平成21年 12月定例会 (2009.12.10)
農政問題
◯三十三番(原竹 岩海君)登壇
おはようございます。民主・県政クラブの原竹岩海といいます。通告に従いまして、政務調査に基づき農政問題に関しまして質問します。
本年八月三十日の衆議院議員選挙におきまして、国民の意思により政権交代がなされ、九月十六日に鳩山政権が誕生したことにより、我が国の歴史が大きく変わり、新しい日本の時代を迎えたのであります。鳩山政権の使命は、旧政権からの政治の大改革、すなわち組織の改革を初め税金の使い方や予算の決め方などを抜本的に見直し、どこまで国民の目に見える形で示すことができるかにある、この一点にかかっております。我が民主党は今回、マニフェスト選挙と位置づけて、さまざまな新しい政策を強く訴えたところであります。
その中において、農業政策もその例外ではございません。鳩山政権は、農業者への戸別所得補償制度を導入することにより、我が国の食料自給率を向上させ、農業を再生するための最大の柱として、二〇一一年度実施の方向で検討されており、そのモデル対策として、二〇一〇年度の農林水産省の概算要求において、米の生産数量目標に即しまして主食用米を生産する販売農家に対しモデル事業を先行実施することになっております。
そこで、知事にお伺いします。本県の水田農業の振興を図る観点から、戸別所得補償制度についてどのような考えをお持ちなのか、お聞かせください。
次に、六次産業化による畜産経営の改善について質問します。昨年、異常な高騰を見せた配合飼料価格は、一時期より少し下落の傾向ではございますが、残念ながら、いまだに高どまりの状態が続いております。これに追い打ちをかけるかのように、景気低迷が長期化する中、消費者の買い控えや節約志向が依然として強く、年末になっても一向に需要が回復しないため、牛肉や豚肉などの畜産物は流通段階で多くの在庫をしっかり抱えており、価格の低迷が続いております。これに対応して農畜産業振興機構は、肉用牛農家対策として、採算割れを補てんする肉用牛肥育経営安定対策、いわゆるマル緊や補完マル緊によります補てん対策や、養豚農家に対しましても肉豚価格差補てんが発動されておりますが、大変厳しい経営状況であるというのが現状であります。
しかし、その一方で、畜産農家の中には従来の生産部門だけではなく、加工品の製造や販売にまで一体的に手がけ、経営的に成功している事例も幾つか報告をされておるようであります。所得向上を図るためには、単に原材料の生産としてだけではなく、みずから加工や販売に取り組む経営のいわゆる多角化を進め、そこから生じる付加価値を農業経営の中に取り込むことが重要であると思うのであります。
私の地元であります筑紫野市で頑張っておられます酪農家の積極的な取り組みを一つだけ紹介させていただきます。この酪農家の方は、ミルク工房を牧場内に併設をされまして、ソフトクリームや牛乳プリンなどの加工品の製造、販売や農家レストランの経営もされております。新鮮で、かつ自然で安心な原材料で製造された加工品は、多くの消費者に大好評であると聞いております。
そこで、六次産業化による経営改善を図るため、畜産農家が行っている加工や販売の現状と県の取り組みについてお尋ねします。
最後に、米粉に関する本県の取り組みについて質問します。我が会派は、本議場におきまして、低迷する米の消費を拡大する具体的な施策の一つとして、地元産の米粉利用推進をすべく、例えば県内の小中学校の給食に積極的に導入をするべきであると政策提案をいたしてまいったことは周知のところであります。
このような中、先般、熊本県では、関係団体と連携のもと、米粉の産地化を目指すとして、県産の米粉を使ったオリジナルの新商品四種類を堂々と発表されました。具体的には、現在流通をしている米粉の品質がばらばらであるため、県主体で消費者や利用者の皆さんが要求をしておられる高いレベルの米粉製品を開発し、それを使ってめん類やパン類などの商品化の促進を目指すとしております。これらの事業計画が実現化をした場合、生産振興による農家の育成と同時に、安定した需要づくりをすることができ、結果的に米粉のさらなる消費拡大となり、生産者のメリットが段階的に向上をしていくと発表されております。これら熊本県行政の米粉に関する事業は、机上の理論から検証へと進化し、さらには実施事業へと戦略を持って一歩一歩成功への道を歩んでおられるように思えてならないのであります。
そこで、知事にお伺いします。本県の米粉の普及についてどのような戦略を持って取り組まれているのか、具体的にお答えください。
以上、明快なる回答を期待しまして、質問を終わります。
◯副議長(井本 邦彦君)
麻生知事。
◯知事(麻生 渡君)登壇
農業の戸別所得補償制度についてでございます。この制度は、米の生産費と販売価格の差額を全国一律に補てんするんだということが基本的な考え方でございまして、その対象としましては、戸別の水稲共済加入者を対象とするのであるということになっています。これを文字どおりこのまま行った場合に、一つは、今後の農業の生産年齢を考え、これが急速に高齢化する。現在は六十五歳以上の農業従事者の全体に対する割合はもう五〇%を超えておるわけですが、そういう状況から見ますと、だれが本当に農作業をするのかということがございます。そういうことがありますから、これまで我々は、集落営農組織あるいは一般的な法人というような形でしっかりした営農主体をつくり上げていこうということをやってまいりました。これに対して、むしろマイナスに働くのではないかということが一つです。
もう一つは、米を考える場合には、麦とか大豆とかほかの作物と一体として考えていこう。米だけではなくて、裏作として麦をつくる、あるいは大豆をつくるというようなことを行うことによりまして、農家の所得を上げていくというような政策をとってきておるわけなんですが、このような、伝統的な言葉で言いますと品目横断の政策をとることによって所得を上げるという政策もうまくいかなくなるのではないかという点に大きな懸念を持っているわけでございます。
そういうことでございますから、我々は、このような今どうしても我々としてやらなければいけない農業のあり方ということの変革、これが進むような制度にすべきであるというふうに考え、必要な提案を福岡県としてしておるという状況でございます。
畜産農家の加工、販売の点についてでございますが、県内には乳脂肪分の高い牛乳でアイスクリームをつくる、あるいは卵だけではなくて自家製のケーキをインターネットで販売する養鶏農家、あるいは農家でみずからレストランをしまして自家製のハムを売っておるというような養豚農家といったものがあるわけでございまして、それぞれの分野で非常に努力をしながら、新しい需要開拓、新しい生活スタイルに合わせていこうという努力をいたしているわけであります。県といたしましては、このような努力を一層広く普及させたいと思っておりまして、普及指導センターによります経営改善計画の作成指導、補助事業、制度資金による加工、販売施設の整備を支援いたしております。そして、このような多角的な取り組みによりまして経営の安定、さらに所得を確保していくという畜産農家の育成に努めてまいる考えであります。
米粉の普及対策でございますが、これはパンあるいはめん類などの原料として米粉を使おうという考え方をとっております。実際、このために関係機関、団体と協力しまして、まず学校給食に県産米を使いました米粉パンを導入する、食べてもらうという研究を進めております。そして、その結果、昨年度の場合には二市町村の十二の学校で試験的にこれを試みました。本年は、五十五の市町村で六百六十八の小中学校において実施をする見込みとなっております。今後とも、このようなことでございまして、やはりめんなりパンがおいしいということが非常に大事でありますから、そのような改良、そしてまた普及促進、これは福岡県米粉普及推進協議会がございますけれども、これを拠点として進めてまいる考えでございます。
◯副議長(井本 邦彦君)
原竹岩海君。
◯三十三番(原竹 岩海君)登壇
知事と県行政に対しまして、三点ほど意見と要望をさせていただきたいと存じます。
その前にですけれども、県におかれましては御存じかと思いますが、舟山農林水産大臣政務官が、きょうの午後二時に朝倉市を中心に視察と意見交換に入っていただきます。本当に感謝の気持ちでいっぱいであります。ここではJAの関係者、そして生産組合、そしてまた生産者と戸別所得補償制度についても意見交換がなされるということでありまして、しっかりと意見交換をやっていただきたいというふうに考えております。
まず、一点目でございます。さきの参議院議員選挙におきまして、当時多くの農業者の皆さんから、自民党連立政権が訴えている品目横断的経営安定対策より、本当に実現をするなら、あなた方が訴えておる戸別所得補償制度のほうがいいんだと、そういった内容の会話が多かったことを覚えております。その反応が、今般の衆議院議員選挙の結果の一因になったのではないかと、農業関係者の現場におりました私は確信をいたしております。本補償制度を初め現政権の農業政策を、現職の責任ある知事として真摯に受けとめていただきまして、現政権の農業政策の確立に御尽力をいただきますことを、農民の一人として要望するものであります。
畜産農家の六次産業化についてであります。先ほど御紹介をさせていただきました私の地元の畜産農家は、消費者の皆さんの評価はもとより、多くの自治体や団体から大変な評価をされておりますが、現状は景気の低迷等により経営の実態は大変のようであります。よって、県におかれましては、さらなる支援策を実施されますよう強く要望するものであります。
最後に、米粉の普及対策についてであります。知事は、県内の小中学校の給食におきまして県産米を使用した米粉パンの導入に関して、昨年度は十二校だけであったが今年度は六百六十八校で試験導入する見込みですと答弁されたところであります。これらの普及並びに消費の拡大につきましては、本県は農業試験技術は日本でもさまざまな分野でトップレベルでありまして、耕作地につきましては大平野をいただき、潜在的消費者は五百万人を有しております。すなわち、米粉普及に関しましてはほとんどの条件をしっかりと満たしております。よって、本県におかれましては、まず小中学校給食への普及を確立されますことを強く要望しまして、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。