平成16年 9月定例会 (2004.10.04)

最終処分場廃棄物処理法違反に対する行政処分

◯十一番(原竹 岩海君)登壇
 緑友会・新風の原竹です。私は、事前通告に基づきまして、大きく二点について質問をさせていただきたいと思っております。また、麻生知事を初めすべての行政関係者の皆様に日ごろから福岡県内、市町村と緊密な連携を図られながら住民福祉の向上のために御尽力をいただいておりますことに県民の一人としまして本当に心から感謝を申し上げまして質問に入らせていただきたいと思っております。しばらくの御清聴、よろしくお願い申し上げます。

 まず、産業廃棄物に関しまして最終処分場廃棄物処理法違反に対する行政処分についてお尋ねをいたしたいと存じます。有限会社Mが、筑紫野市平等寺二百六十三及び二百六十四番地に昭和六十年九月二十日付で設置をした安定型産業廃棄物処分場は、平成四年当時には、既に許可量を大きく超えた産業廃棄物が埋め立てられ、いわゆる過積みの状態でありました。しかし、その後も継続して廃棄物が不適正に処理をされ、この産廃の過積み行為によりまして、産業廃棄物が飛散や流出をする可能性があるとして、福岡県はこの不適正処理を行ったとされる三法人及び四名に対し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律いわゆる廃掃法第十九条の五に基づき、違法とされる産業廃棄物、約十八万九千立方メートルの撤去を求める措置命令を、平成十六年五月二十六日に出されておるわけであります。
 この事業者は、実は平成九年三月二十五日に解散し、驚くことにその翌日には同じ法人名で新たな法人が設立をされるとともに、その後も組織変更が行われるなど、まさにこれは行政に対する悪質な行為としか言いようがないのであります。このような業者の実態を踏まえまして、本措置命令並びに業者が提出をした改善計画書に関して具体的に質問させていただきたいと存じます。
 まず、県の措置命令には履行期限までに措置が講じられない場合、または講じても十分でない場合には、福岡県が除去等の代執行を行い、措置命令を受けた者に費用の請求をすることがあると明記をされておりますが、貴重な税金を使って代執行をしなければならない事態は最大限努力し、避けるべきだと私は思うのであります。措置命令を受けている業者の実情が先ほど述べたようなものであることを勘案した場合、履行期限が遵守されない、その可能性が十分に想定をされるわけであります。県は、業者に対して改善作業を履行させるため、どのような対応をされているのかお示しください。
 次に、業者の改善計画書でございますが、これによりますと当該処分場へ一日に延べ約百三十台もの産廃に関する大型車両が往来することとなっております。それらは筑紫野市、佐賀県基山町のいずれかを運行することとなっており、いずれの場合も通学路を通ることになりますが、県は交通安全対策を確保するためにどのような対応をされているのかお示しをいただきたいと存じます。また、改善作業中の雨水排水が、下流域である佐賀県側の基山町に流出することが現実的に想定をされますが、改善作業中の排水処理はどうなっているのか説明を求めます。
 最後に、本改善計画書の提出時期でございますが、当初の期限六月の九日から六月三十日に事業者側からの申請により延期をされていたにもかかわらず、実際にはその約一カ月後の七月二十六日に提出をされており、福岡県もこの計画書を受理しておられます。果たして、県はこのような緩慢とも思える対応でよいと言えるのでありますでしょうか。このような県の姿勢こそ、地元自治体等が以前より行政処分に関して強い要望をされていたにもかかわらず、措置命令を出すまでに相当な時間を要したことなどが、福岡県の産廃問題に関する行政不信の根源であるとの声も上がっておるところであります。このことを踏まえまして、本改善計画書の提出や受理がおくれた理由を御説明ください。
 以上、本件に係る産業廃棄物不適正処理に関する質問に対して、県の明確なる御回答を賜りたいと存じます。

風俗営業(パチンコ店等)を含む大規模開発

 次に、県の都市計画を含みます開発行政、今回は特に市街化調整区域での風俗営業を含む大規模開発について、開発行為に関する許可権者であります麻生知事にお伺いをいたしたいと存じます。昭和四十三年都市計画法の改正に伴い、計画区域を市街化区域と市街化調整区域に二分する区域の区分制度が制定をされ、市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域となり自然や農業環境等の一定の保全がなされてまいりました。しかし、その後この区分制度が一律的な規制であることから地域の活性化を妨げる要因ともなっているとして、県条例や審査基準の制定を通して、地域の実情に応じたきめ細やかな柔軟な運用を行うことができるようになりました。これは、市街化調整区域のように抑制をすべき区域であっても、都市計画法上の開発要件を満たすものについては、一定の開発行為等が容認されるもので、市街化調整区域での五ヘクタール以上の大規模開発計画が県の開発審査基準をクリアすれば実施できるとして、各業界では市街化調整区域での開発に熱い視線が注がれているのも事実でございます。また、その一方では周辺の住環境にそぐわない大規模開発、事例としてパチンコ店等、いわゆる風俗の事業計画などをめぐり、地元住民との紛争等も発生をいたしておるわけであります。これらを踏まえまして、福岡県の都市計画を含む市街化調整区域に関する開発行政について質問をするものであります。
 まず、都市計画法第三十四条十号イに基づく同法施行令第三十一条の開発許可要件の中に「産業の振興に…著しく寄与する」ものという条件がございますが、これは風俗営業法の許可を必要とするパチンコ店等は、この要件に該当するのでありますでしょうか。
 また、本件に係る具体的な問題としまして、筑紫野市の美しが丘というニュータウンに隣接をする市街化調整区域約十一ヘクタールを開発し、パチンコ店等を含む大型複合商業施設としての開発計画があり、地元説明会が開催をされております。その説明の中では、開発面積の約二・七ヘクタールが風俗営業に該当する大規模なパチンコ店建設の計画がなされておるようであります。これに対し地元の住民を中心に、本計画が実施をされましたなら周辺の住環境に著しく悪影響を与えるとともに青少年の健全育成からしましても重大な問題があるとして、パチンコ店を含む市街化調整区域での開発は絶対に容認できないとして、美しが丘南自治会長を先頭に街頭などで反対署名活動がなされ、一回目だけでも七千七百名以上の署名が集まり、市民の声が先般、地元の市長に提出をされたところであります。なお、二回目の署名簿も集まり次第、追加提出をされると伺っております。
 また当該市では、今回の市街化調整区域内でのそのパチンコ店建設を福岡県がオーケーした場合、何とあと四カ所の市街化調整区域におきまして同様な進出計画の話があるやにも仄聞をいたしておるところでありまして、本当にこれが事実ならば、本市は大変憂慮される重大な問題であります。
 また、当該市の国土利用計画では、市街化区域及び市街化調整区域の整備や開発、または保全の方針の見直しなどにより、全市的な土地利用方針や、その開発と保全バランスなどが時代環境に適合するよう努めると記されておるわけであります。福岡県は、これら自治体の開発方針を尊重されるべきであると強く訴えるものであります。もうこれ以上、歴史と文化の町におきまして、市街化調整区域内での風俗営業、特にパチンコ店等は必要ないのではないかとの声が日々大きくなってきております。これらを踏まえまして、この美しが丘のニュータウンに隣接をする原田地区の市街化調整区域内でのパチンコ店建設に関する申請がなされた場合に、県は許可されるのかどうか明快なる御回答を賜りたいと存じます。
 なお、参考までに申し上げますが、先般開催されました筑紫野市議会におきまして、地元の市長は本件に関し、市に申請がなされた場合は、容認できない旨の意見書を県に提出するとの明快なる回答がなされておるところであります。市街化調整区域は、本来市街化を抑制すべく主に農業を主体とする区域として、ほかの法令等を含め優良な農地や良好な自然環境の一体的な保全が図られてまいりました。このような閑静な住宅街に、ある日突然、大規模な風俗店が建設をされます、そのことが問題であります。福岡県は、産廃問題と同様に地元自治体や住民の意見を十分尊重されますよう強く要望をしますとともに、明快なる御答弁を求めまして一回目の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

副議長(重野 正敏君)
麻生知事。

◯知事(麻生 渡君)登壇
 筑紫野の産廃処分場についてであります。この処分場につきましては、措置命令を発しまして、これに基づく改善計画、この計画にのっとりまして現在改善作業を進めております。県の方では改善状況を毎月文書で報告をさせております。また、定期的に立入調査を実施することによりまして、改善の進捗状況を把握いたしております。期限までに適正に改善が行われますように監視指導を行ってまいる考えでございます。

 改善作業が行われます場合の搬出車両の運行に伴います交通安全対策についてでございます。現在は、廃棄物の搬出を行うための準備作業を行っております。実際に搬出が行われるようになった際には、通学路を初め地元におきます交通安全対策を徹底しますように事業者を指導してまいります。
 また、改善作業中に雨が降った場合の排水についてどうかということでございます。改善作業そのものは許可容量を超えて埋め立てられております廃棄物を撤去を行うものであります。作業に伴いまして、排水そのものが生じるというものではございません。降雨によりまして水が流れてくるというようなことにつきましては、生活環境保全上の支障が生ずることのないように必要な指導を行ってまいります。
 市街化調整区域の開発許可についてであります。市街化調整区域につきましては、開発行為を原則的に抑制をいたしております。ただ、一定の条件を満たした場合には開発を許可をするというやり方でございます。大規模な開発の許可に当たりましては、開発計画そのものにつきましてそれぞれの市町村が居住状況の改善とか、産業の振興といった観点から基本的に了解し、また将来の町の構想の中で位置づけられたものであることがまず第一に必要であると考えております。個別具体的な問題については、市町村の意見も踏まえまして開発審査会の意見も聴取いたしまして、判断をしてまいる考えであります。
 残りの環境問題については環境部長に答弁をさせます。

◯副議長(重野 正敏君) 
原環境部長。

◯環境部長(原 明輝君)登壇
 改善計画書の受理についてお答えをいたします。今回の改善計画書につきましては、六月三十日に提出されましたが、その実効性を確保するため搬出数量や処理委託先などを具体的に記載するよう指導を行ったことから、七月二十六日に改めて計画書が提出されたものであります。

◯副議長(重野 正敏君) 
原竹岩海君。

◯十一番(原竹 岩海君)登壇
ありがとうございました。産廃問題からちょっとお話をさせていただきたいと思っておりますが、これは再質問ではございません。産廃問題ですね、君は産廃の事業に関しては反対かという御批判ありますけれども、産廃は我々人間が出しておりますから、どこかで処分を、処理をしなければならない。問題は、適正にしなければならないといったことでございまして、我が会派の代表質問にございましたとおり、法改正まで含めまして現実的な対応でしっかり反対だけではなくて、現実的な対応を皆さんとともに適正な処理がなされるよう、公的関与まで含めまして一緒に頑張ってまいりたいと思っておりますので、引き続きの御指導をお願い申し上げたいと思っております。
 それでは、再質問をさせていただきたいと思っております。市街化調整区域に関する問題でありますけれども、一つは、総合計画とかまちづくりといったものがあります。福岡県は福岡県でちゃんとありました。議員の図書館に行ってまいりました。緑の方が福岡県都市計画基本方針でございます。平成十五年の二月福岡県と書いてあります。そしてその運用方針については、平成十五年の四月にしっかり出されております。すばらしいまちづくりの計画が書いてあります。一方、地元の問題となっております筑紫野市の総合計画マスタープランの方にも同じようにすばらしい事業計画が書いてあります。我々は、こういったことを具現化するべく一生懸命頑張っていかなければならないのではないでしょうか。そこで、福岡県の開発計画と市町村の開発計画に整合性がないといけないのではないかという心配がございまして、そこの一点の確認だけ、最度、今度は所管の部長にお願い申し上げたいと思っております。
 先ほどの麻生知事の御答弁では、開発の許可に当たりましてですね、当該市町村が住環境の改善、産業の振興等の観点から基本的に了解することが一義的に必要であり、県としましては市町村の意見を踏まえ個別具体に判断するということでございました。私も市街化調整区域におきましては、市町村の将来の構想を踏まえた土地利用に適合しました開発についてのみオーケーを出していく、そういうことはしっかり考えております。しかしながら、万が一、一つの事例でございますが、どうしても開発を強く希望する人たちが、市町村が反対する中、どうしても開発を行いたいとしまして市町村の同意のないまま福岡県に開発の申請を行うことがあった場合、福岡県として市町村の同意のない開発許可申請を、福岡県は許可をすることがあるのかどうかを明快に御回答をお願い申し上げたいと思っております。一点。
 二点目です。福岡県は、過去におきまして都市計画法施行令第三十一条のただし書きに該当する五ヘクタールから二十ヘクタールの開発許可の申請におきまして、産業の振興に寄与するものとして、過去パチンコ店の建設の申請に許可を出した事例がおありなのかどうかあわせてお尋ねを申し上げたいと思っております。明快なる御回答をお願い申し上げます。

◯副議長(重野 正敏君) 
境建築都市部長。

◯建築都市部長(境 博義君)登壇
 市町村の同意のない開発許可についてでございます。市街化調整区域の大規模な開発許可に当たりましては、市町村の同意を条件としております。

 次に、そういう事例があったかという事例についてでございますが、都市計画法施行令第三十一条ただし書きに該当する申請で、過去パチンコ店を許可した事例はございません。