平成20年 5月定例会 (2008.05.30)
◯三十二番(原竹 岩海君) 登壇
皆さん、こんにちは。民主・県政クラブの原竹岩海でございます。会派を代表しまして政務調査に基づきまして質問をいたしたいと存じます。
質問に入ります前に、今月に入りミャンマーが大型サイクロンの被害に見舞われ、そして、そのわずか十日後には中国四川省を大地震が襲うという、未曾有の大災害が相次いで発生をしました。被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、被災地が一日も早く復興されますことを祈念申し上げまして、質問に入ります。
福岡県警現職警察官による事件
初めに、県政推進の基本姿勢についてお尋ねをします。
今月十八日、福岡県警の現職警察官が児童福祉法違反と売春防止法違反の容疑で逮捕されるという、耳を疑いたくなるような悪質な事件が起きました。本県で現職警官が逮捕される事件は、ここ三カ月間に三件も発生をしておりまして、県警察への県民の信頼を一気に失いかねない異常事態であると、厳しく指摘せざるを得ません。本県では、昨年制定した安全・安心まちづくり条例がことし四月に施行され、防犯を県民運動として取り組み始めたやさきの出来事であり、この運動のかなめとなる県警内部でこのような犯罪が繰り返されることに、強い憤りを感じます。そこで、安全・安心まちづくり条例のもと、県民運動の先頭に立つ知事として今回の事件をどのように受けとめておられるのか、所見をお伺いします。
次に県警では、二〇〇一年に現職の警察官四人が捜査情報の見返りに現金を受け取ったという汚職事件が発生したことを重く受けとめ、職務倫理委員会を設けて不祥事の再発防止に取り組んできたと聞きます。しかし、その後も現職警察官が関与する事件は続発し、今日の事態を招いております。そこでこの間、再発防止に向けまして、具体的にどのような対策を実施されたのか、その上で今回の事件をどのように受けとめ、今後二度と不祥事を繰り返さないためにどのような対策をなされる決意でいるのか、本部長の考えをお伺いします。
道路特定財源
次は、道路特定財源の一般財源化についてです。今月十三日に、道路特定財源を十年間維持するとした道路整備費財源特例法改正案が衆議院で再可決をしました。政府はこれに先立ち、道路特定財源制度はことしの税制改正時に廃止をし、来年度からは一般財源化すること、その際には地方財政に影響を及ぼさないように措置すること、暫定税率失効期間中の地方の減収については国の責任で財源措置を講じること、などを柱とする基本方針を閣議決定しました。しかし、道路特定財源を十年間とする法律と、今年度限りという政府方針との間には矛盾があり、また一般財源化に向けた具体的なプログラムは全く示されていない状況であります。したがって今後は、六月に取りまとめられる予定の骨太の方針を初め、秋の税制改正やその後に行われる国の予算編成に向けて、地方側の要求を具体的に反映させていくことが重要になると考えます。そこで、知事にお尋ねします。
これまでの国会議論などでは、一般財源化の使途を、例えば環境分野など道路以外の分野にも広げるという考え方と、完全に地方の自由な裁量で使える形にすべきだとする考え方があるように思えます。地方分権の趣旨からは、一般財源化に当たっては地方の税財源の拡充を図ると同時に、できるだけ使途の自由なものにしていかなければならないと考えますが、知事は国と地方の配分の問題を含め、一般財源化についてはどのようにイメージをされているのかお伺いします。
また一般財源化につきましては、地方六団体の中にも考え方にばらつきがあるように見受けられますが、この点について全国知事会長としてどのようにリードをされていくのかお伺いします。
次に、公会計改革を中心とした財政問題についてお尋ねします。地方分権の推進と進展に伴って、県行政の県民に対する説明責任は格段に重くなり、今まで以上に総合的で正確な情報の提供が求められています。また、県民の側からしても、従来以上に行政活動に参加、参画する行政との協働が求められる時代に入りました。このことは、従来の財務報告に加え、県民によりわかりやすい方法で、正確な財政状況を開示することが必要となってきたことを意味していると思います。このようなことを背景に、自治体では数年前から、単年度、単式簿記に加え、民間企業の複式簿記の考えを活用する試みが、本県でも二〇〇二年度決算から、普通会計における貸借対照表と行政コスト計算書を公表しています。貸借対照表は、地方公共団体がどれだけの資産や債務を有するかについての情報を示すものであり、行政コスト計算書は、地方公共団体の経常的な活動に伴うコストと使用料、手数料などの収入を示すものとされています。
こうした中、国は貸借対照表と行政コスト計算書に地方公共団体の純資産、つまり資産から負債を差し引いたものが、一会計期間にどのように増減したかを明らかにする純資産変動計算書と、収支の性質に応じて経常収支、公共資産整備収支、投資・財務的収支などに区分し、それぞれの現金の流れを示すことで、地方公共団体のどのような活動に資金が必要とされているかを説明する資金収支計算書を加えた財務書類四表を示し、地方公共団体の公会計改革及び資産・債務管理の充実を求めています。いずれも、県民に総合的な財政状況を開示していく上でも必要なものと思われます。そこで、知事に次の三点についてお尋ねします。
一点目は、来年度までに四表の公表を求めている国の通知への対応についてです。国は昨年十月、都道府県知事、政令指定都市市長に対し、公会計の整備推進についての通知を行い、都道府県及び人口三万人以上の市に対し、来年秋口までに前年度分の四表の整備、または四表作成に必要な情報の開示に取り組むことを求めています。本県では、四表の整備は検討に着手をしたばかりの段階と聞いております。国のこの通知は強制力があるものと考えますが、対応は可能と考えているのかお聞きします。
また同時に、県内の人口三万人以上の市の取り組みはどうなっているのかお尋ねします。
二点目は、本県の公会計改革の方向性と、それに伴う経費についてです。先ほども述べましたように、公会計改革の意義は、県民によりわかりやすい方法で正確な財政状況を開示することにあり、早期に公会計を整備することが望ましいと考えます。しかし現在、国が示しているシステムとしましては、基準モデルと呼ばれるものと、これまで本県などで使用されてきた財務システムを活用する総務省方式改訂モデルと呼ばれるものや、東京都などのように独自にシステムを開発するところもあります。こうしたことから全国知事会も、全国標準的な会計基準が整備をされるべきであるとの要望書を国に提出したと聞いておりますが、公会計改革の趣旨からして本県の今後の進むべき方向についてはどのように考えているのかお聞きします。
また、この改革を導入するとなれば、既存の電算システムの変更はもとより、帳票、書類の変更も含めまして相当な経費が伴うものと考えますが、どの程度を想定されているのかあわせてお伺いします。
三点目は、県有資産の管理についてです。さきの二月議会の予算特別委員会では、県有地と民有地の等価交換をめぐり、県の資産管理のあり方が厳しく問われました。今回の国の通知に沿えば、事前作業として売却可能資産の洗い出しと時価評価、土地台帳の整備などが必要となります。
そこで第一に、県有資産は行政財産と普通財産に区分されますが、例えば県有施設跡地などを行政財産から普通財産へ切りかえる際、それはどのような基準に基づいて行われるのかお聞きします。
第二に、普通財産に区分をされる県有地につきましては、早急に時価評価を行うべきだと考えますが、知事の考えをお伺いします。
後期高齢者医療制度
次に、後期高齢者医療制度実施に伴う問題についてお尋ねします。四月から実施をされた七十五歳以上が加入する後期高齢者医療制度は、年金から保険料を天引きする際に、多くの制度の問題点が浮き彫りになりました。県内では四月十五日、一回目の年金から保険料が天引きされる際、九百九十二人が誤って徴収されるなど、全国でも相次いで徴収ミスが明らかになりました。同時に、制度の周知が不十分なため、各地で抗議や担当窓口への問い合わせが相次ぎ、制度をめぐる混乱が現在も続いております。また、後期高齢者診療料に対し九州・山口の医師会でも導入反対や自粛の動きが広がっています。一人の主治医から定額で検査などを受けることになり、厚生労働省は患者負担が軽減されるとしております。しかし、患者が複数の医療機関で自由に受診ができなくなったり、来院や検査の回数が多ければ、月六千円の報酬では賄えず、検査を制限せざるを得なくなるとの指摘があり、医師会では患者がこれまでどおり必要な治療を受けることができるよう、制度の導入自粛を促しています。
さらに、後期高齢者医療制度への加入が任意となっている六十五歳から七十四歳までの重度障害者に対して、十道県で三千四百十八人が加入を拒否していることが明らかになり、このうち福岡県が全国で最も多く千四百二十三人が強制加入を拒否する事態となっています。これは、十道県が後期高齢者医療制度への加入を重度障害者医療費助成継続の条件にしたために起きた現象であります。重い障害を抱えながらも長年働き、家族を養ってこられた人たちにとっては、負担増か医療費助成打ち切りの選択を迫られることになります。このままでは、重い障害を抱えながら働き続ける人たちは、医療費助成を継続するには加入の選択しかなく、加入をすれば家族に新たな保険料が生じることになります。例えば、政令市の透析患者の人は、これまで窓口での本人負担がゼロでしたが、助成を受け続けるには、後期高齢者医療制度を選択せざるを得ず、十月から年間二千五百円程度の保険料の負担、来年四月からは本格的に年間二万五千円以上の保険料負担が生じることになります。
そこで、後期高齢者医療制度の導入をめぐる諸問題解決のために、知事に次の四点についてお尋ねします。
一点目は、制度の問題が生じた原因についてです。本県では九百九十二人もの人たちに、誤徴収があったということですが、未配付や誤配付、誤徴収などからも明らかなように、制度そのものが行政にもわかりづらく、対象者にはさらに理解しにくい制度であり、周知徹底も不十分と言わざるを得ません。なぜ制度の混乱や問題が相次いだのか、その理由をお伺いします。
二点目に、医師会などが後期高齢者診療料制度の廃止、見直し、自粛を促すなど、慎重な対応を求める動きがありますが、これをどのように受けとめておられるのかお伺いします。
三点目に、重度障害者が十道県の中で、本県が一番多くの後期高齢者医療制度への加入を拒否しておられます。問題解決のために知事は十九日の記者会見において、どうするかは今、研究中だと発言をされていますが、後期高齢者医療制度への加入条件と医療費助成継続の条件と切り離す考えがあるのかをお聞かせください。
四点目に、このように制度上の矛盾や混乱を解決するためには、制度の廃止または大幅な変更を国に求めることも大切だと考えますが、知事の制度に対する考えをお聞かせください。
重度障害者医療費制度
次に、本県が独自に導入をしようとしている重度障害者に対する医療費制度についてお尋ねします。県単独の公費医療費支給制度が変更され、とりわけこれまで六十五歳以上の重度障害者は医療費の自己負担を無料としてきたものが、十月からは新たに自己負担が生じることになります。制度変更の理由として県は、障害者の医療は高齢化社会の進展の影響を受け、県の支出額は年間二億五千万円ずつ増加する見込みであること、六十五歳以上の対象者が既に六割を占め医療費の高騰の一因となっていること、今後ともさらなる高齢化が進む情勢であり、制度の維持のためやむを得ず、六十五歳以上の方からも自己負担をお願いし、負担額については若い世代も高齢世代も公平に負担をするとしています。将来にわたり持続可能な制度への再構築が必要であり、そのためには受益と負担の適正化が必要であるとの理由からです。しかし、この制度変更により、これまで六十五歳以上の身体、知的障害者三万八千人は、医療費が完全無料であったものが所得に応じて入院費も通院費も定額負担となり、日常的に負担が強いられることになります。六十五歳未満の身体、知的障害者二万五千人も同様の自己負担が生じることになります。さらに、後期高齢者医療制度への加入が任意の六十五歳から七十四歳までの重度障害者は、先ほど指摘をしましたように、加入をしなければ県単独の助成は受けられません。加入をしましても、後期高齢者医療制度の保険料と、県単独の医療制度の自己負担という二重の負担増が待っております。しかも、加入をしなければ医療費助成は打ち切られることになります。さきの二月議会で、多くの議員から重度障害者医療制度の見直し、自己負担導入の問題点が指摘をされたのを受け、知事は障害者団体と意見をさらに交換し、円滑な実施に努めると答弁をされております。制度に問題がある以上は、十月からの円滑な実施はできないとの判断から、知事に次の二点についてお伺いします。
一点目は、障害者団体との意見交換で明らかになった問題点の解消についてです。最初に、どのような意見が出されたのかをお伺いします。その上で、新たな後期高齢者医療制度の導入で二重負担増という問題も生じております。知事は、一般世帯よりもずっと軽減した形として導入を進めていると言われておりますが、多くの障害者からは、障害基礎年金だけで生活をしている者からも自己負担を求めるのは、どうしても納得できないとの声が聞こえてきます。そこで、後期高齢者医療制度のような、実施期間や定額負担、所得制限の緩和などの激変緩和措置の考えについてお尋ねします。
また、少なくとも年金収入しかない所得の低い人たちからの自己負担は求めないという内容の改善策を講じられるのかお聞かせください。
二点目は、抜本的な制度の見直しについてです。県単独公費医療制度は、助成対象を乳幼児医療では三歳未満から就学前までに拡大、母子家庭だけだった助成は父子家庭に対象を拡大、重度障害者医療では精神障害者を対象とするなど、助成対象の拡大が大きな特徴であります。しかし、そのためにひとり暮らしの寡婦二万二千人が対象外、六十五歳以上の重度障害者の負担増などが、このままでは十月から発生します。制度を復活するためにこれまでのひとり暮らしの寡婦助成制度十二億円、重度障害者医療費導入に伴う医療費補助額の減額分四億八千万円、合計十六億八千万円を補正し、これまでどおりの制度を維持する考えがあるのかお伺いします。
産業廃棄物問題
次に、環境問題についてお尋ねします。本県では、産業廃棄物処分場に関するさまざまな問題が発生をしており、県の産廃処分場の改善や安全対策など、産廃行政の取り組みに対し地元の自治体や住民から、失望と怒りの声が多く上がっております。主な事例として、全国で初めて硫化水素ガスが原因で三人が死亡するという事故が発生した産廃処分場が筑紫野市の県営山神ダムの上流域にありますが、ここでは地元の住民団体が、県との協議に限界を感じ、国に対し公害調停を起こすような動きがあります。また、飯塚市の旧筑穂町の処分場では、二〇〇三年に地元住民が業者を相手取り福岡地裁に操業停止と違法産廃の撤去を求め仮処分の申請を行い、結果として処分場の操業停止が認められたところであります。しかし、住民は産廃処分場からいまだに危険性の高い硫化水素ガスの発生や、有害な物質が場外に流れ出しているとして、産廃の撤去を県に求める義務づけの訴訟を起こしました。結果、福岡地裁は、県の産廃撤去義務までは認めなかったものの、違法な産廃が同処分場に埋められていることを明快に認めましたが、これは現在も周辺住民の安全が脅かされているということを裁判所が認めたことにほかなりません。これらの産廃問題に関して共通していることは、産廃処分場に関するすべての権限を有し、多くの責任がある県の産廃行政への不満と不信感が強くあることです。そこで、知事に次の点についてお尋ねします。
一点目は、筑紫野市の死亡事故が起きた産廃処分場についてであります。本年四月二十五日、同処分場の産興が、事業の許可を取り消した県を訴えた裁判において、福岡地裁は中間処理業者が最終処分をしたことや、このことが改善命令期間中の行為であり重大な造反に当たるとして、処分は妥当との判断を下しました。県が勝訴されましたことにつきましては一定の評価をするところですが、本来は操業停止など含め、もう少し早い時期に行政処分をしていれば多くの産業廃棄物は搬入をされていなかったと思います。どうして、これほど処分の決断がおくれたのか経過を含めましてお答えください。
二点目として、産興の処分場と隣接をしている村川組の産廃処分場には、それぞれどれぐらいの量の廃棄物が埋められているのか。この点については、環境部長に御答弁願います。
三点目に、筑紫野、太宰府、小郡の三市の議員多数と約二十二万人の市民が、飲料水として利用をしている山神ダムの水質に将来にわたり大きな不安があるとして、早期にこの産業廃棄物を全面撤去するよう要望しておりますが、県としては、どのように対応されるのかお答えください。
四点目に、本県には安定型と管理型のそれぞれで埋設が終わった処分場が何カ所あり、その後の監視、管理体制はどうなっているのかをお尋ねします。なお、処分場の箇所数につきましては、環境部長から御答弁願います。
五点目に、産廃問題は本県ばかりではなく、全国的な社会的な問題となっており、法律が現状に追いついていないのが実態であります。我が国が、今後とも経済活動を続けていく限り、多くの産業廃棄物が排出をされていくという現状を踏まえ、排出責任の明確化と厳罰化など、さらなる法制度の改正に向け、行動をしていくべきだと考えますが、知事の考えと具体的な対応についてお伺いします。
農業問題
次に、農業問題についてお尋ねします。国際的な穀物価格の高騰を受け、乳製品やパンなどを初め食品価格が軒並み上昇し、県民の食卓への影響が広がるとともに、飼料穀物の高騰は畜産農家に大きな打撃を与えております。穀物価格高騰の原因としましては、オーストラリアが二年連続して温暖化の影響と見られる干ばつに見舞われたこと。穀物からエタノールを生産するため、アメリカなどでトウモロコシを中心に、食用以外でも穀物需要が増大をしていること。さらには高度経済成長を続ける中国、インドなどで穀物需要が急増していることや、サブプライムローン問題で行き場を失った投機資金の流入が相場を押し上げていることが挙げられます。このように、今回の穀物の急騰は一過性のものではなく、世界的な穀物の需給構造の変化によるもので、穀物市場はいつでも安く安定的に穀物を買える状況ではなくなったと言われております。世界的な食料危機が現実的になってきた現在、我が国も、みずからの食料はみずからできるだけ生産するということが、国際的な責任として問われていると思います。しかし、我が国の食料自給率は一九六一年の七〇%から九八年の四〇%へと減少を続け、二〇〇六年にはついに三九%にまで下がっております。そこで、知事に次の五点についてお伺いします。
一点目は、自給率向上に向けた基本的な考え方についてお聞きします。食料に関する国際情勢の変化と、輸入冷凍ギョーザの毒物混入事件もあり、県民の間には食料自給に対する関心が高まっており、自給率向上に向けましては県民の理解も得やすく、政策展開を図る上で好機と考えることができます。こうした中、今年三月、国が都道府県別に二〇〇六年度のカロリーベースの自給率と、二〇〇五年度の生産額べースの自給率を公表しました。それによりますと本県は、カロリーべースでは全国平均三九%に対し一九%で、九八年度からマイナス二ポイント、生産額べースでは全国平均六九%に対し四一%で、同じく九八年度からマイナス二ポイントとなっております。本県では、県民が消費する農産物を県内産でどの程度確保できるかという尺度をもとに、金額べースの農産物自給率を独自に設定し、二〇〇五年度に五四%であった自給率を二〇一〇年度までに五八%にする目標を立てています。
そこで第一に、本県が独自に設定をしている農産物自給率についてですが、全国統一のカロリーべース、金額べースの食料自給率と比べると、数字にかなりの開きがあり、このことが本県の食料自給の実態を把握しづらく、県民を惑わす結果になるのではと懸念されます。自給率向上の目標数値としては全国統一の数値を使うべきだと考えますが、このことに対する知事の考えをお聞きします。
第二に、自給率はカロリーベース、生産額ベースともに減少を続けておりますが、本県が独自に設定をしている農産物自給率の現状をお示しください。
第三に、最近の食をめぐる内外情勢の変化を受け、自給率の向上に向けて、どのような姿勢で取り組む考えなのか、知事の所見をお聞かせください。
二点目は、米政策に関する問題についてです。穀物価格の高騰で、世界的には米の価格も急騰しておりますが、その一方で国内産の米価については価格の下落に歯どめがかからず、米価は十年前に比べて大きく下がっております。このため、農地の出し手農家はあっても、規模拡大のリスクが大きいために受け手農家は少なく、全国的に農地の流動化は進んでおりません。結局、赤字覚悟の小規模な高齢農家や兼業農家がぎりぎりのところで辛うじて農地を守り、農村を崩壊から救っているというのが今の農業の実態だと言えます。しかし現在の米価は、多くの農家にとって、米づくりを続けることが難しい水準にまで落ち込んでおり、このままでは高齢化の進展と後継者不足により、農業就業者が減っていくだけではなく、耕作放棄地の増加によって生産基盤そのものが崩壊しかねない危機的な状況に直面をしております。
そこで第一に、原価割れのおそれもある米価の現状についてどのように考えているのか、またそのために、どのような対策が必要と考えているのかお聞きします。
第二に、米価の下落は生産調整が機能していないことに一因があります。こうした中、政府は昨年十月、米緊急対策を実施し、備蓄米の買い入れなどによる価格操作を行いましたが、米価上昇の恩恵が生産調整に参加をしていない農家にも及んだことから生産調整に参加をしない農家がふえ、さらに生産調整が機能しない状況になり米価の下落に拍車がかかることが懸念をされております。米価を安定させるためには、生産調整に参加する農家をふやすことが重要であり、そのために国に対し、生産調整に参加する農家については、セーフティーネットとして、せめて自家消費米以外は、生産費に見合う価格補償を設けることを強く求めていくべきだと思いますが、知事の考えをお聞きします。
三点目は、耕作放棄地対策についてです。現在、耕作放棄地は全国で三十九万ヘクタールまで広がっており、本県においても耕作放棄地は七千ヘクタール、耕作放棄率は八・九%となっております。そこで、耕作放棄地を解消するためには、耕作放棄地を一律に扱うのではなく、耕作条件が良好で守るべき農地と、荒廃が進み、むしろ山林に戻したほうがよい農地に判断をした後に区分し、それぞれに効果的な対策を進めていくことが重要だと考えます。そして、耕作条件が良好で守るべき農地については、容易に管理できる推奨農産物の選定や新品種の開発、耕作放棄農地の整地などに対する補助事業の創設を図るべきであります。こうした耕作放棄地を解消するために、県としてどのように取り組まれるのかお聞きします。
四点目は、飼料用作物の増産についてであります。国からも、現行の自給率二五%を五年後に三五%にする目標が出されておりますが、日本のように高温多湿の気候には、飼料用作物としても米が適していると言われています。飼料用米は、昨年十二月の米政策の見直しの中で新たに生産調整品目として認められましたが、生産者にとりましても、飼料用米生産は田植えから収穫までの通常の稲作栽培と同じで取り組みやすく、農業機械などがそのまま使用できること、麦、大豆と組み合わせれば連作障害を避けることができるなどのメリットがあります。県内でも飼料用米が増産できるようになれば、これを畜産と組み合わせることによって付加価値を高め、食肉などの新たなブランド展開も期待ができ、畜産振興にもつながるものと考えます。そこで、本県の飼料作物生産の現状と、飼料用米の増産に対する知事の見解をお聞きします。
五点目は、米粉の利用促進についてであります。我が会派は、昨年の十二月議会の代表質問で、米の消費拡大策の一つとして、地元産の米粉を使ったパンを学校給食に導入することを提案しました。これに対して知事は研究するとの答弁でしたが、その後の新聞報道によって導入に向けた調査を実施されていることを知りました。知事の積極的な対応を評価したいと思います。
そこで、昨年十二月議会の時点より小麦の価格はさらに上昇をいたしておりますが、これまでの調査から、導入実現の見通しをどのように判断されているのかお伺いします。
教育予算
次に、七月に出される予定となっている本県独自の教育ビジョン最終提言に関する教育予算の増額についてお尋ねします。本年度から五年間の教育政策の財政目標を定める、文部科学省の教育振興基本計画の原案が報道等で今月、明らかになりました。焦点の教育支出額については、今後十年間を通じて、OECD(経済協力開発機構)諸国の平均GDP(国内総生産)比五%を上回る水準を目指すと、具体的な数値目標が明記をされたことが大きな特徴であります。日本の現在の公財政教育支出額はGDP比三・五%で、一・五%の引き上げをするには単純に計算をして新たに七・四兆円の予算が必要となります。財源の見通しがついていない中で、総務省、財務省の反発は必至であり、最終的に計画に盛り込むことができるのか不透明な状況であります。しかし、この教育振興基本計画の基本は、資源の乏しい我が国では人材への投資である教育は最優先の政策課題の一つであるとしております。これは、まさに知事が立ち上げた教育力向上福岡県民会議の趣旨と同じであり、会議の会長が述べられました、先生たちが教育に集中できるシステムをつくることが急務、そのために最も大切なことは学校を支援すること、に対する財政的な裏づけが必要であることを意味しております。本県の教育費に関する予算額を見ましても、二〇〇五年度三千九百九十三億円、二〇〇六年度三千九百九十二億円、二〇〇七年度四千八億円、二〇〇八年度四千十五億円と、県予算全体から見た場合はほとんど伸びておりません。そこで、本県独自の教育ビジョンを施策として実現するための教育予算の増額についての決意を知事にお聞きします。知事が、文部科学省の制度、政策が余りにも目まぐるしく変わり教育現場が混乱をしている、そのために本県独自の教育ビジョンを私が立ち上げる、と明言されたことに、教育現場は大いに期待を寄せているところであります。そこで、七月に教育ビジョンの最終提言が答申をされましたら、その実現のためには教育予算の増額が絶対に必要ではないでしょうか。これまで、幾度となく県教審が答申を出されましても、答申を裏づける予算が十分伴わなかった感があります。今回の県独自の教育ビジョンの実現に向けた教育予算増額の考えをお聞かせください。
以上で終わります。ありがとうございました。
◯副議長(吉村 敏男君)
麻生知事。
◯知事(麻生 渡君) 登壇
まず福岡県警の警察官の不祥事についてでございます。現職の警察官が県民の信頼を裏切るような不祥事を相次いで起こしているということは極めて遺憾であります。したがいまして、県警察に対しましては、綱紀の粛正を厳正に行うように強く求めているところでございます。
道路特定財源の一般財源化についてでございます。現在、地方財政は非常に苦しい危機的な状況にございます。地方のほうでは、道路特定財源では足りずに一般財源もつぎ込んで道路整備を行っているという実情にもあるわけでございまして、国からの交付金なども含めまして一般財源化されましても、地方の財源についてはこれまで以上の額を地方枠として確保することが基本になるというふうに考えております。
また、一般財源化された場合の使途のあり方についてでございますけれども、環境対策などへ使途を広げていくという考え方と、もう使途は特定に限定しなくて、完全な一般財源化をするという考え方がございまして、これをどういうふうにしていくかということは、これから広く議論を行っていく必要があると考えております。
地方枠の確保については既に国に対し申し入れを行っておりまして、今後も地方六団体と連携結束してこの課題に取り組んでまいる考えでございます。
公会計の整備の点についてであります。公会計の整備の推進につきましては、公社などを含めまして県全体の財務の状況を県民の皆さんにわかりやすく提供していくという意義があるわけでございます。したがいまして、諸表をつくり、これを公表していくということに向けまして、現在検討を進めております。
また、県内の人口三万人以上の二十七の市におきましては、平成二十一年度の公表をめどに資産の洗い出しなどの作業を進めております。
本県の公会計改革の今後の方向についてでございます。本県の場合には既に毎年のバランスシートを作成しまして、公表をいたしております。今後は県と公社などの財務諸表を連結させるということになります。今、その範囲、財産の評価方法等について検討をしているわけでございます。その場合に、費用の点も当然生ずるわけでございますが、これも含めまして方法、方策の検討を行ってまいります。
行政財産から普通財産への切りかえの基準についてでございます。行政財産は公用または公共用に使っております財産、あるいは将来使うことと決定した財産でございます。このため、庁舎としての用途の廃止あるいは学校の廃校といったことで、行政として使用目的が終了をいたしました時点で、普通財産に切りかえる変更を行っております。
普通財産でございます県有地の時価評価についてでございます。本県におきましては、県有地を売却する際には時価評価を行っております。今回の公会計改革におきましては、毎年度末に固定資産の時価評価が求められております。現在、この評価の範囲あるいは手法などの検討を進めているところでございます。
長寿医療制度についてでございます。まず、いろいろ混乱をいたしましたが、その原因についてどう考えるかということについてでございます。県のほうでは、この制度につきまして、全戸配布の広報紙、出前講座といった形での広報に努めてまいりました。また、この制度の運営主体でございます広域連合あるいは市町村に対しましてもきめ細かな周知について助言を行ってきました。しかし、実際の制度の導入に当たりましては、昨年の十一月の段階で保険料負担の激変緩和措置が導入されるということになりましたし、また保険料の算定などの電算処理システムの提供が非常におくれておるというようなことでございまして、実際の準備時間が非常に制約をされてしまったということがございます。このため制度の周知が不十分になる、また保険料の徴収の誤りといったものが生じてしまうというような結果になってしまったわけでございます。
後期高齢者診療料の点についてでございます。後期高齢者診療料でございますけれども、これは複数の病気にかかっておられる高齢者の皆さんにつきまして、主に診療所のお医者さんが他の診療機関での診療内容、薬の状況、介護サービスの利用状況などを管理いたしまして継続的に診療する仕組みでございまして、いわゆるかかりつけ医を普及させようという意図のもとに創設をされております。この仕組みができてしまうと患者さんのいろんな医療が制約されるのじゃないかという懸念があるということでございますが、これは、この仕組みを使うかどうかは担当医とその患者さんが相談をして決めるわけでございまして、病状に合わせまして他の医療機関の受診も可能であるわけでございます。したがいまして、この制度がとられたから高齢者の皆さんに必要な医療が制限されるというようなものではないというふうに考えております。
重度障害者の皆さんの医療制度の要件の見直しについてでございます。六十五歳以上の重度障害者の皆さんにつきましては、これまで老人健康保健制度に加入をする、その場合には自己負担が一割あったわけでございますが、この自己負担につきましては、県のほうで負担をするという形で行ってまいりました。今回、この制度が長寿医療制度に移ることになるわけでありますけれども、この長寿医療制度の場合には自己負担は、年齢によって少し違いますけれども、二割ないし三割となるわけでございます。そして保険に入りますとこれが一割になるという仕組みになっているわけであります。このようなことでございまして、障害者の皆さんに自己負担がないという形で今後も医療を受けてもらおうということにするためには、医療保険制度に入ってくださいということを我々は求めているわけであります。もし、これが入らないということになって、障害者の皆さんがこれまでどおり自己負担がないという状況にしようとしますと、逆に今度は県の負担のほうが二割ないし三割負担しなければならぬということで、県の負担が非常に大きくなるということで、保険に入ってくださいということをお願いしておるわけであります。
その場合に問題になりますのが、新しい長寿医療制度に入った場合の医療保険の負担の問題でございます。これにつきましては、我々はいろんな形で均等割、所得割の軽減措置を設けております。特に、低所得者に対する軽減措置をいろいろ講じているわけであります。さらに、現在国におきまして、低所得者へのさらなる保険料の軽減措置も検討されておるという状況でございます。このような状況でございますから、その状況を見ながら、やはり保険に入っていただいて一割負担のところでとどまってもらいたいということを基本に考えていきたいと思います。それがなければ二割、三割になってしまう。一割は負担しても本人がさらに残りの一割、二割を負担するのは、これはまたこちらでも非常に大変になってしまうからでございます。
今回の長寿医療制度につきまして、廃止ないし大幅に見直してはどうかということについてどう考えるかということでございます。今回のこの制度がなぜこういうような制度設計で実施されたかということについてでございますけれども、急速な高齢化が進んでおりまして、高齢者の皆さんの医療費がずっと増大をしてきておるということでございます。そして、高齢者の皆さんの大部分は、国民健康保険に入っているわけです。これは市町村が運営をしているものであります。しかも我々にとって非常に大切な国民皆保険制度の根幹は、まさに国民健康保険制度、いわゆる国保であるわけでございます。ところが、この国保が高齢者の大部分を受け持っておりますものですから、高齢者医療がどんどん膨らんでまいりますと、国保の財政の将来の見通しが立たなくなってくるということがあり、それがひいては国民保険制度ないし国民皆保険制度が維持できなくなるんじゃないかというようなことがございまして、高齢者の部分を分けまして、そしてこの負担を国、県、市町村そしてまた現役を中心とした他の保険の納入者の負担を九割にするというような形に明確にしまして、この制度の存続を図っているということであるわけであります。施行後、直ちにいろんな問題が出てきておるというわけでございますが、だからといって、これを廃止してしまったり、全く抜本的に変えるということになった場合に、じゃあ新しい制度はどういうものにしていくのかということをよほどよく考えて設計しておかなければ、今私が申し上げましたような本質的な問題の解決にならぬのじゃないかというふうに思います。したがって、やはり廃止とかいうような場合には、次の制度はどういうものでやっていくのがいいのか、それはいろんな課題がたくさんあるわけですが、それを合理的に、整合的に解決できるような制度設計になっているのかということをよほど考えながら進めていく必要があるというふうに思います。
重度障害者医療制度の激変緩和措置についてでございます。この点につきましては、障害者の皆さんあるいは団体の皆さんと積極的に意見の交換を行ってまいりました。そして自己負担の軽減などの要望につきましても、その制度の内容、低所得者に対する配慮といったことにつきましても説明をしまして、理解を求めてきているところでございます。今後、この制度の実施主体は市町村でございますから、そちらともよく協議をいたしまして、円滑な実施に努めてまいりたいと考えます。そして、新制度を実施しました後、改正の効果、影響などを十分把握しまして、必要に応じまして適宜、適切な対処をしてまいる考えでございます。
県単独公費医療助成制度の見直しの点についてでございます。今回は、見直しを行っておりますけれども、まず子育て家庭、それから障害者の皆さんへの支援を充実しようという考え方のもとに、乳幼児医療費の対象を就学前まで拡大をした、そしてまた新たに父子家庭に対する支援をしていくようにした、さらに精神障害者の皆さんに対して助成の対象を加え、拡大をしたというようなことを行っているわけであります。しかし、一方で医療費の増加がずっとしております。したがいまして、このような新しい課題に対処するために、一方では支援制度の組みかえを行うということでございまして、所得制限を導入したり、あるいは寡婦の皆さんに対する、ずっとやってきましたがこの制度をやめるというような、いわば政策の重点の移しかえをやったわけであります。これは、時代の変化、いろんな公費助成に対する緊急度というようないろんなことを考えて、このような方向に重点の置きかえを行っているというわけであります。これは、結局のところはやはり私どもは財源が限られておりますから、そういう中でこのような制度を今後とも持続しながらやっていこうと、安定した制度にするというためには、このような重点の変更、助成内容の変革ということをやっていかざるを得ないという考え方のもとでやっているわけであります。
筑紫野の産興への行政処分の経過についてでございます。平成十一年に御指摘がございましたような死亡事故を起こしてしまったわけであります。直後に事故調査委員会を設置いたしまして、その提言に基づきまして、雨水の分離、ガス抜きあるいは無害化処理といったことについて必要な指導を強力に実施いたしました。また、平成十五年一月には改善命令を出しまして、またその十月には免許更新の際の最終処分業の不許可ということを行いました。このように、廃棄物処理法に基づきまして、必要な処置を的確に行ってきているわけでございます。そして、十七年六月には、中間処理をせずに埋め立てを行うという重大な違反事件を確認しましたから、すべての許可を取り消すという最も重い処分を行ったというのが経過でございます。
産興の処分場の産廃を全部撤去せよというような要望があるということでございますけれども、これは水質の中のCOD(化学的酸素要求量)、こういうものが平成十七年、十八年の雨季を中心に悪化したということがございました。このため、雨水を流していく対策の工事を指導いたしまして、現在では基準値に適合している状況でございます。また、周辺の河川のモニタリングを重点的に実施いたしております。その結果を見ますと、生活環境保全上の支障がないということを確認いたしております。このような状況にございますから、全面撤去するというような措置命令を出すという法的要件を現在満たしていないわけでございます。今後とも、山神ダムの水質保全を図る観点も踏まえまして、重点的な監視、あるいは浸透水、河川水などのモニタリングを継続的に実施してまいる考えであります。
埋め立て終了処分場の監視体制についてでありますが、これは埋め立て終了届が出された処分場につきましては、覆土を実施しておるか、あるいは水質、ガス発生などについて調査をしなければいけない、これはもう法的に義務づけられております。これを実施させます。県のほうでは、これらの実施状況を報告を受けまして、立入調査を実施し、水質などについて問題があった場合には、必要な改善策を講じるというような指導を行っているわけであります。
産業廃棄物諸法制についての改正についてでございます。排出者責任の明確化とか、罰則の一層の強化というような面での法律改正は行われておりますけれども、県のほうではさらに安定型処分場に対します法規制の強化が必要であるというふうに考えております。このためには、構造基準の強化、埋め立て可能な廃棄物の種類の見直しということが必要であるというふうに考えておりまして、国に対しまして直接この面の改正提言を行っております。また、全国知事会もこのような活動を行っておりまして、協力、連携しながら国に対しての法改正の提言を行ってまいる考えでございます。
農業問題についてでありますが、自給率の数値目標についてであります。一般的に自給率と言われておりますものはカロリーベースでございます。しかし、実際の農業を見ますと、農業は米とか麦とか大豆とかということが重要な作物でありますけれども、並行いたしましていわゆる園芸農作物ということが重要な部分でありますし、県民の皆さんの生活実態から見ましても米、麦、大豆だけではやっぱりいかぬわけで、いろんな野菜とかなんか食べ物をみんな必要としているんですね。そういうような実態にあります。加えまして、我々の農業は非常に園芸作物ということを重視してやってまいりました。これは、やはりこの分野は需要がずっと伸びてきておりますし、何といいましても所得が高いという収益性の高い農業であるからでございます。このようなことを考えますと、カロリーベースの考え方ではなくて、むしろ生産額で自給率を考えるということのほうが、生活実態あるいは農業実態に合うというふうに考えているわけでございまして、したがいまして、本県は生産額ベースでの農産物自給率を設定して計算をいたしております。
その結果、どうなるかということでありますが、平成十七年度が五四%、十八年度が五一%でございました。三ポイント低下をいたしておりますが、実は十八年は米の作況が七六という我々の史上三番目の不作であったということと、台風の影響によりまして果物の生産ががたっと三割も落ちたというような影響を受けまして、三%という減少になっておりますけれども、これはこういう要因がなくなれば、また回復するのじゃないかと思っております。
食料自給率を向上するための取り組みについてでございますけれども、一つは、やはり収益性の高い園芸農業を今後ともきちっと振興をしていきたいと思います。また、米、麦、大豆といった土地利用型の農作物、これにつきましては、認定農業者などへの農作業の集約化を図ることによりまして、一層の生産の効率化を進めていく必要があると考えております。
また同時に、自給率が上がらない大きな原因は、やはり米に典型的に見られますように需要が、国産の米について、ついてきていないということがあるわけでございます。そういうことも考えますと、需要を何とかふやしていくということが必要でございます。その意味で直売所を活用した地産地消の推進、あるいは減農薬の認証農産物の生産拡大といった形で農産物の消費の拡大を並行して行っていく必要があると思っております。
米価が下落をしているわけでありますが、それに対する対策でございます。下落の原因でありますけれども、米の絶対消費量が減少しておるわけでありますが、供給サイドの作付面積が減っていない。その結果、生産過剰を起こし、米価の下落が進んでおるというふうに考えられます。この価格安定のためには、結局は生産サイドの調整が着実に進められるということが重要であるわけでございます。したがいまして、県としましては、担い手への農作業の集約化、あるいは効率のよい生産体制をつくっていくということ、さらに需要サイドにつきましては、県産米の消費PRを進めてまいりたいと考えております。
このような米価の状況でございますけれども、一方で、生産側は生産調整に参加する方がきちっとふえるということがなければいけないわけでありますが、このためには、参加した場合のメリット措置を活用して、全国的に米の需給調整が確実に行われるということが必要でございます。また、農家の経営安定のためには、価格下落によります減収に対しまして一定の補てんが受けられる経営所得安定対策、これに加入者がふえていくということが大事でありまして、この加入推進政策もきちっと進めてまいりたいと考えております。
耕作放棄地の解消についてでございますが、本年度より耕作放棄地を農地として利用すべきものと、これが実際問題として困難なもの、これを調査して分類をしようという作業に取り組みます。その結果、農業利用を図るべき農地につきましては、交付金などを活用いたしまして草刈りあるいは整地といった簡単な整備を進めてまいる考えであります。また、担い手への農作業の集約化などによりまして、地域それぞれの実情に応じた解消対策を支援してまいりたいと考えております。
飼料作物の生産の現状でございますが、昨年度の作付面積は、水田を中心に二千五百ヘクタールでございます。飼料用米でございますけれども、これはトウモロコシ代替として注目をされておりますが、やはりコストの面でまだまだ課題がございます。したがいまして、農業団体とともにモデル的な実証にも取り組むなどをしまして、課題の解決に向けまして研究を進めてまいる考えであります。
学校給食への米パンの導入についてでございます。現在、地元産の米パンを小学校で試験的に導入しようということが一部の地域で検討されている状況でございます。そしてまた、福岡県米粉普及推進協議会を中心に、学校給食への導入につきましても研究がされております。その場合の一番やはり課題は、小麦粉の値段が上がったといいましても、米粉との価格差というのは相当大きいわけでございまして、これをどういうふうにうまく乗り越えていくかという研究を詰めてやっていきたいと考えております。
福岡県の教育ビジョンについてでございます。現在、教育力向上福岡県民会議におきまして、広く県民運動として実際に展開する、その具体的な方策につきまして、実際の現場の一線の皆さんの意見も聞きながら審議を進めております。この結果は、七月の下旬に会議の第二次提言として提出をされる予定にしております。ビジョンを具体的に実施していく、この具体化作業を行ってまいりますが、必要な対応につきましても、当然この内容に応じて講じていかなければいけないと考えております。
◯副議長(吉村 敏男君)
脊戸環境部長。
◯環境部長(脊戸 俊介君) 登壇
まず、産興及び村川組の産廃処分場の埋立量についてであります。産興につきましては、許可取り消し処分直前の平成十七年一月時点で一期、二期及び二期拡張部の合計で約百万立方メートルです。このほか、一期処分場に隣接する残土処分場に廃棄物の混入が疑われる区域があり、その量は残土を含め約二十七万立方メートルです。また、村川組につきましては、約三十八万立方メートルです。
次に、埋め立て終了処分場の箇所数についてであります。埋め立て終了の届け出があった処分場は、安定型が十八カ所、管理型が六カ所であります。
◯副議長(吉村 敏男君)
田村警察本部長。
◯警察本部長(田村 正博君) 登壇
不祥事の再発防止対策についてお答えいたします。県警察では、平成十三年のいわゆるカジノ事件以降、職務倫理委員会を設置し、各種教養の充実、職員に対する身上把握、指導のあり方の見直しを行ったほか、採用試験制度の見直し、監察体制の強化など、さまざまな再発防止対策を講じてきたところであります。しかしながら、これまでの取り組みにもかかわらず不祥事が相次いでいることは、職員の末端にまで各種防止対策が浸透し切れなかったものであり、まことに遺憾であると重く受けとめております。このため県警察では、幹部の意識改革や組織としての危機意識の共有等を図るための緊急署長会議等を開催したほか、今後職員が誇りと使命感にあふれ、職務に邁進できるよう新たな検討組織を立ち上げることとしております。具体的には、本来人間が持っている心の弱さ等の側面を踏まえた職務倫理教養や身上指導、あるいは職場環境の改善等による士気の高い職場づくりなど組織のあり方に関する問題についても考えていくこととしております。県警察といたしましては、不祥事の再発防止に努めることはもとより、県民の皆様の負託にこたえるべく、安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向けて全力で取り組み、信頼回復に努めてまいる所存であります。
◯副議長(吉村 敏男君)
原竹岩海君。
◯三十二番(原竹 岩海君) 登壇
再質問させていただきます。麻生知事に申し上げたいのですが、私は、後期高齢者医療制度というタイトルで質問をいたしておりますので、同じタイトルでやりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
質問と要望でございますが、両方とも、これは知事に対してでございます。
初めに、後期高齢者医療制度についてです。この制度は、多くの国民の反対の声がある中で、与党による強行採決によって成立をしたものであり、成立から今日まで二年も経過をしております。県としての責任も当然、私は問われなければならないものと思います。誤徴収などの原因は、この二年間の行政の対応のあり方、そして制度そのものに欠陥があるためと言わざるを得ないわけであります。また、重度障害者の医療制度助成継続について十道県が後期高齢者医療制度への加入を条件にしたことで多くの人たちが加入を拒否していることも事実であります。知事はこの制度の成立から二年間の県としての責任についてどのような認識をお持ちなのかお尋ねします。
また、重度障害者の医療費助成につきましては、多くの県のように制度への加入条件と切り離すという考えをお持ちなのかお尋ねします。
二点目は、筑紫野の産廃問題についてであります。この産廃問題に関しまして知事は、法に基づいて的確に対応をしているので、現状では周辺河川の水質など生活環境保全上の支障がないと答弁をされています。しかし、水道水を管理している自治体や水質など周辺の環境調査をしている住民団体は、ダムへの将来にわたる水質の悪化はますます懸念されるとして、県に対して抜本的な問題の解決を求めまして、さまざまな要請活動がなされていることは知事も御承知だと思います。
そこで質問ですが、これら自治体や住民団体などが県に対して安全宣言を早期にされるよう要望しておられます。知事は生活環境保全上の支障がないと答弁されましたが、このことをもって安全宣言と受けとめていいのか、また住民の安全宣言の要望につきましてはどのような見解をお持ちなのかお尋ねします。
次に、要望です。一点目は、道路特定財源の一般財源化についてです。知事に一般財源化に対するイメージについてのお尋ねをしましたが、肝心な使途のあり方につきましては、これから広く論議を行っていくということで具体的なイメージは示されませんでした。代表質問で後期高齢者医療制度問題の項でも触れましたように、財政問題を理由とした福祉や医療分野の行政サービスの削減は特に所得の低い人たちの活動に大きな打撃を与えております。また、地方分権の立場からは完全な一般財源化を求めるべきであり、その中での真に県民が必要としている分野に財源を十分に配分しなければならないと考えます。こうした立場に立ち、全国知事会長である麻生知事が地方六団体の議論をリードされていくことを強く要望します。
二点目は、教育予算の増額についてです。知事は、七月ごろに行われる第二次提言を受け、本県独自の教育ビジョンを実現していくために必要な施策、事業の具現化に対して努めてまいりたいと明言されました。そのためには当然新たな教育予算が必要になります。これまで新たな施策に関する教育予算が打ち出されても、ここ数年教育予算全体は横ばいでした。今回、教育ビジョンに関する制度、政策に係る教育予算を含めまして絶好の教育予算の増額の機会だと思います。今回は特に道路特定財源の一般財源化などの議論の中で教育予算が大幅に増額されますことを強く要望申し上げまして、自分の代表質問を終わります。
ありがとうございました。
◯副議長(吉村 敏男君)
麻生知事。
◯知事(麻生 渡君) 登壇
このたびの医療制度につきまして、準備期間が二年もあったけれどもどうしていたんだというお話でございます。確かに、法律ができまして二年あったんですね。二年あったんですが、このたびの制度は広域連合という県全体の市町村が連合をつくってやるという、今まで全くなかった運営主体をつくっていくと、そこから始めたわけなんですね。この広域連合をつくるということはなかなか大変なことでございまして、いろんな市町村間の調整なりルールづくりが必要不可欠でありまして、それの福岡県の場合には実際に連合ができ上がるのにちょうど一年かかっています。大体二年ありましたけれども、一年間はやっぱり広域連合をつくるのにかかるだろうというのがスケジュールの前提であったわけであります。そして、その後主体ができ上がりまして、そこでいろんな制度を吸収しまして、また体制づくりを行って実際の実行準備に入っていったということであります。その実際に実行準備に入っていったんですけれども、先ほど申しましたような国側のいろんな確かに制度変更なんか行われまして、なかなか具体的な仕組みをつくり、皆さんに説明できるという状況にならなかったということがあるわけでございます。それをぜひひとつ、御理解してくれというのは変な話ですが、そういう事情にあったということを申し上げたいと思います。
それから、もう一つ、重度障害者の皆さんの保険医療制度について加入要件としておるということにつきましては、これはもう先ほどるる申し上げましたけれども、入ってくれてなければ自己負担が二割ないし三割になってしまう。そうすると今までは自己負担は一割でして、これは県のほうが全部負担していたんですけれども、二割ないし三割になった場合に従来と同じように県のほうで負担しますというのはいかにも負担が大きくなってしまうということがございます。そういうことがありますから、この保険に入ってください、それであれば一割で済みますから、その場合には県がその分を全部負担しますと。そうすると保険料という問題がありますけれども、これは先ほども申しましたように、いろんな所得に応じての軽減措置がとられておりますし、さらに軽減措置が、もっと深めた格好でやろうというような検討も今、国全体として行っているという状況でありますから、そういうことも考えて何とか入るという形で、この際やってもらいたいというのが我々の希望であります。
もう一つ、産興の処分場の問題についてでございますが、これは先ほど申し上げましたけれども、水質ということがもちろん非常に大事でございます。したがいまして、山神ダムの水質保全を図る観点からも重点的に監視体制をつくりまして、浸透水あるいは河川の水の検査、モニタリングを継続してまいる考えでございます。その状況を積極的に公表しております。こういうことをもちまして、住民の皆さんの実態についての理解、あるいは不安の解消に努めてまいるという考えでございます。