平成19年度 決算特別委員会 (2008.10.29)

産業廃棄物問題


◯原竹岩海委員 
こんにちは。民主・県政クラブの原竹といいます。よろしくお願い申し上げます。
 私は、本決算委員会の委員に選任されましたときに、本件に関しまして、福岡県の行政に関しまして政務調査を行ったところであります。多くの所管より詳細な資料などを提出をいただきました。そして、福岡県の職員の皆さん方が日夜県民福祉の向上に向けまして御尽力をいただいておりますことに一定の理解をいたしたところでございます。しかし、その中で、今回どうしても執行部より一定の回答を得たい項目と、議事録にどうしても残したいという項目がございましたので、何点かの款項目に従いまして質問させていただきたいと存じます。
 内容に入ります。環境行政についでございます。今回は、産業廃棄物問題についてお伺いします。
 福岡県営山神ダムの上流域にございます産業廃棄物最終処分場につきましては、重大な法の違反があったとして、福岡県は、平成十七年六月、廃棄物処理法に基づきまして、すべての、産業廃棄物処理業及び産廃の処分場のすべての許可の取り消し処分を行ったところであります。したがって、現在では同処分場におきまして産廃の処理は一切実施をされておりません。しかしながら、同処分場には百三十万トンといわれる膨大な量の産廃がそのまま存在し、引き続き雨水が場内から下流域に排出をされております。その下流域には水道水の原水でございます山神ダムがあるわけであります。このような状況から、水道水に関係する市行政や市議会から、将来にわたる水道水の水質に不安があるとして、産廃に関するすべての権限を有されております福岡県に対しまして、改善策を初め抜本的問題の解決を求めまして陳情や要請行動が何年も行われておるわけであります。これらのことから、山神ダムに関します、私たち複数の県議は当該市長会と議長会と一緒に取り組んでおるわけであります。
 そこで、県は、同処分場周辺の河川など周辺環境の実施を把握するためとしてさまざまなモニタリングを行っておられるわけであります。しかし、最近、このモニタリングにおきまして、場内の井戸から、一部の項目ではございますが、基準を超えて検出されたと伺っておりますが、具体的にどのような状況なのかお伺いします。

◯新村雅彦副委員長 
永津監視指導課長。

◯永津監視指導課長
当該処分場につきましては、事業場内と事業場外それぞれにモニタリングのための地点を設定をしまして、毎月調査を実施しておると。その中で、五月と十一月につきましては、一般的なイオン濃度でありますとか、有機物質濃度、これらに加えまして重金属等の健康項目についても調査を行っていると。そういった中で、本年の五月に、事業場内にあります井戸水、ここから重金属である砒素が基準を超えて検出されたということであります。このため、当該井戸水につきましては六月以降も毎月継続して調査を実施したと。この結果、その後はすべて基準値以下ということになっております。
 そこで、この五月の調査において砒素が基準値を超えた原因ということでございますけれども、これは、通常の地下水ではなくて、井戸の底部にたまっております堆積物を採取したためのものであるということから、このことにより地質に由来すると考えております。
 なお、県では、念のため当該井戸水については当分の間砒素の検査を毎月実施していくという予定にしております。

◯原竹岩海委員 
砒素が検出されたということでございますが、これは、自分の解釈というのは、自然由来ということも聞いておりますが、先ほどの行政の回答はちょっと違います。その辺はどうなんですか。

◯永津監視指導課長 
これまでのいろんな状況を総合しますと、地質に由来したものが検出されたと考えております。

◯原竹岩海委員 
確認でございますけども、本年の五月に一度だけ場内の井戸におきまして砒素が基準値を超したということでございますが、通常の状態でのサンプリングとは言えない状況ということでございますので、再度検査の結果、問題なかったという、こういった理解でいいんでしょうか。

◯永津監視指導課長 
そのとおりでございます。

◯原竹岩海委員 
それでは、同じ五月の調査におきまして、同事業場の下流域の河川や井戸水の調査結果はどうだったのか、再度伺いたいと思います。

◯永津監視指導課長 
本年の五月の調査結果では、事業場外の河川水でありますとか、井戸水につきましては、すべての項目につきまして基準値以下という結果でございます。

◯原竹岩海委員 
県の説明では、しっかりとモニタリングをやっているので、現在では影響や安全というものを責任を持ってしっかり頑張っているということでございます。
 しかし、一方で、砒素などの健康項目ではございませんが、河川等の有機性汚濁の指標にもなっておりますCOD、これは日本語では化学的酸素要求量と言うんだそうでございますが、CODについて浸透水が一時期悪化をいたしたという報告も聞いております。また、事業場内の硫化水素ガスにつきましても、同時期において高い濃度が検出をされたとも聞いております。
 そこで、委員長にお願いでございますが、問題となりました浸透水のCOD及び硫化水素並びに降水量について、平成十五年度から現在までの推移がわかります資料をお願い申し上げたいと思います。資料提出をお願いしたいと思います。

◯新村雅彦副委員長 
それでは、お諮りいたします。
ただいま原竹委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯新村雅彦副委員長 
御異議ございませんので、本委員会の資料要求といたします。
執行部に申し上げます。ただいま原竹委員から要求がありました資料については提出ができますか。

◯永津監視指導課長 
直ちに提出できます。

◯新村雅彦副委員長 
それでは、提出予定の資料を確認をさせてください。
〔資料確認〕

◯新村雅彦副委員長 
それでは、ただいまより原竹委員要求の資料を事務局から配付をさせます。
〔資料配付〕

◯新村雅彦副委員長 
資料の配付が終わりましたので、原竹委員、質疑を行ってください。

◯原竹岩海委員 
資料提出、どうもありがとうございます。大きく、これは本当に見やすいなと思っております。
早速でございますけれども、配付をいただきました資料について御説明をお願い申し上げます。

◯永津監視指導課長 
資料の説明でございます。
一番上の図一でございますけれど、委員御指摘いただきました浸透水水質のCODにつきまして、平成十五年一月から本年の九月までの推移をあらわしたものであります。S-3と表示しておりますのが浸透水ということになります。また、この浸透水は水処理施設で処理をされて放流をされておりますので、S-4ということで、この処理水についての経過もあわせてグラフ化しております。
 真ん中の次の図2のグラフでございますけれど、これは、硫化水素ガス濃度につきまして、同じく平成十五年一月から本年九月までの推移をあらわしたものであります。一〇一、一〇二、一〇三というものが表示されておりますけれど、これはモニタリングを行っております処分場内のガス抜き管をあらわしたものであります。
 最後の図3のグラフでありますけれど、これは同時期におきます太宰府市の降水量の推移をあらわしたものであります。日最大降水量は、一カ月のうちの一日最大降水量をあらわしております。月間降水量は一カ月間の累計の降水量をあらわしております。
 以上でございます。

◯原竹岩海委員 
このグラフを見ますと、浸透水のCODが平成十七年と十八年に悪化をしているように自分は見えますが、どのような状況なのかお伺いします。

◯永津監視指導課長 
この図にありますように、平成十七年の七月に浸透水水質が急激に悪化をしまして、CODが三百三十ミリグラム/リッターとなりまして、基準値であります四十ミリグラム/リッターを超過いたしております。同年の十一月以後に一たん基準値を下回りましたものの、平成十八年四月にはまた再び二百三十ミリグラム/リッターとなりまして、以後は、この平成十八年度中は基準値を超えた状態が継続をいたしました。

◯原竹岩海委員 
関連で聞いたらよかったんですけど、下のほうの硫化水素ガスにつきましても平成十七年と十八年に高い数値を示しておりますが、これについてもちょっと経過をお願いします。

◯永津監視指導課長 
硫化水素ガスでございますけれど、平成十七年八月に処分場のガス抜き管、これから千百ppmの高濃度の硫化水素ガスが検出をされております。また、翌年の六月にも千ppmという高濃度の硫化水素ガスが検出され、十八年度中は以後も数百ppmの濃度で継続したということでございます。

◯原竹岩海委員 
今のは説明でございましたが、こういった高い数値を出したところに関しまして、所管の県の行政としましては、そのような高い数値を検出をされました原因についてどのように分析をされておりますか。

◯永津監視指導課長 
県といたしましては、学識者にも助言をいただきまして、そして、いろいろな調査を実施をいたしました。そのことによりまして、次のことが明らかになっております。
 一つ目は、この処分場内に、以前、この浸透水を速やかに排出させるための浸透水集排水管というものを施工していたんですけれど、この出口が埋立層に埋まってしまっているということで、雨水がこの埋立層の下にたまりまして、また、空気も通りづらくなっているということが一つ挙がられます。
 二つ目は、周辺からの雨水が処分場内に入らないように、雨水排水路といったものを、これも以前整備をしておったんですけれど、これが損壊をしておりまして、周囲の雨水も処分場内に入りやすい、こういう状況になっている。
 それから、三つ目は、事業者が設置をしましたガス抜き管、これの半数が、よく調べてみると、十分な深さがなくてガス抜きの機能が十分果たされていないと。
 以上のようなことから、この埋立層内全体が強い嫌気性な状態になりまして、そのことに起因しまして浸透水の悪化、硫化水素ガスの発生といったものが発生しやすい状態になっていると、こういうことがあります。

◯原竹岩海委員 
分析は大体わかったんですけども、嫌気化か好気化にしなければならないということでございまして、県は当然産廃行政に関してはすべての権限をしっかり有しておられる。指導監督権もちゃんとあるわけでございまして、こういったところで、改善対策としまして事業者に対して具体的にどのような指導をされているのでしょうか。

◯永津監視指導課長 
以上御説明いたしましたような原因を踏まえまして、事業者責任ということで事業者に対して指導しております。
 一つ目は、こういう状況でございますので、埋め立ての底部を開削をして、中にたまっております雨水を排除するということと、雨水が速やかに外に出るように浸透水集排水管を再整備をすること。
 二つ目は、やはり周辺の雨水が入り込まないように、雨水排水路、これを整備すること。
 それから、三つ目は、処分場の上面といいますか、全面に雨水が入り込まないように土をかぶせると。
 それから、四つ目は、なるべく処分場の中を好気領域を拡大させると。つまり通気をよくするために、通気管、こういったものを再整備するといったことを指導をいたしております。
 なお、以上の対策につきましては、十八年の六月から一部実施をされまして、平成十九年十月にはおおむね終了したという状況でございます。

◯原竹岩海委員 
県は何もやっていないということではなくて、指導監督はちゃんとやっているという、一定の審査の中で理解はできました。
 しかしながら、福岡県は、事業者を指導して改善対策の実施を引き続きしなければならないと思います。対策の実施によりまして、浸透水のCODや場内の硫化水素ガスの状態はその後どのようになったのか、現在の状況も踏まえまして御回答をお願い申し上げます。

◯永津監視指導課長 
このグラフをごらんいただきたいと思うんですけれど、浸透水のCODにつきましては、次第に濃度が低下をいたしまして、本年の二月には大幅に改善をして、基準値である四十ミリグラム/リッターを下回っており、また、現在はこの四十ミリグラム/リッター前後で推移しているという状況であります。
 硫化水素ガスにつきましても、本年の四月以降は五十ppm以下となりまして、これも時間の経過とともに低下しつつあるという状況にございます。

◯原竹岩海委員 
この件は一定の区切れがございますけども、要望がございます。これまでの説明では、浸透水のCODや場内の硫化水素ガスは現在改善を少しはされておるということでございますが、事業場からの影響を把握するためのモニタリングは重要でございます。県としまして、これらをしっかりと継続されまして、事業者に対して必要な指導を賜りますよう強く要望するものであります。
 次に、同処分場の問題でございますけども、許可の取り消しをめぐって、事業者は司法にその処分の取り消しを求めて提訴されております。その裁判の現在の状況について御報告願います。

◯永津監視指導課長 
県が平成十七年の六月二十四日に行いました当該事業者に対する産業廃棄物処理業等の許可取り消しに対しまして、事業者は十七年の八月十二日に許可取り消し処分の取り消しを求める訴えを福岡地裁に提起をしております。
 本年四月二十五日には、この第一審の判決がありまして、県が勝訴をしております。
 その後、事業者側が福岡高裁に控訴をしたことから、裁判は継続をしております。現在、この高裁におきまして口頭弁論が一回行われておりまして、二回目は来月の四日に予定されているという状況にございます。

◯原竹岩海委員 
そろそろまとめてくださいということでございますので、それでは、県として今後の裁判に関しましてどのような体制と姿勢で臨まれるのか、その辺を伺いたいと思います。

◯永津監視指導課長 
県としましては、万全の事実確認、それから、慎重な法解釈に基づきまして取り消し処分を行ったものでありまして、そのことにつきましては裁判の第一審で明確かつ詳細に主張をしてまいりました。一審判決におきましては、全面的に県の主張が採用されまして、県勝訴の結果が得られております。
 控訴審におきましても、基本的に同様の対応を行いまして、県の行政執行の適法性を主張していきたいと考えております。

◯原竹岩海委員 
時間がございませんので、産廃行政のほぼ頂点だろうと思いますが、環境部長、我々の一定のやりとりをしっかり聞いておられたと思いますが、この一点だけではなくて、福岡県下全体の産廃行政に関しての県の取り組みと、その決意について伺いたいと思います。

◯新村雅彦副委員長 
脊戸環境部長。

◯脊戸環境部長 
当該処分場の課題につきましては、先ほどから質疑が行われたとおりでございまして、これは、私ども福岡県の産廃行政の最重要課題の一つでございます。これをきちんとやっぱり対処、解決していくということが県全体の産廃行政の大きな見通しにつながると私は考えております。
 当然、このような観点から、当該処分場についてもきちんとやってまいりますし、他の処分場、それから、そういったことにつきましても、私ども環境部、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

◯原竹岩海委員 
終わります。