平成18年 総務企画委員会 (2006.10.04)

森林環境税

◯日野喜美男委員長
 次に報告事項に入ります。「森林環境税(仮称)検討委員会中間報告について」を議題といたします。執行部の説明を求めます。西村税務課長。

◯西村税務課長
 報告事項の森林環境税検討委員会中間報告についてでございますけれども、まず森林環境税の検討経過について御説明申し上げていきたいと思います。御承知のとおり森林は水源かん養や土砂災害防止、さらには地球温暖化防止など、県民生活に密接した重要な働きを持っております。このため平成十四年に九州地方知事会において森林保全のための税制のあり方について研究されることが決定されております。この研究成果が平成十六年に報告されましたけれども、その内容は水源かん養機能や地球温暖化防止に大きな働きを持つ森林の保全は各県共通の課題でございますけれども、森林面積や都市化の状況などが個々に異なることから、各県はそれぞれに検討を進めることが望まれるという内容のものでございました。このため本県におきましても同年、水産林務部を中心にいたしまして県庁の関係部局からなる庁内研究会をまず設置して、森林荒廃からの再生のためどのような施策が考えられるか等について研究を進めてまいったところでございます。しかしながらこのような新たな施策の検討につきましては広く県民の皆さまから御意見をいただくことが重要であるということから、本年四月、水産林務部を事務局といたしまして学識経験者による検討委員会を設け、検討を進めてきたところでございます。この検討委員会からの中間報告は去る九月二十日に公表されておりますけれども、その概要についてお手元の資料に沿って御説明申し上げたいと思います。恐れ入りますが、報告事項の一ページをお願いいたします。
 まず本県の森林荒廃の現状でございますけれども、森林は木材生産だけでなく、水や酸素の供給、土砂災害の防止などの公益的機能を有し、県民の生活に多くの恵みをもたらしているところでございます。この森林の有する公益的機能は植林や下草刈り、間伐といった森林所有者による林業活動の結果、維持、発揮されてきたところでございます。しかし近年、安い外材の輸入拡大に伴う国産材価格の低迷や、それから労務賃金の上昇などによりまして、林業の採算性が悪化したため手入れが行われず、放置され、荒廃した森林が増加している状況がございます。本県にはスギやヒノキなどの人工林が約十三万ヘクタールございますけれども、この人工林の約四分の一に当たる二万九千ヘクタールが荒廃していると推測されているところでございます。仮にこの荒廃森林をこのまま放置いたしますと、荒廃した森林はさらに拡大することが予想されているところでございます。
 次に森林再生のための新たな施策でございますけれども、荒廃森林をこのまま放置いたしますと水源かん養や土砂災害防止などの森林の有する公益的機能がさらに低下いたしまして、県民生活に重大な悪影響を及ぼすことが懸念されております。特に近年、地球温暖化が原因ではないかといわれる大型の台風や集中豪雨などにより荒廃した森林は、山の斜面の崩壊などの土砂災害の発生が危惧されておるところでもございます。森林は一旦、被災すると、良好な状態に戻すためには長い年月と多くの労力が必要となることになります。中間報告ではこのような災害を未然に防ぐためにも、荒廃森林を早急に再生する必要があるとされているところでございます。
 本県ではこれまで林業に対するさまざまな支援を行うことで森林の保全を図ってきたところでございますけれども、林業を取り巻く状況に急激な好転が望めないことから、従来の林業支援や森林所有者の努力のみでは、もはや荒廃した森林を再生することは困難な状況にございます。このように森林所有者の林業活動だけでは支えられなくなった現在、森林を健全な状態で次世代へ引き継いでいくためには、森林の恩恵は県民が広く公平に享受しているという視点に立ち、新たな施策が必要であるとされております。このためには緊急に必要とされる荒廃した森林の再生事業や、森林を県民共有の財産として社会全体で守り育てる気運の向上を図るための県民参加型の森林づくりの推進。そういった事業が有効とされております。
 報告事項の二ページをお願いいたします。荒廃した森林の再生事業でございますけれども、この事業は私有財産である個人の森林を公的資金で整備することとなりますので、一定期間、伐採を禁止するなど、森林所有者の権利を制限し、公益的機能を長時間、担保する仕組みが必要であるとされております。また県民参加型の森林づくりの推進事業でございますけれども、森林の重要性や荒廃した森林再生の必要性などについてさまざまな媒体を通じて情報を発信していくほか、企業やNPOからの森林保全に関する提案を募集する広報事業についても特に推進すべきとされております。
 次に森林再生のための負担の考え方でございますけれども、森林からの恩恵は県民が広く享受しているものでございます。森林を県民共有の財産として社会全体で守り育てるという観点から、県民に広く公平に税負担を求めることが適当とされております。なお、税の仕組みといたしましては、地域社会の会費としての性格を持つ県民税均等割に一定額の上乗せをする方式を最も適当であるとされたところでございます。また上乗せの程度といたしましては、荒廃した森林は緊急に再生する必要があり、公益的機能を回復し維持するための間伐や植採、企業やNPOが行う森林保全活動に対する支援を当面、十年かけて実施するには約百三十億円の費用が税収使途として見込まれておるところでございます。このことから年間に直しますと十三億円程度の費用になることや、それから個人県民税の税収割合などを勘案いたしまして、基本的には個人県民税均等割に五百円、法人県民税均等割にその額の五%相当額を上乗せすることが考えられる、とされたものでございます。この税制度につきましては、事業の進捗状況や税収の動向等などを踏まえ、一定期間後には検証する必要があるとされておるところでもございます。中間報告の概要につきましては以上でございます。
 この中間報告につきましては現在、県のホームページなどで公開いたしまして、十月十日までパブリックコメントやアンケート調査等を実施いたしまして、広く県民の皆さまの御意見を募っていくところでございます。今後はこれらの意見を十分に踏まえ検討委員会において最終報告が取りまとめられることとなっております。中間報告の内容についての御説明を以上でございます。なお、中間報告をお配りしておりますので、よろしくお願い申し上げておきます。御審議のほどをよろしくお願い申します。

◯日野喜美男委員長
 説明は終わりました。これより質疑を行います。何か質疑はありませんか。

~略~

◯原竹岩海委員
 意見と質問を二点ほどちょっと言いたいんですが。森林環境税というのは平成十五年に高知県が最初に取り入れて、それから三年くらいたっておりますけれどもね、九州全域でもしっかり、こういった制度は網羅をされておりまして、むしろ私はこういった取り組みがもう少しきちっと迅速に対応されるべきではないかという方の立場であります。これは伺ったところでは普通税でございますけれども、私どもの方から見れば限りなく目的税に近い普通税というふうに考えております。現場はそういうふうに最悪状態であるということでございまして、前倒しでこういったことをきちっと勇気を持って選挙前に県知事が方向性を出していただいたということでは、感謝の気持ちでいっぱいであります。
 それを踏まえましてちょっと質問でございますけれども。十三億円の見込みということでございますが、循環型社会の確立を目指すといったことを踏まえた場合に、間伐材等の再利用も、こういったことに当たっては十分、利用できるんではなかろうかなと思っておりますが、それを踏まえまして県行政とか県下の市町村でこういった再利用といいますか、利用種もそうでございますけれども、配慮もそうでございますけれども、いろんなことで皆さんの名札といいますかね、こういったことでも県下でいろいろ利用できると思いますが、そういったことにこういったものがきちっと利用できるのかということと、その方向性をしっかり出しておられるのかということが一点。
 もう一つ、名称でございますが、森林環境税というのは高知県が考えた名称でございますけれども、九州各県では森林環境税とは違った、なじみやすいいろんな税の名称を。それであくまでこれは仮称で書いておりますけれども、こういった名称をそのまま仮称を取るだけの名称なのかということと、先ほど課長の説明では県民の参加型の税の確立を目指すということでございますが、こういった名称だけでも県民がいろんな対案を出せるという、いいきっかけではなかろうかなと思います。それを踏まえた場合、こういった名称についての取扱い等についてどのように考えておられるかということの、以上の二点をちょっと伺いたいと思います。

◯日野喜美男委員長
 原竹委員へ。間伐の再利用とかというようなことについては、ちょっと、税務課の方ではわからないですね。所管が違いますから。では、あとの分を西村税務課長。

◯西村税務課長
 今、県民に広く意見を求めている段階でございますので、名称を含めて。今、仮称でございますから、いろんな御意見が出た中で、さまざまな観点から検討させていただきたいというふうに考えております。

~略~

◯原竹岩海委員
 発言の訂正をさせていただきます。循環型社会と間伐材の再利用については意見とさせていただきます。