平成18年度 決算特別委員会 (2007.10.31)


産業廃棄物行政

◯原竹岩海委員
 
 こんにちは。民主・県政クラブの原竹といいます。
 私は、産業廃棄物行政について幾つか集中的に質問させていただきたいと思います。
 戦後、我が国は敗戦から復興すべく、世界の先進国に追いつき追い越せと、何よりも経済活動を最優先させ、大量生産と大量消費を何回も繰り返してまいりました。その結果として今日の繁栄があるのも事実であります。しかし近年、その一方におきまして、全国各地でさまざまな産業から排出をされる膨大な量の産業廃棄物、そしてまた産廃の処分場に関する件が深刻な社会的問題になっておりますことは、周知のところであります。これらの諸問題解決をするために、国や県は廃棄物発生の抑制やリサイクルを推進し、循環型社会の確立へ向けて施策の充実や法律などの整備を、漸進的とはいえ進められておりますのが現状であります。
 そこで、まず伺いたいんですが、福岡県内で埋め立てられております産業廃棄物の処分の量はどのような傾向にございますか。御回答をお願い申し上げたいと存じます。

◯江口吉男委員長 
 田中廃棄物対策課長。

◯田中廃棄物対策課長 
 県では本年四月に福岡県廃棄物処理計画というのを改定いたしましたが、この計画によりますと、平成十七年度の埋め立て処分量の実績は七十七万九千トンになっております。これは平成十二年度の埋め立て処分量、これが百五十九万三千トンでございますが、これと比較しますと八十一万四千トン、率にしますと五一%の減少ということで、おおむね半分ぐらいになっていると。近年、各種リサイクル法の施行によりまして、そういうリサイクルや、あるいは再資源化、こういったことが進展してきておりますし、埋め立て処分量については減少傾向にあると考えております。

◯原竹岩海委員  
 ありがとうございました。リサイクルの推進や減量化によりまして、処分の量はある程度でございますけども減少の傾向にあるように思えるわけでございます。
 それでは、県内におけます産業廃棄物最終処分場の施設の状況についてお伺いをいたしたいと存じます。最終処分場の総数は幾らでしょうか。そしてまた、過去十年ぐらい設置をされました最終処分場の数、廃止や埋め立てが終了いたしております最終処分場の数についてお伺いします。

◯田中廃棄物対策課長 
 平成十八年三月末現在の数値でございますが、県内の最終処分場の数は八十六カ所でございます。それから、最終処分場の新設、廃止等の状況ということでございますが、平成九年度以降の十年間で新たに許可された最終処分場は五カ所、それから廃止や埋め立てが終わった処分場は三十八カ所となっております。

◯原竹岩海委員 
 埋め立ての量そのものは減少傾向のようでございますけども、産廃の絶対量というのは膨大な量がございまして、依然として、きのうも出た、きょうも出る、あしたも出るんですね。こういった傾向でございます。このような中で、先ほどの報告でございますけども、十年間で新たにできた処分場がたったの五カ所です。そして埋め立ての終了もしくは廃止をいたしておる、一応ですね、使えない処分場が三十八カ所もあるということなんですね。こういったことで、福岡県の産廃の処分というのはどのような方向でやっていくかということが非常に心配であります。
 本県の十年後、二十年後の産廃行政は長期的に見た場合に本当に大丈夫なのかと、心配をいたしておりますのは自分だけではないと思うわけであります。ひょっとすると、建設の業界の方も大丈夫なのかと心配をされておるのではなかろうかなと思うわけですね。
 さらに公共関与の最終処分場でございますけれども、県として今日まで何ら具体的な施策の進捗が見られないのも一方では事実であります。こういったことが喫緊の課題と、私はしっかり本席上から訴えさせていただきたいわけであります。
 そこで福岡県には、要望でございますけども、福岡県民に対しまして、廃棄物処分に関して安心感を醸成することが一番重要なことであると私は思うわけであります。よって、ぜひ公の関与の処分場に関しまして、具体的な施策を早期に打ち出していただきたいと、しっかり強く要望をいたしたいと存じます。
 話は少し変わりますけど、福岡県の最終処分場の問題といえば、全国で有名になったところがあります。これは御存じのように、過去四年間、市議会からするともう何年間もやっております。平成十一年十月の六日に、福岡県の筑紫野市平等寺というところがありますが、福岡県営山神ダムのすぐ上流域に膨大な量の産廃の処分場があります。そこの当該処分場にて三名の方が、残念ながら場内にて硫化水素が原因で即死をされております。伺ったところでは、人が六百ppmから七百ppmで死ぬということでございますが、三人の方が亡くなったときは残念ながら、一万五千ppmをはるかに超える硫化水素が吹き上げておったということでございます。こういったことで、福岡県も産業廃棄物に関しました許可権、指導監督権、すべてあります。こういったことで、福岡県の環境行政の責任は重大であると言わざるを得ないわけであります。
 本県に関しましては、事故の当初から市民団体、地元の自治体も議会もそうでございますけども、抜本的問題の解決に向けて一生懸命頑張っていただいております。地元選出の県会議員、藤田陽三先輩議員と一緒になって、自分たちも抜本的な問題の解決の先頭に立っておるわけでございますが、残念ながら、「一生懸命君たちは頑張りよるけども、目に見えるしっかりとした成果がないじゃないか」ということを、おしかりを市民から一方ではいただいております。こういったことで、私は何回も福岡県のほうにお願いを申し上げておるわけでございまして、そしてまた私も、本県はもとよりでございますが、毎年、環境省のほうに陳情に行っております。
 本当に福岡県だけでこういった莫大な量の産業廃棄物の問題がしっかり解決ができるのか。資金力は福岡県にしっかりあるんだろうか。こういったことで、私は市民団体ともしっかり勉強して、法の未整備というもので、政府も国も十分責任を感じてと、そういったことで要請に何回も伺っております。環境省の職員の方は、「ああ、毎年来られますね」と言われます。「しかしこれは、知ってあるでしょう、先生。地元の問題なんですよ。もう帰ってください」と言われないばかりでございます。私は憤りを感じながら、毎年、福岡県に飛行機に乗って帰ってきております。非常に残念な気持ちでございます。
 こういったことで、法の未整備ということで、少しお互いの確認をいたしたいと思います。廃棄物処理法は毎年本当にころころ変わっております。環境省の職員の方もわからんごとなったということなんです。前年はこういったものまではオーケーだった、もう今回からだめだと。非常に厳しくなった。毎回毎回ルールが変わるということは、業者の方も私は大変ではなかろうかなと思っております。こういうふうに廃棄物処理法というのは変わっておりますが、残念ながら抜本的問題の解決には一切、私はイコールをやっていないのではなかろうかなと思う議員の一人でございます。このことについて産廃行政の責任者でございます県はどのように考えられておるか、伺いたいと思います。
 また、福岡県は政府などにさまざまな提言や要請活動を実施をされておると聞いておりますが、具体的な要望や提言はどのような内容なのか、お伺いをしたいと存じます。

◯田中廃棄物対策課長 
 
今お話がありましたように、廃棄物処理法につきましては近年でも数次にわたって、例えば十二年度改正以降も年によっては四年ぐらい続けて改正をされるというふうな状況も、当然これは、例えば排出事業者の責任でありますとか、あるいは不法投棄等に対する、例えば罰則の強化だとか、いろいろそういう部分がございますが、今御質問にあります処分場といいますか、そういう部分に関しましては、例えば水道水源を目的とするようなダム、この上流に最終処分場を立地するというような場合の、例えば生活環境保全上の配慮事項ですね、あるいは許可が取り消されたそういう施設、それに係る法の適用の問題、こういったものについてはより明確にしていく必要があると、そのように考えております。
 それから、続きまして国への提言といいますか、そういう内容、どういうことをやっているのかというお尋ねでございます。国に対しましては、県としましては毎年度国の制度、政策、予算、こういうものに関する要望活動を行っておりますが、本年七月に行いました国へのそういう活動の中では、安定型処分場に係る構造基準の強化、あるいは埋め立て可能な廃棄物の種類、これは処分場によって埋め立てられる廃棄物というのが決まっておりますので、そういう種類の見直しや、稼働中あるいは閉鎖した安定型処分場で必要な改善措置を例えば講じる必要があるというような場合には、そういう措置が講じられるような財政支援を含めた法制度の整備、さらには、先ほどもちょっと触れましたが、水道水源上流部へ立地する等、そういう場合の最終処分場に係る生活環境保全上の配慮事項をきっちり明確にしていただきたいと、こういったことなど、法制度のさらなる改正、強化、こういうものを提言いたしておるところでございます。また、このほか、九州知事会でありますとか全国知事会、このような提言活動の中でも同様な提言を行っているところでございます。

◯原竹岩海委員 
 ありがとうございました。あのですね、課長。県が行っておる提言というのは、大きく三項目でございますね。しかしながら、これは市民感覚で言いましたら当たり前のことなんですね。ダムの上流域、水道水源の上流部への立地を法で一切規制をやったのは、こういったことの基本的な部分なんです。こういったことでも、私は県も、国の厚い壁に風穴をあけることは非常に難しいとは存じますが、ぜひこういった大事な要請行動というのは、継続性を持って根気強く、しっかり頑張っていただきたいと存じます。市民も冷静な方はしっかり見つめておられるのではなかろうかなと思うところであります。
 一方、廃棄物処理法は本当に問題点が多いわけでございますけれども、その中でも今度の法の改正の中で、産廃業者の優良性の判断にかかわる評価制度の創設というものが非常に業界からも注目されております。この制度は、排出業者が処理業者に委託する際に、処理業者に関する情報をもとに適正処理に寄与するとして、私も昨年の九月だったと思いますが、議会から訴えたわけでございますけども、制度導入から一定の時間がたっておりますが、経過なり進捗状況について報告を受けたいと思います。

◯田中廃棄物対策課長 
 産業廃棄物の優良性の判断に係る評価制度と申しますのは、国のほうで評価基準ということできちっと法等を守って適切に事業活動を行っているか、それから、例えば当該会社でありますとかそこの事業活動の内容でありますとか財務関係のそういった資料の公開だとか、あるいは環境保全への取り組みということで、例えばISO14001でありますとか、そういった認証制度を取得して取り組んでいるか、そういった評価基準というのに適合すると、例えば県でありますとかそこが認めた場合には、一定その許可証の中にそういう認定業者の旨を記載するとか、そういうふうな制度でございますが、この制度の導入に当たりましては、県内で統一的に運用することが望ましいということで、廃棄物処理法上の権限と申しますのは、県内の場合に福岡県、それから北九州市、福岡市、それから大牟田市、これがその権限を有しておるわけですが、共通の評価基準を設けまして、昨年の十月から運用を開始しております。
 そして運用開始後一年を経過するわけでございますけども、現在その評価基準に適合するということで県が認定をしました業者は、現在延べ九業者、それから三市が認定をした業者数は延べ二十二業者、計三十一業者となっております。この制度は産業廃棄物の適正処理や優良業者の育成などに資するものでありますので、今後とも関係団体と連携し、より一層の制度の普及促進に努めていきたいと考えております。

◯原竹岩海委員 
 優良企業が合計で三十一業者というのは福岡県下の中で多いのか少ないのか、私は専門家でございませんのでわかりませんが、よかったらこういった優良企業になるように、行政の指導監督を今後ともよろしくお願い申し上げたいと存じます。
 時間がございませんので、最後でございますけども、環境部長とはおつき合いがずっと長うございまして、本当に申しわけないなと思っております。最後に環境部長にお伺いをしたいと存じます。福岡県営山神ダム上流域にある産廃の処分場は、なかなか目に見えて改善が進んでいないのが現状じゃないでしょうか。地元の多くの皆さん方から、先ほども訴えましたけど、非常にいら立った声が直接私のほうに届いております。一人や二人じゃございません、すごい数なんです。
 一方、県は当該事業者と事業に関する許可の取り消しに関して係争中であります。来月にも県職員の証人喚問も予定をされておると伺っております。行政の担当職員の皆さんの御苦労も一定の理解はできますが、本裁判は福岡県が絶対負けるわけにはいかないという、歴史上残る裁判だと思います。
 そこで、福岡県におかれましては、本件の早期解決はもとより、裁判への取り組みの決意並びに本県下での産廃行政の確立に向けました環境部長の認識と御決意についてお伺いをしたいと存じます。

◯江口吉男委員長 
 角環境部長。

◯角環境部長 
 筑紫野市の産廃処分場の問題につきましては、抜本的な改善計画を出させ、かつ許可容量を超えた埋め立てというものも判明いたしておりますので、その中で許容量を超えた埋め立て物の撤去なども指導してきているところでございます。しかし、今委員がおっしゃいますように、その部分についていまだ完了していないという状況でございます。このことにつきましては処理業者の責任を全うするということで、今後とも強く指導していく覚悟でございます。
 それから、県が行いました行政処分に対します行政処分の取り消しを求める裁判を今争っているところでございます。今委員がおっしゃいますように、現在、証人尋問というような段階でございます。県といたしましては、この処分につきましては現場において廃棄物処理法の重大な違反を現認したということから、許可の取り消しを、処分というものを行ったものでございまして、この処分が少しでも揺るぐことがないように、懸命に戦っております。勝訴に向けて最大限の力を傾注してまいりたいと考えております。
 それから、今後の廃棄物の行政のことでございますけれども、私ども、循環型社会の構築に向けて取り組んでおりますけれども、産業活動に伴いまして産業廃棄物、廃棄物の発生は避けて通れないというものがあろうかと思います。そういうふうに認識をいたしております。そこで、廃棄物の発生をできるだけ抑えたものづくり、発生抑制、リデュース、それから出ました廃棄物の再使用、リユース、それからそれを原料といたしまして再生利用いたしますリサイクル、こういったものを推進するとともに適正処理することが重要であると考えております。排出業者に対します先ほどの三R(リデュース・リユース・リサイクル)でございますけれども、この三Rの推進、それから出てきました廃棄物を適正処理するための、先ほどもあります優良業者の育成が重要であると考えておりまして、関係団体とも連携いたしまして、循環型社会を目指しました廃棄物の行政の確立に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。

◯原竹岩海委員 
 委員長、済みません。お願いがございますが、産廃行政、非常に大事なときに迫っておりまして、産廃行政の最高責任者でございます麻生知事に対しまして具体的な御見解を賜りたいと存じます。よって、委員長におかれましては本件に関しましての知事保留質疑をお願い申し上げたいと存じます。

◯江口吉男委員長 
 ただいま原竹委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることといたします。
 なお、知事保留質疑は十一月八日に行う予定でありますので、御了承ください。

◯原竹岩海委員  
 ありがとうございました。終わります。