平成20年 農林水産委員会 (2008.05.13)

ハダニ防除の生態系への影響


◯廣田経営技術支援課長
 調査事項一ページをお願いいたします。農業総合試験場におきましては、今まで夢つくし、それからあまおうなど品種改良を重ねて、県農業の振興のためにいろんな技術開発に取り組んでおりますが、十九年度に出ました成果のうち二つの事例について報告をさせていただきます。
 (中略)
 続きまして、二ページをお願いします。これはイチゴの天敵を活用いたしまして、ハダニを防除するという体系の開発でございます。イチゴの栽培ではハダニが非常に防除困難な害虫でございます。一部、今までチリカブリダニという天敵を使いましてやっておりましたけども、これだけではやっぱり農薬を使わざるを得ないということでございましたので、今回、新たに土着天敵のミヤコカブリダニを加える体系によりましてハダニを防除する体系を確立いたしました。「成果の特徴」の欄に記載をしておりますが、計画的に天敵を入れるということによりまして、ハダニ防除が可能になり容易になりました。大幅に農薬の使用量が減らせるということが可能になりました。中ほどに図を記載しておりますけども、イチゴにつきましては、九月に定植をされまして、十月末にビニール被覆、それから五月ぐらいまで収穫が続くわけですが、天敵を中に入れる時期につきましては、苗から、やはり一部ハダニがついて本田に入っていきますので、十月のビニール被覆前後に、一度農薬でたたいた後、十一月に入りまして、農薬散布後約二週間でございますけども、ここにサンプルを持ってきておりますが、こういったものの中に天敵が入っております。これをまず十一月にミヤコカブリダニという天敵を圃場に散布いただく。それから約一カ月後単位で、今度はチリカブリダニというものを圃場に散布をいただくということで、農薬を使わないやり方ということでございます。右下のほうに写真を入れております。ちょっと見にくいかと思いますが、左側がチリカブリダニがハダニを食べるところでございますが、左側の写真の左下の黒く見えます、これがダニでございます。やや赤みがかったのがチリカブリダニでございます。それから右側が、非常に見にくいと思いますが、右上の黒いのがダニでございまして、左下のやや透明に見えます、これがミヤコカブリダニでございます。大体カブリダニの大きさが〇・八ミリ前後でございます。この容器の中に約二千頭が入っております。今回、この技術を活用いたしまして、福岡県のイチゴにつきまして、減農薬栽培の推進をしたいというふうに考えております。

~略~


◯原竹岩海委員
 一点だけです。ハダニの件ですけど、この退治で、農薬にかわりまして防除をやっていくということで画期的ですばらしい、これは取り組みではなかろうかなと思います。一点だけ、ちょっと確認なんですけども、これは天敵で退治するということで、自分が考えるのは沖縄でですね、ハブ退治にマングースを輸入して、こうやって一時期は一定の効果は出たんですけども、近年の報道等では自然体系が相当脅かされているということですが、それを踏まえてですけども、これはハウス栽培の対応ですからそんなことは心配ないと思いますが、確認ですから、生態系への影響はどうなのかということと、この天敵のダニの生存期間はどれぐらいかということと、ないと思いますけども、人体とか動物等への影響はどうなのか、人体の中に入るのか入らないのかということですね。

◯江藤秀之委員長
 廣田経営技術支援課長。

◯廣田経営技術支援課長
 今回、新たに導入しますミヤコカブリダニでございますが、これはもともと日本に存在する土着天敵でございますので、今のままということでございます。それからチリカブリダニにつきましては、これは生存期間が、ダニを食べますと、もうほかのを食べませんので、みずから絶滅していくというタイプでございます。非常に生存期間が短いということで、ダニが発生した場合には、やっぱり一カ月単位ぐらいで入れないと次の世代が出てきますし、ほかの食べ物を食べませんので、そういった意味では生存が短いダニでございます。

◯原竹岩海委員
 人体への影響は。

◯廣田経営技術支援課長
 基本的には人体への影響等もないというふうに、ヨーロッパを含めて既に利用をされています。

◯原竹岩海委員
 ないということですね。

◯廣田経営技術支援課長
 はい。

◯原竹岩海委員
 はい、わかかりました。