平成17年 12月定例会 (2005.12.14)

◯九番(原竹 岩海君)登壇
 緑友会・新風の原竹岩海でございます。本年も残すところあとわずかとなりました。ことしは、百年の夢でございました九州国立博物館の開館を初め、ねんりんピックの成功、経済では北部九州自動車一〇〇万台生産構想の実現、アジア諸国との連携と協力、農林水産ではブランド化の推進や海外進出への積極的行動、新空港の設置など本当に大変な実績がございました。麻生知事におかれましては、九州いや全国でもトップレベルの行政手腕を遺憾なく発揮をいただいておりますことに、一人の県民といたしまして敬意を表するものであります。本県のさらなる発展を御祈念申し上げまして、質問に入らせていただきたいと存じます。

 それでは、事前通告に従いまして、三点について質問をさせていただきます。

産業廃棄物問題

 まず、産業廃棄物問題についてであります。本年十月七日、総務省九州管区行攻評価局は、福岡県及び政令市に対して、産業廃棄物の管理行政に不適切な点があったとして、事実上の改善を求める通知が出されたところであります。総務省の担当局によりますと、平成十五年八月から同年十一月まで、福岡県を初め関係する政令市や産廃処分業者などを対象に委託契約や管理票などを詳細に調査を実施したところ、管理票の記載漏れや記入ミスが明らかになるとともに、福岡県などが実施をされました、いわゆる立入検査でも、管理票の確認がなされていなかったとして、産廃行政の所管であります環境省に対しまして、地方自治体が適正な産廃行政を実施されるよう勧告がなされておるわけであります。
 そこで知事にお伺いします。今述べました内容が事実ならば、本県の産廃行政は重大な問題を抱えており、本県の産廃行政の信頼が著しく失墜したと言わざるを得ないのであります。事実関係についての詳細な御報告を賜りたいと存じます。
 次に、安定型最終処分場に関する法整備についてであります。さきの議会におきまして、県外からの産廃搬入に関する問題についてある程度議論させていただき、知事より県外からの産廃搬入に関する規制はしないという御答弁をいただいたところであります。私は、その後全国都道府県の県外からの産廃搬入に関する規制等について具体的に政務調査を実施したところであります。今回は、時間の都合上、九州だけを事例として少し議論させていただきたいと存じます。
 九州は福岡県を初め七県ありますが、他県からの産廃の搬入に関する何らかの規制がないのは、残念ながら我が福岡県だけであります。平成三年、大分県は事前承認、鹿児島県が搬入原則禁止、平成四年、佐賀県が原則禁止、宮崎県が事前承認、平成五年、長崎県が事前承認、熊本県が事前協議など、一定の要綱などで産廃搬入に関して何らかの事前把握ができるシステムが設けられております。また、その主な理由として、首都圏からの廃棄物を処理する目的であることが判明し、大きな社会問題となった、県外からの産廃搬入による不適正処理の問題が発生した、県外からの産廃搬入が紛争の要因となった、県民感情を考慮し抑制措置を図ったなどと説明されております。すなわち、本県を除く九州各県は、現在の廃棄物処理法は現状に即していないとして、このような要綱などを設けているものと思われます。本県では、さまざまな地域におきまして不法投棄や産業廃棄物処分場において高濃度の硫化水素の発生、河川やダム水質に関する汚染の不安、浸透水などの問題が報道されております。本県だけでも、毎年一千万トンをはるかに超える産業廃棄物が排出されており、処分場に関する多くの地元との紛争や、県内最終処分場における産廃の受け入れの限界があるのが現状であります。処理能力を大きく超えた産廃の搬入によりまして、産廃が不法投棄や不適正処理される事態が発生しないか、本当に大変憂慮されるところであります。九州の中でも本県は、産廃処分場に関する行政の取り組みが、環境問題の中でも喫緊の最重要課題となっているところであります。
 そこで知事にお尋ねします。安定型最終処分場に係る規制強化に向けまして、さらに法整備を進める必要があると考えますが、知事は法整備の必要性について、どのような御見解をお持ちなのかお伺いをいたしたいと存じます。
 次に、産廃処分場の抜本的解決策についてお尋ねをいたします。福岡県営山神ダムのわずか一・五キロの上流に、複数の安定型産廃処分場が設置をされております。一つは、過積みにより昨年五月に措置命令を受けました処分場と、もう一つは、硫化水素による死亡事故を起こし、本年六月二十四日に業のすべての許可が取り消された処分場でございます。なお、後者の方は行政処分を不服として今はまだ係争中となっておりますが、本処分場が閉鎖をされましても現在でも約百万トンという膨大な産業廃棄物が存在し、高濃度の硫化水素が検出されているのが現状であり、周辺環境やダムの水質の将来にわたる不安が増幅をいたしております。また、本件に関しましては、過去再三再四、関係する自治体や議会から陳情や要望書、意見書等が県に対して提出をされているところであります。
 そこで知事にお伺いします。同ダムの上流域にあります二カ所の産廃処分場の将来にわたる抜本的な対策についてお示しをいただきたいと存じます。
 最後に、市民の健康や環境保全に関する、いわゆる安全宣言を一刻も早くなされますよう強く要望するものであります。

レッドリスト(種の絶滅)

 次に、レッドリストいわゆる種の絶滅についてお伺いします。私たち人間は、自然環境はもとより複雑な生態系の環境の中で絶妙なバランスの中で生かされていると言われております。動植物などの生物の多様性は、人間にとってはなくてはならないものと言われておりますが、残念ながら現実は、世界において毎年約四万種の生物が絶滅をしていると言われておるわけであります。現在進んでいる種の絶滅は、生息地の破壊や環境の著しい悪化、過剰な採取等、人的要素が大きいとされ、人的絶滅率は自然的な絶滅率より千倍から一万倍も大きいと言われておりまして、西暦一五〇〇年以降、人間の活動により絶滅をしました動物だけでも約八百十六種類とも言われておるわけであります。これらを受けまして、我が国では、当時の環境庁が平成十三年にレッドリストを作成し、主な内容は、国内でのおおよそ哺乳類の二三%、鳥類の一三%、爬虫類の一九%、両生類の二二%、淡水魚の二五%、維管束植物の二〇%が絶滅をするおそれがあるとされておるわけであります。この中には残念ながら、メダカなど私どもが少年のころに見なれたものまでが多く含まれておりまして、まことに残念であります。我が福岡県でも、平成十三年三月にレッドデータブックが作成されたところであります。そこで、福岡県のレッドデータブックについて幾つかお尋ねをいたしたいと存じます。
 まず、福岡県内の絶滅種の状況と、知事の本件に関する御認識を伺いたいと存じます。また、県内の希少な野生生物の保全に関する今後の取り組みにつきましても具体策をお示しをいただきたいと存じます。
 次に、先ほど申し上げました種の絶滅やレッドリスト等の問題は、福岡県はもとより、我が国、いや世界の大自然において大変大事なことであります。これら自然の大切さや生物の絶滅について幅広い理解と、種の絶滅に関する人類の歴史的な責任、並びに今後のかかわりについて、教育の場におきましても大変重要な課題であると思うのであります。このため、生物の絶滅を防ぐために、小中学校の段階から重要な教育として学びと実践が必要であると訴えるものであります。そこで、教育長にお伺いをいたしたいと存じます。このような教育の必要性に対する認識と、教育現場での具体的な取り組みについてお答えください。
 また、福岡県と県民の皆さんの多大なる御協力と御尽力で作成された貴重なレッドデータブックは、教材として教育現場においてどのように活用され、地域においてどういう成果が出ているのでしょうか、具体的にお示しをいただきたいと存じます。

道路行政

 最後に、冷水有料道路と一般国道二百号山家地区の交通安全に関する道路行政についてお伺いをします。本件に関しましては、午前中にも同様の質問と発言がございましたので、でき得る限り重複を避けまして質問をいたしたいと存じます。
 私は、本年二月議会と六月議会におきまして、冷水有料道路に関する財政問題や、一般国道二百号の交通安全の確保、有料道路の無料化などの諸問題について一般質問し、知事からおおむね一定の回答をいただいたところであります。これらを踏まえまして、その後の取り組みの経過と問題解決へ向けました施策の進捗状況等について質問をします。
 私が本件について発言をしました六月議会の翌月に早速、県の土木部、県道路公社、地元市町から成る国道二百号現道対策協議会が設置され、四回にわたり協議がなされておりますが、どのような具体的な協議をされたのか、主な検討の内容と今後の取り組みや課題、その内容について具体的にお示しをいただきたいと存じます。
 また、本来現道の交通安全を図るためのバイパスとして建設をされました冷水有料道路がございますが、この道路は当初の予想どおりに交通量が伸びず、このままでいきますと平成二十八年五月の償還期限までに償還できず、結果的に百億円以上が未償還額となると言われております。そこで、この償還問題について、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御見解を伺いたいと存じます。
 以上、明快なる御回答をお願い申し上げまして、質問を終わります。

◯議長(藤田 陽三君)
 麻生知事。

◯知事(麻生 渡君)登壇
 まず第一に、産廃行政につきまして九州の管区行政評価局が行政評価を行いました。本件につきましては、産業廃棄物の管理票に記載漏れがあるといったこと、また県が立入調査におきまして管理票の記載内容などの確認を行っていないではないかという指摘でございます。しかし、この指摘は適切ではありません。本来、記載漏れと言っておりますけれども、これは記載の不要なものの点について記載漏れと言っておる。また立入検査では、必要に応じましてちゃんと管理票の記載内容の確認などを行っているわけであります。したがいまして、我々は再度にわたりましてこのような事実を指摘し、表現の訂正を申し入れたわけでありますけれども、これを聞き入れないまま公表してしまっておるということでございます。したがいまして、私どもはちゃんとした文書によりましてこのような指摘を行い、この評価の公表は適切じゃないという旨の指摘を行っているわけでございます。

 次に、安定型の最終処分場につきまして、一層の法整備が必要ではないかということについてでございます。廃棄物の処理法でございますが、これはもう本当にたびたびにわたりまして改正を行われ、規制の強化がなされてきております。そういう中でございますが、安定型の最終処分の維持管理などにつきましては、一層の整備が必要であるというふうに考えております。具体的に申しますと、構造基準それから維持管理基準の強化ということが必要であろうと思います。また、埋め立て可能な産業廃棄物の見直し、最終処分場設置の際の生活環境保全の配慮事項、これが不明確でございまして、これにつきましても明確化をする必要があるというふうに考えております。このような点を国に対して改正要望しておるところでございますけれども、今後ともこのような方向に向けましての措置がとられますように働きかけをしてまいります。
 山神上流の産業廃棄物処分場の問題についてでございますが、御指摘のございました処分場につきましては、これまでも廃棄物処理法に基づきまして措置命令、改善命令を出しまして、処分場の改善に向けましての必要な措置を講ずるように命じ、また実行を監視しているということでございます。今後とも原因者に対しまして、事業者としての責任を全うするように強く求め指導をしてまいる考えでございます。
 種の絶滅に瀕しておりますレッドリストの問題についてでございます。
 まず、県内の状況でございますけれども、福岡県のレッドデータブックには、県内の絶滅種としまして四十八種を掲載いたしております。この中にはシチメンソウ、フジバカマといった植物、オナガといった鳥類が含まれております。希少野生生物が生息できる、生活ができるという自然環境を、今後後世代に伝承していく、残していくことは、私たちの非常に大切な責務でございます。したがいまして、絶滅種の保護ということについても、今後とも取り組んでいく必要がございます。具体的に申し上げますと、県の方では、環境総合基本計画を策定しております。そしてこの中で、自然環境の保全、創造を主な課題と位置づけておりまして、その一つとしまして希少野生生物の保全を掲げ、これを行っているわけでございます。大規模な公共事業を初め民間事業を実施するに当たりましては、環境影響評価制度によりましてきちっと評価をする、こういうことを通じまして生態系の保全、自然環境への配慮、影響を最小限にするということを行っているわけであります。また、市町村、NPO・ボランティアなどと連携を図りまして、自然環境の保全と創造に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、道路問題でありますが、まず国道二百号の現道対策についてでございます。山家地区の交通環境をよくしますために、本年七月に協議会を設置いたしました。現道の生活環境、交通安全対策について検討を行ってまいりました。協議会では、歩行者、特に小学校、中学校の通学時の安全確保をしますために歩道の整備、路面の表示、また速度警告表示盤の設置などの対策を取りまとめております。今後は、この取りまとめたものを本年度より具体化をしていく、その事業に着手をしてまいります。
 冷水有料道路の償還問題についてでありますけれども、現状のような収支状況で推移をいたしますと、計画どおりの償還というのは厳しい状況にあるというふうに想定をいたしております。他方、料金が割高であるというようなことから、現道の方から有料道路への交通の転換が進まない、その結果といたしまして、現道での交通安全の問題、生活環境の問題がなかなか解決できないという状況でございます。したがいまして、冷水道路の問題は償還問題と現道の交通対策の問題、双方に同時に対処していくという必要があるわけでございます。このため、今回取りまとめました現道対策にあわせまして、引き続き冷水道路の利用促進、転換、このための対策、そしてまた経費節減策、これについて総合的に検討を進め実施をしていく必要があるというふうに考えておるわけであります。

◯議長(藤田 陽三君)
 森山教育長。

◯教育長(森山 良一君)登壇
 生物の絶滅を防ぐ教育についてでございます。多くの動植物が減少する原因は、生息環境の急激な変化や破壊などが大きく影響をいたしておりまして、その環境保全の必要性を小中学校段階から指導するということが大切であると考えております。具体的には、総合的な学習の時間等におきまして、減少するホタルやメダカなどを地域に呼び戻す活動とか、干潟に生息をする野鳥の生態を継続的に調査する活動などを通しまして、自然環境を守ることの必要性を指導いたしておるところでございます。

 また、レッドデータブックにつきましては、環境に関する学習におきまして調査活動の情報源として活用されておりまして、今後とも本資料の活用も含めた環境教育の推進に努めてまいりたいと考えております。

◯議長(藤田 陽三君)
 原竹岩海君。

◯九番(原竹 岩海君)登壇
 一定御回答をいただいたところでございます。なお、有料道路問題に関して再質問を一点だけさせていただきたいと存じます。

 先ほどでございますけれども、一般国道二百号に関しましては、十七年度から十九年度にかけまして二億円をかけまして道路の安全対策の実施をいたしてまいるということでございまして、地元の県民の一人として本当に感謝を申し上げる次第であります。
 有料道路の問題でございますけれども、私どもが住んでおります市は筑紫野市というところでございますけれども、本市を中心として東側には冷水の有料道路がありまして、西側には鳥栖筑紫野有料道路──地元では通称でございますけれども県道五号線と言っておりますが、有料道路がございます、佐賀県との県境でございますけれども。平成十六年の決算特別委員会の審査におきまして執行部より、本有料道路は平成十九年五月九日から期限を延長することなく完全に無料化の実施をいたしてまいりますとの回答をいただいたところであります。本件に関しまして、麻生知事に確認をさせていただきたいと存じます。執行部の発言のとおり、本有料道路は平成十九年五月の九日から期限を延長することなく通行完全無料化を実施されるのでありますでしょうか。明快なる御回答をお願い申し上げたいと存じます。

◯議長(藤田 陽三君)
 麻生知事。

◯知事(麻生 渡君)登壇
 冷水の有料道路について質問があったわけですが、鳥栖筑紫野線の有料道路は、これ本来の質問の中になかった点であると思います。あえて再質問だということでございますからお答えをしようと思います。

 鳥栖筑紫野有料道路について、料金の徴収期間をどうするかという問題につきましては、基本的には今御指摘のような方向でございますが、実際にこれをどうするかということにつきましては、大臣の許可を要するという仕組みになっております。そして、事業者側で料金とかその徴収期間、収支状況等々を申し出まして、大臣の最終的な許可を得るということでございます。したがいまして、今後の利用者あるいは地域の声、当初の計画どおりの有料道路計画が完成するかということが大きいわけでございまして、当初計画どおり完成しますように、引き続き道路公社の事業の督励に努めてまいる考えでございます。

◯議長(藤田 陽三君)
 原竹岩海君。

◯九番(原竹 岩海君)登壇
 知事から一定の回答をいただいたところでございますが、昨年の決算委員会での執行部の御回答では、完全無料化を実施をいたしてまいりますという議事録もしっかり残っておるわけでございまして、知事の答弁とその辺のところに差異があるのではないかなと思いますが、その辺のところをもう一度、知事の方に、執行部の回答と、知事の御回答は慎重にということでございますが、その辺のところをもう一度御確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

◯議長(藤田 陽三君)
 麻生知事。

◯知事(麻生 渡君)登壇
 有料道路につきましては、一般的に、つくりましてその費用を料金で回収をしたという場合には、無料化をするというのが原則であります。我々は、そのような原則的な考え方のもとに有料道路を運営しているわけでございます。実際に、これを実行するということになりました場合には、これは先ほど申しましたように、地方分権じゃございませんで、大臣許可が必要であるということでございまして、そのような大臣許可、相当慎重ないろんな判断を求められるということでありますが、そういう手続をしてやっていかないかぬということを申し上げたわけであります。