平成20年 農林水産委員会 (2008.07.08)

水産行政の取り組み


◯江藤秀之委員長
 次に、その他として何かございませんか。原竹委員。

◯原竹岩海委員
 一点だけですが、水産行政の取り組みについて確認をさせていただきたいと思います。先般報道でちょっとされておりましたが、福岡県の一部の漁業協同組合が合併されたようでございましてですね、その現状の経過報告、それが一点と、もう一つ福岡県下の漁業の生活者にはそんなに大きな影響はないのではないかとは言われておりますけれども、原油の高騰によりまして、A重油が中心でございますけれども、相当事業等に影響が出ておる、この辺を県行政の担当はどの辺まで情報を収集されまして、どういった現状があるのかということと、ストライキがなされるということでございますが、そういったことで福岡県の行政の取り組みと漁業の生活者は政府に対して一つの願いがあるようでございますが、どういうふうに把握をされておるか。それと福岡県の漁業の取り組みについて簡単に御説明をお願い申し上げたいと思います。

◯江藤秀之委員長
 吉村漁業管理課長。

◯吉村漁業管理課長
 漁協の合併についてのお話だと思います。この件につきましては先週新聞等で掲載されましたので、その件でのお話かと思います。実は三月の委員会におきまして、漁協の合併の件につきましては、今福岡県にあります筑前海区、それから有明海区、それから豊前海区、それぞれの海区で一つの漁協で行く取り組みを今されているという御報告をさせていただいたところでございます。その内容について具体的にそれぞれの海区内における漁協において、これから合併を進めていこうということで、それぞれの海区内の漁協においての合併に向けての協議が進められたということでございます。それに向けて新聞報道では筑前海区、有明海区については二十一年度末に合併を目標にして進めていこうということでお話があったということでございます。

◯江藤秀之委員長
 冨重水産振興課長。

◯冨重水産振興課長
 原油高の本県漁業への影響でございます。まず、漁民の方の行動というものについて御説明申し上げますと、今週の土曜日、七月十二日に福岡県漁業経営危機突破漁民大会ということで、本県の三海区の漁業者の方、三百五十名の方が今のところでございますが、県の水産会館に集まって大会を開き、その後パレードをするというふうに聞いております。それからこの日には、本県の漁船約六千隻ほどございますが、こちらのほうが一斉休漁をして現在の窮状を一般の県民の方に訴えるということになっております。それから全国行動としましては、七月十五日に全国大会が東京のほうで開催されます。この際には全国から三千名程度の業者の方が集まり、やはり全国民の方にそういう窮状をアピールされるというように聞いております。本県からは七十五名程度の方が東京の大会に参加されるというように聞いております。それからこの際も全国の一斉休漁が行われますが、この際には参加隻数が全国で二十万隻になるということをこちらのほうでは聞いております。
 それから実際の漁業に対する燃油高騰の影響でございますが、これは漁業種類によってかなり内容的には異なっております。それで本県の筑前海で最も沖合まで出漁しまして操業します二双ごち網という二隻の船が組んで行う漁業がございますが、これは遠くまで行くということでもともとから燃料、軽油をかなり消費する漁業でございます。この漁業につきましては、十六年と昨年を比較しまして、漁業のコスト、支出の中に占める油の割合が三五%から四六%に上昇しております。それからイカ釣り、これは夜、明かりをつけて操業いたしますので、その際に油を使いますが、イカ釣りにつきましても、十六年と十九年を比較しますと、三一%から三九%に油の比率が上昇しております。それから有明海のほうのノリ養殖、こちらのほうは近海で養殖しておりますので、漁船自体の燃料はそれほど大きな比率を占めませんが、ノリを乾燥させる場合に重油ボイラーでノリを乾燥させております。こちらのほうもやはり十六年と十九年で比較しますと、コストの中で占める油の比率が一一%から一六%に上昇しております。ただ、これはまだ昨年の秋の段階での数字でございますので、今年また燃油がかなり上昇しておりますので、今年の秋、また明らかになる場合にはもう少しというか、まだかなりコストの中に占める油の比率は上がるものというふうに考えております。

◯原竹岩海委員
 県の対応をお示しください。

◯冨重水産振興課長
 こちらのほうで直接的にですね、県のほうからいろんな補助というものが難しい、原油代に対して直接補助というのは非常に難しいものがございます。それから一つは国の対策としまして、水産業燃油高騰緊急対策基金というものが昨年十九年の補正で組まれております。こちらの基金、総額で百二億円という基金で組まれておりますが、そのうち本県の漁業者にとりまして、省エネ推進協業体活動支援事業というものがその中の三つの柱の一本にございまして、こちらに四十億円の基金が使われるようになっております。この事業は省エネを推進するグループとしまして、燃料の消費量を削減するために例えば輪番制で休漁を行う協定を結びまして、その際、輪番で休漁した方が海岸の清掃でありますとか、干潟の整備とか、そういう漁業生産力の向上につながるような活動を行った場合、その活動を支援するという事業がございまして、これらに取り組むために県のほうとして助言なり指導のほうを実施しております。ちなみにこの事業につきまして、本県では筑前海区と有明海区のほうで輪番による例えば清掃でありますとか、種苗放流を行うということで、合わせまして約一億円で今のところ全漁連が窓口になりますので、そちらのほうへ計画の申請を行っておりまして、ほぼ計画としては認められることになるかと思っております。

◯江藤秀之委員長
 高橋委員。

◯高橋義治委員
 そこで農林水産業に対する一番重要な問題は、燃油の高騰に対する行政上の対応をどうしていくかということだと思いますね。今質問があったように例えば漁業者が非常に苦慮されておるということだから、ちょっと部長に、もう時間がないから部長に直接質問する。それでね、私は今の話の答弁を聞いて四〇%なりイカ釣りが大体三〇%の燃油の高騰があると。それに対してね、漁師の皆さん方が陸に上がってね、清掃したら人件費を上げますよと。これじゃね、本当に漁業をなさっておる皆さん方に対する行政上の取り組みでは私はないと思うわけですよ。清掃だとか何とか、そんなものは初めからやって当たり前の話。有明海、筑前海で約一億円と。しかしね、これじゃ、本当にもう島の燃油は二百円を超してるような状態なんですよ。だから、福岡県としてはね、今年度はとりあえずあなたたちが直接扱う一億円じゃないんだけれども、やっぱり抜本的な対策というか、これはひいては魚価で消費者にツケが回ってくるということも言えるわけですよ。一斉休業すると。十二日には六千隻、福岡県だけで。七月十五日には二十万隻というね、船が出て行かないわけですよ。そうしたらね、漁民の皆さん方に、あなたたちは浜のところを清掃してくださいって。ね、そんなあんた話じゃ、これではあんた漁業立国である日本が本当には立ち行かない。だから、本県としては、部長がどういった考え方を持っておられるのか、第一点聞きたい。

◯江藤秀之委員長
 野村農林水産部長。

◯野村農林水産部長
 今、非常に燃油の価格が高騰しております。こういったことで県としましては、例えば昨年から低利の資金を融資したり、あるいは漁業の関係で言いますと、県単のほうで漁船の巻き上げ施設など、そういった整備などをいろいろ県の単独でもやってまいりました。基本的にはこういった原油価格の高騰というのは、今後とも続いていくと。こういったことがもう覚悟しなければならない現下の状況にあろうかと思います。そういった中でやっていく。基本的にはやっぱり中長期対策といいますか、できるだけ省エネでもって操業ができるような体制づくりでありますとか、いろんなそういったやり方、こういったものを例えばエンジンにしても、あまり灯油を食わないような、最近の新しいエンジンの整備とかですね、そういった中長期対策をやっていかないといけないと思っております。県としてもこういった県内の農林漁家の方々の現状の厳しい状況を踏まえた上で、今後とも緊急対策や中長期対策、しっかり検討してまいりたいというふうに思っております。

◯高橋義治委員
 それで燃油については長期にわたっての高騰が続くであろうと。スポットではないんだと。こういうことだからですね、ひとつ漁民の皆さん方がやっぱり安心をして、漁に出られる、魚とりに出られる、そしてそれがひいては国民の安定につながるようなひとつ福岡県独自の努力をしてもらいたいと思います。
 それからもう一つは農林水産省が先日、畜産あるいは酪農等に対する支援事業をやっていきたいんだと。こういうふうなことを考えておるわけですね、それが大体七百三十八億円と聞いておりますので、本県についてはそれがどれくらいの金額になっておるのか、まずお尋ねをしたいと思います。

◯江藤秀之委員長
 宮本畜産課長。

◯宮本畜産課長
 現段階でまだ詳細に詰めきっておりません。それで一応概数の数字でまいりますと、七百三十八億円の対策の中で七億二千万円ぐらいではなかろうかと。あわせて別にですね、鶏卵の卵価安定基金というのがありまして、これは七百三十八億円外の枠になっております。これにつきまして無事戻しと、年度途中で無事戻しをするということになりますと、トータルで十一億三千万円程度になるということで考えます。

◯高橋義治委員
 そうするとね、合計で十一億強ですね、卵価調整基金なんかがね、四億数千万円ということだから、これが非常に大きなウエートを占めておることは事実ですね、しかし、養鶏農家も畜産農家も肉用牛の皆さん方もですね、養豚業者にしても、非常にもう疲弊をしてですね、借金に次ぐ借金をしないと事業が進められないと。こういう状態だからね、やはり新しい年度に向かってひとつ農林水産部として基本的な考え方、この燃油高騰に対する基本的な考え方、あるいは今から先こういうものをやりたいんだといったものを部長にちょっとお尋ねします。

◯野村農林水産部長
 今、先ほど魚のところでちょっとお答えしましたとおり、我々としては今、当面緊急対策といったものが低利の融資とかですね、無利子あるいは非常に低利の融資、こういったものを準備したり、あるいは既存の事業の活用でいろいろ対策をやってきております。今後どういったものが可能なのか、先ほど申し上げましたとおり漁家の厳しい現状を踏まえた上でしっかり県としての対策をやってまいりたい、検討してまいりたいというふうに思っております。