方についての説明を終わらせていただきます。

◯三田村統之委員長
 説明は終わりました。
 これより質疑を行います。何か質問等はありませんか。

~略~

◯原竹岩海委員
 議題の二の方か、三の方か、どちらで伺ったらいいのかわかりませんでしたので、三の方の説明を聞いてから質問しようかと思ったんですけれども、市町村合併は、県内に存在する市町村合併が前提でいろいろ現実的な議論がなされておるわけでありますが、一方では、地域では、もうちょっと現実的に、地方主権の確立や地域振興や地域経済の確立を目指して一生懸命頑張っておられるわけでございまして、一例でございますけれども、福岡県の久留米市、そして佐賀県は鳥栖市を中心に、県境を越えて現実的に勉強会をやっていきたいという行政の取り組みがなされておりますが、これは市民には、経済界もそうでございますけれども、非常にインパクトが強いわけでございまして、これに関する福岡県の正式な御認識です。将来に向けての御認識をどのように持ってあるかということと、私は、こういった先進的な考えについては、九州知事会でも道州制ということが議題になっておるということですが、一遍にそこまではいかないと思うんですけども、こういった勉強会に対して、具体的にオブザーバーなり、県ができる勉強会のバックアップの体制といいますか、こういったことを福岡県はもとより、佐賀県とも県同士で行政間交渉をしながら、広域行政の確立ができるようなバックアップの体制をするべきではないかというふうに思うんですけども、その辺まで含めてコメントをいただきたいと思います。

◯三田村統之委員長
 中原地方課長。

◯中原地方課長
 まず一点目の、県境合併に対する県の考え方ということでございますけど、これにつきましては当初、本県が市町村合併の枠組みを決めましたときには、あくまでも県内での市町村の合併ということで、県境合併については一切パターンをお示ししていません。そしてまた、当初、他県の市町村との合併等協議をするなり、事前準備をするなり、そういった市町村もございませんでした。ただ、今、御指摘のように、小郡市、筑紫野市、それから佐賀県の基山、そういったところとの市町村合併を考える勉強会が立ち上がったというのはお聞きしておりますし、またそういった方向で県境を越えた合併の勉強会、これはそれぞれの市町村さんがなさること、これについて県としてはどうのこうのと言うつもりはございません。

◯原竹岩海委員
 県境を越えて勉強会されることにはどうのこうの県の方としては申し上げられませんということですが、一方、道州制について、福岡県は現実的にどのように御認識をされておるかということと、県よりも、地元の首長なり行政マンの方が現実的に経済の確立なり、危機感を持ってしっかり県境を越えて思い切って勉強会をやっておるわけでございまして、これをバックアップするのが県の体制ではなかろうかと思いますが、全く考えていないという認識は、何を根拠に福岡県だけでそういった行政の確立、経済の確立をなされていこうとされておるのかということと、一方、道州制が九州知事会では正式に議題になったということを本委員会でも伺っておるわけです。その辺の整合性はないと思うんですけども、その辺のところをもう一回お願いします。

◯中原地方課長
 私の方はあくまでも市町村合併に係る所管課でございますので、道州制等に係る分については行政経営企画課の方でお答えしていただければと考えております。

◯三田村統之委員長
 田代行政経営企画課長。

◯田代行政経営企画課長
 委員御指摘のように、九州地方知事会で道州制の研究会を立ち上げて、いろんな課題について論議しているところでございますけれども、この道州制の問題と絡んで、市町村合併が進みますと、長期的な視点として、道州制も視野に入れたいろんな課題が出てくるということで、県レベルで九州知事会ではやっているわけでございますけれども、市町村レベルでも、市町村合併によりまして、広域的ないろんな連携ないし県の合併とか道州制とのかかわりを見据えながら、市町村のあり方というものを検討されるということは非常に大事なことだと考えるところでございまして、市町村みずからがそういう国の体制のあり方との絡みの中で地域の将来をどういうふうに見据えるかということについて勉強されている、そういう勉強会を設けられたということにつきましては、非常に歓迎しているところでございます。ですから、その際に、九州知事会でのそういう研究会での検討の状況とか、そういう情報提供等の要請があれば、こちらとしてもいろんな情報を提供しながら、そういう支援をしていきたいと考えているところでございますけど、まだそういう具体的な要請というものはあっていないところでございますけれども、そういう勉強会の進捗状況等、どういうふうにされているかということも、逐次、勉強会の資料等もいただきながら、見守っているところでございます。

◯原竹岩海委員
 ありがとうございます。
 確認でございますけれども、県境を越えてのこういった行政間の勉強会等、交渉等の担当の所管はおたくの方といった確認でいいんですか。所管はどちらの課ですか。

◯田代行政経営企画課長
 県境を越えたいろんな勉強会で、広域連携のあり方の問題もありますし、市町村合併の県境を越えた合併の問題、そういった形になりますと、それぞれの地方課さんなり、地域政策、企画振興のところも絡む部分もあるのかと思いますけれども、国の体制なり、市町村の体制全体の基本的な分権とかそういった絡みのあり方、かかわりという形の観点からいけば、私どもの行政経営企画課の方でいろんな窓口として対応をさせていただきたいとは考えております。

◯原竹岩海委員
 ありがとうございます。
 二点目の確認ですが、そういった自治体の方から、県境を越えての勉強会についての問い合わせがあれば、バックアップの体制なり、フォローの体制はおありであるといったことでいいですか。

◯田代行政経営企画課長
 そういう広域自治体のあり方なりに関する国のいろんな研究会の研究の状況とか、我々で持っている情報等については、そういった情報提供等はさせていただきたいと考えております。

◯原竹岩海委員
 最後の確認ですけども、佐賀県の、向こうも担当をはっきりしなければならないと思うわけでございますが、佐賀県の同じような所管の方との連携をとっていくという御認識はございますか。

◯田代行政経営企画課長
 道州制等の問題につきましては、九州知事会の中で、各県それぞれ連携をとりながらやっているところでございまして、そういった関係で、佐賀県の方からそういう話があれば、当然に連携をとりながらやっていかなければいけないと考えております。