平成18年 2月定例会 (2006.03.09)
森林環境税
◯九番(原竹 岩海君)
皆さん、こんにちは。緑友会・新風の原竹でございます。通告に従いまして、質問させていただきます。
まず、森林環境税に関しまして私の考えを含めまして幾つかお尋ねをいたします。なお、本件に関しましては我が会派の代表質問がございましたので、これらを踏まえまして質問をさせていただきたいと存じます。
知事は、平成十八年度の新規事業として、森林環境税──仮称でございますけれども──構想推進事業を実施するとされ、主な目的として、木材価格の低迷や人件費の高騰などにより林業経営の収益は悪化し、森林資源の循環が滞り、その適正な保全、整備を行うことが難しくなり、荒廃森林が増加をいたしておる。また、森林は県土や自然環境の保全に重要な役割を果たす県民の共有の財産で、健全な形で次の世代に引き継いでいこうと外部委員会を設置し、検討しながらシンポジウムを開催する、という内容の説明をされているところであります。私は、いわゆる森林環境税に関しましては、平成十五年十二月議会、平成十六年二月議会及び平成十五年度と十六年度の決算特別委員会におきまして、幾度となく早期に導入をするべきであると発言をいたしている議員の一人であります。その理由でございますけれども、福岡県民が水道水源や空気など安全で安心な環境の中で日々健康的な生活が持続されますよう、新たな施策を確立されるべく早期に森林環境税の制度を導入すべきであると訴えたものであります。本件に関しまして、麻生知事に英断を促した議員といたしまして、今回の同推進事業の実施に対し、心から敬意と感謝を申し上げたいと存じます。
さて、本税は平成十五年度に高知県が初めて導入し、その後十六年度に岡山県、十七年度は熊本県や鹿児島県を初め六県が実施、次年度は大分県など九県が導入の予定のようであります。我が福岡県も、森林環境税の導入に関しましては、県民の御理解が必要でありますので、その確認を含めまして幾つか質問させていただきたいと存じます。
まず、本件に関する税構想は、県民のみんなが共有をいたしております水、大気、土壌などの環境保全の問題と、地球温暖化に関する京都議定書のCO2削減に関する森林保全施策の充実を目標といたしておるものであります。我が福岡県の自然環境保全の危機、その中でも特に森林の荒廃が急激なスピードで進んでおることをもっとしっかりと訴えるべきと考えますが、麻生知事の御見解を賜りたいと存じます。
昨年、鹿児島県が導入しました森林環境税は普通税で、個人県民税の均等割額に五百円、法人が均等割額の五%相当を加算し、おおむね三億八千万円の税収が見込まれるといたしております。例えば、鹿児島県の例で申し上げるなら、本県の試算をいたした場合、福岡県の人口から見まして相当規模の税収が見込まれるところであります。知事は、我が会派の代表質問に対し、今後外部検討委員会において、森林荒廃を放置した場合の影響やその対処方法について、具体的な検討を行うと答弁され、外部検討委員会において税の必要性や使途についても検討をいたしていく、その内容の発言をしておられるところであります。この導入は、森林の持つ公益的機能から見ましても非常に多岐にわたっておりまして、森林に関する担当部だけでされる内容ではない、総務部はもとより環境部等全庁にかかわる森林を通じた本県の環境に関する重要な施策であると思うわけでありますが、御見解を賜りたいと存じます。
次に、産業廃棄物問題についてであります。県は現在、筑紫野市平等寺にある産業廃棄物処分場の事業者と行政処分に関して係争中でありますが、地元住民の皆さんからは、裁判をしているのはわかっている、しかしこのままの状態では処分場内の浸透水などの水質や周辺環境がますます悪化をしていくのではないかと憂慮しておられます。同処分場に関する直近の環境調査結果について、具体的にお示しをいただきたいと存じます。また、山神ダム上流域にある二つの産廃処分場のその改善と安全宣言を早期に実施をなされますよう、引き続き強く要望するものであります。
次に、産廃税の導入をされましたが、それらの使途としまして、県下の市町村に対し産廃に関する周辺環境調査や不法投棄対策に関する申請が出されれば一定の助成を実施いたしてまいると言われておりましたが、その後の自治体の申請内容と助成額の状況について環境部長にお伺いをいたしたいと存じます。
また、今議会に現宮若市、旧
今後、本県では多くの地域で産廃に関する環境調査費を初め改善対策費など莫大な費用が必要になると予想されます。本来ならば、処理費は排出者に責任があり、産廃税だけでは到底処理できなくなり、今後の大きな課題となっていくものと思われます。このことから、知事に対しまして産廃問題が各地で複雑になり、混迷する前に福岡県民生活の安全と安心の向上を目指し、環境行政の確立をされますよう強く要請をするものであります。
アスベスト廃棄物
最後に、アスベストの処理に関しましてお伺いをします。さきの議会におきまして、福岡県でアスベストを処理できる最終処分場は
御清聴ありがとうございました。
◯知事(麻生 渡君)
森林環境税の問題についてでございます。まず、森林の荒廃という問題でございます。これがこのようなことを検討せざるを得ない事柄の出発点になるわけでございます。この森林荒廃の現状及び将来につきましては、まず本県の場合には人工林の割合が非常に大きいわけでありますけれども、この人工林が、林業が非常に今苦境に陥っておりまして、思うように間伐その他の手入れができない、その結果といたしましていわゆる森林の公益的な機能、水源の涵養機能あるいは土砂の流出といった点について十分機能が果たせなくなっておるという、荒廃森林がずっとふえ続けるという状況にあるわけでございまして、これが十年後、二十年後、さらに三十年後このままふえ続けた場合には、非常に大きな私どもの生活の基盤に悪い影響が出てくるということが考えられます。したがいまして、このような荒廃の状況、その結果として起こるいろんな悪影響について正確に県民の皆さんに知ってもらうということが非常に重要であると考えているわけでございまして、このためシンポジウムあるいはその他の広報活動によりましてできるだけ正確な情報を知ってもらうということで啓発活動に努めてまいる考えでございます。
このような森林環境税を研究するに当たっての庁内の体制でございますけれども、これは当然のことながら水産林務部、ここが中心になってやってまいります。ただ、実際の具体的な検討に当たりましては、総務部あるいは環境部、そのようなところとの協力が不可欠でありますから、当然そのような部局との協力のもとに全体として進めてまいるという考えでございます。
筑紫野の産廃処分場の環境調査結果でございますけれども、県の方では処分場内の浸透水といったものの水質、それから周辺の環境への影響、これを把握いたしますために毎月一回継続的に調査を行っております。最近の調査結果では、処分場内の水質についてはいずれも基準値以下でございます。また、処分場周辺の河川の水質につきましても基準値に適合している状況でございます。
旧
アスベスト廃棄物の処理についてでございます。従来、アスベスト廃棄物は、専ら埋立処分を行ってまいりました。しかし、溶融によるアスベストの無害化処理ということも可能であるということがわかりまして、これを促進をいたしますために、二月に廃棄物処理法が改正をされまして、この溶融についての認定制度が新たに設けられました。この制度は、現在の民間の溶融施設につきまして国がその方式、中身についての安全性を確認するということを経て認定を行うものでございます。処分業あるいは施設設置の許可ということを経ることなくこの認定を受ければアスベスト処理が可能になるというものでございます。したがいまして、県はこの認定制度を活用しながらアスベスト廃棄物の適正処理、これを進めてまいる考えでございます。
◯環境部長(原 明輝君)
市町村が行います産廃に関する環境調査等への助成についてでありますが、本年度は七市町から八件の申請がなされております。その内訳は、産廃処分場周辺の水質調査が三件、産廃処分場に搬入される産廃の内容確認が一件、不法投棄防止のための監視カメラ、看板等の設置が四件となっております。これらの申請に対して、産廃税を財源として申請額どおりの四百二十万円余の交付決定を行っております。
◯九番(原竹 岩海君)
再質問と申しますか、要望をいたしたいと思いますが、一点は感想でありまして、アスベストの問題の対策に関しましては明快な回答をいただきまして、本当に感謝申し上げたいと思っております。あとは、どれだけ福岡県がこういったことで処理ができるかということが全国でしっかり私は試されると思いますので、それがためにもしっかりリーダーシップをとっていただきたいと思っております。
二点目でございますけれども、森林環境税についてでございますけれども、本税は普通税になるのか法定外目的税になるのかは今後十分御議論をされると思うわけであります。いずれにいたしましても、本税は限りなく県民から見ましたら我々が出した三百円だったら三百円、五百円だったら五百円ですけれども、こういったものがどういうふうに利用されるのかということをしっかり、関心があられるんだろうと思います。本税は、限りなく私は、目的税に近いものだというふうに思うわけであります。よって、本税導入におきましては、一定の基金制度を設置をされ、県民の環境保全に関する税金の入りと出が見える形の施策をしっかり確立をいただきますことを要望しまして質問を終わります。
ありがとうございました。