平成18年 6月定例会 (2006.06.12)

 福岡県西方沖地震

◯九番(原竹 岩海君)
 
おはようございます。緑友会・新風県議団の原竹岩海です。会派を代表しまして、県政の重要課題について質問をいたします。
 質問に入ります前に、去る五月二十七日、インドネシアのジャワ島で発生した大地震は、死者約六千人、負傷者は三万八千人に上るという大きな被害をこうむりました。亡くなられました皆様に対しまして哀悼の意を表しますとともに、被災地の迅速なる復興をお祈り申し上げます。
 それでは質問に入らせていただきます。
 本県におきましても、昨年の福岡県西方沖地震により大きな被害を受けました。県では、玄界島など被災地の復興に取り組んでいるところであります。被災地の復興を目指し、我が会派も引き続き全面的に支援をするものであります。そこで、知事に復興の進捗状況についてお伺いします。
 また、本年二月議会の答弁で警固断層、宇美断層の調査を行うと答弁されていますが、その後の進捗状況と今後の地震対策についてお聞かせください。

 建築等の偽装問題と安全性

また、建築等の耐震強度に関する偽装問題もあわせてお伺いします。この問題は、国会において、重大な事件として、建築士への罰則強化など関連法案が提出をされております。本県でも耐震強度を偽装したとされる設計会社があったと報告され、問題の当時の会社や関係者、請け負った建築物件等を集中的に調査をされております。そこでお伺いします。
 調査に相当の時間が経過をいたしておりますが、これらの進捗状況についてお示しください。また、県の耐震偽装防止対策についてもお答えください。
 次に、東京都のマンションにおいてエレベーターに挟まれるという事故により、とうとい人命が失われました。本県においても他人事では済まされないことであります。そこで知事にお尋ねします。
 事故を起こしたとされるシンドラー社製のエレベーターは本県に何基設置されているのか、また、そのうち県有施設などに設置されているものが何基あるのか。緊急に同社製のエレベーターの点検が必要だと思いますが、どのように対応されるつもりなのか、あわせてお聞かせください。

児童生徒の被害防止対策

次に、児童や生徒が被害者になる悲惨な事件、事故が相次いで起こっております。保護者や住民は子供たちをどのようにして守っていけばいいのか不安な日々を送っておられます。被害を未然に防ぐためには、県や地域が一体となって取り組むことが重要だと考えます。そこでお伺いします。このような児童生徒の被害防止のため、どのような対策を行っているのか知事、教育長、警察本部長にお伺いします。

地方自治

次に、地方自治を取り巻く状況について伺います。平成十六年度から行われた三位一体の改革、市町村合併、今まさに各方面で、かんかんがくがくの議論が展開されている道州制と、地方自治を取り巻く環境が大きく変化しようとしております。この流れに翻弄されることなく、時代を先取りした県政を展開していかなくてはならないと痛感をいたしております。三位一体の改革は、平成十八年度の予算で一応の決着を見ました。補助金改革が交付金となったり、補助率の引き下げに終わったりしたという不十分な点もありましたが、所得税という基幹税が税源移譲されたことは大きな成果であったと思います。第二ラウンドが始まっておりますが、地方六団体の代表として頑張っていただきたいと思います。
 現在、御承知のとおり、地方六団体で組織する地方自治対策協議会のもとに、学識経験者から成る新地方分権構想検討委員会が設置をされ、五月十一日に中間報告をしました。この報告書によれば、国と地方の役割分担を協議する法定の地方行財政会議の設置、地方税の充実強化、地方交付税を地方共有税とし、法定率の見直しや特別会計に直入、国庫補助負担金の総件数の半減、新地方分権推進法など画期的な内容も盛り込まれております。まず、知事はこの中間報告をどのように受けとめておられるのか、評価をお聞かせください。
 時を同じくして、総務大臣のもとに、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、いわゆる竹中懇談会の最終報告案が五月二十六日に公表されております。似た内容もございますが、地方財政の危機ばかりを強調し、税源移譲を先送りして地方交付税改革を先行させるなどの、財政改革のツケを地方に転嫁しているように感じて仕方がありません。こういった発想は、さきの三位一体改革初年度の平成十六年度に地方交付税を一気に削減し、国の財政赤字のツケを地方に転嫁した姿に通じるものがあります。地方の立場から、地方分権を成功させていくためにも、地方六団体が率先して案を出し、主導権を握って三位一体改革後の分権改革を行っていかなくてはならないと痛感をいたしておりましたやさき、六月七日に、知事会など地方六団体におかれては、第一次分権改革の発端となった平成六年九月以来十二年ぶりに地方自治法に基づく意見提出権を行使され、内閣と国会に地方分権の推進に関する意見書を提出し、地方財政自立のための具体的な七つの提言を行いましたことは大いに評するものであります。私がこのように地方六団体の主導権を言いますのは、国の主導のもとに三位一体改革後の分権改革を行えば、地方財政の自立の名のもと、今まで地方交付税で補てんされることが約束をされていた臨時財政対策債などの償還をほごにしかねないという危機感からであります。今後、交渉の中で、臨時財政対策債などの保証を国に確約をとっていくことが必要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。
 分権改革は住民サービスの向上など住民のために行っていくものであります。分権を行う以上、その受け皿である地方自治体がしっかりしていないと、分権はしたが世の中が悪くなったという結果になりかねません。そういった事態を避けていくためにも、竹中懇談会が述べている地方行革は言わずもがなであると思います。我が県でも、これまで行政改革大綱を策定し、その実行を行っております。また、三月二十九日にはいわゆる集中改革プランを策定しており、さらに、分権を担う地方自治体にふさわしいように公務員改革を実行していくことが肝要であると考えます。我が会派は、昨年の九月の代表質問で、地方公務員法の分限免職の規定を厳密に実行するよう求めました。知事からも大変前向きの答弁をいただきました。その後の経過はどのようになっておりますでしょうか。
 地方分権の改革はいずれ市町村、都道府県という現行の地方自治の二層制を打ち崩していく方向で進んでいくはずであります。現在、道州制の議論が盛んに行われておりますが、地方六団体で考えをまとめ、国との交渉の中で提案してはいかがでしょうか。知事の前向きな答弁をお願いします。

市町村合併

次に、市町村合併についてお伺いします。この問題について知事は、機が熟すまで待つというスタンスであり、議会におきましても、積極性に欠け、リーダーシップを発揮されていないとの意見も多くあり、知事の今後の対応が注目をされているところであります。四月二十五日、福岡県は市町村合併推進構想を策定し公表されましたが、今後、市町村合併をどのように推進していくのか、知事の決意をお聞かせください。

税の問題

次に、税の問題についてお伺いします。新聞報道によれば、県内の一部の市町村におきまして、時効が完成をしていない個人住民税を初め固定資産税や国民健康保険税等の市町村税について、誤って不納欠損処理を行ってしまったということであります。その後、市町村は誤りを認め、改めて徴収する方針であると聞きますが、正直に税金を納めた納税者が不公平になるようなことは絶対にあってはならないことであります。地方税法等に基づき適正かつ公平になされるべき税の徴収において、どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。先般の三位一体改革により、国から地方へ三兆円という大規模な税源移譲が基幹税である個人住民税で平成十九年度から実施されることになりましたが、これはこれまでにない画期的な改革であり、今後の地方分権を進める上において、大きな前進であると言えるところであります。個人住民税の賦課徴収については市町村が行うこととなっており、今回の問題は市町村税の問題ではあるものの、このような問題があれば、せっかくの税源移譲の意義さえも薄れてしまいかねません。
 そこで知事にお尋ねします。不納欠損処理はどのような場合に行われるのか、また、このような事態が今後発生しないように、どのような取り組みを行っていくのかお答えください。

女性副知事任命と男女共同参画社会推進

次に、知事はこのたび、県政史上二人目の女性副知事を任命されたところであります。この人事は、知事がみずから、高校の現職校長を県政の重要ポストに抜てきされ、本県の男女共同参画社会推進の意気込みを感じるところでもあります。
 そこで知事にお尋ねします。県政の新しい女性リーダーとなられた海老井副知事に対して、どのような活躍を期待されているのでしょうか。

電子投票

次に、電磁記録投票、いわゆる電子投票についてお伺いします。最近、本県もIT時代に入りペーパーレス行政を推進していくという内容を広く県民に情報発信されております。平成十四年二月に、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関する、いわゆる電子投票法が施行されました。この法律は、地方選挙に限定し、現行の自書式投票制から、電子投票制を実施できるものであり、多くの人員と時間を必要とした開票作業が短縮され、正確で迅速なる開票が実現できるメリットがあります。これらのことから、平成十四年六月、岡山県の新見市長選挙と市議会議員選挙において電子投票が実施されました。さらに、広島市長選挙、京都市長選挙など全国八自治体において実施されました。そこでお伺いします。今後実施されます選挙において、IT時代に即した電子投票制度の導入に関して、選挙管理委員長の御見解をお伺いします。
 また、本県の市町村で一カ所も電子投票が実施されていないようですが、この際、県と市町村の選挙管理委員会でこの問題に関して具体的に協議をされるべきと思いますが、御回答ください。

農政問題

次に、農政問題についてお尋ねします。
 まず、現在見直しがなされております新たな福岡県農業・農村振興基本計画についてお伺いします。本県の農業、農村は、安全、安心な農畜産物を県民の皆さんに供給するほか、県土、環境の保全や良好な景観の形成など多くの役割を担っております。一方、農業を取り巻く環境は、農業者の高齢化と減少、WTOなどの国際交渉によるグローバル化が進展しており、内外を問わず厳しい状況にあることは周知のところであります。このような中、今回の新たな計画は大変重要な意義を持つと考えますが、まず本計画の目的と重点施策について知事にお伺いします。
 また、本計画の内容を具体化し、二十一世紀を勝ち抜く攻めの農業を確立するためには、しっかりとした施策がないと難しいと思われますが、計画実現へ向けた知事の御決意をお伺いします。

 次に、平成十九年度導入に向けた品目横断的経営安定対策についてお伺いします。この対象となる担い手は、認定農業者及び経営の一元化など一定の条件を満たす集落営農組織となっております。国は担い手の要件をある程度地域の実態に合った要件に緩和する考えだと聞いており、認定農業者については、ほぼ同制度への適合要件を満たすものと理解をいたしております。問題は、集落営農組織であります。小規模な農家や兼業農家がこの対策の対象となるためには、地域に適合要件を満たすような集落営農組織が一定の条件のもとに設立をされることが必要であり、平成十九年度までに相当程度の組織が整備されなければ、本県の米、麦、大豆の水田農業は重大な事態になると危惧をしているところであります。そこで知事にお伺いします。現在、米、麦、大豆を主体とする集落営農組織が県内に幾つあるのでしょうか。また、国が考えている担い手要件を満たしている法人や特定農業団体、これと同様の組織がそれぞれ現在幾つあるのでしょうか。また、県としてこのような組織をどの程度育成し、水田農業を担う認定農業者や集落営農組織が全体のどの程度を占めればいいと考えているのか。さらに、担い手が中心となる農業構造を確立するための具体策もお示しください。
 次に、売れる米づくりについてお伺いします。米政策改革推進対策では、平成十九年度から、農業者、農業団体の主体的な需給システムヘの移行を目指す、つまり米の生産割り当ては農業団体みずからが行うこととされており、今後、各県間での米の販売競争は、北陸や東北産など知名度の高い米があり、今後ますます激しくなることは確実であります。現在実施されておりますマスコミを利用した県産米、夢つくしのPRや学校給食への利用促進などの消費拡大の施策につきましては一定の評価をいたしておりますが、本県の米の作付面積の一位はヒノヒカリであり、約二万ヘクタールもの作付がされているのであります。これは、ヒノヒカリは夢つくしより価格は安いが、味がよく収量も安定をしているため、生産者の評価が高く、消費者ニーズも根強いものがあるためだと言われております。米の産地間競争が激化する中、本県の売れる米づくり戦略とはどのようなものなのか、また本県に多く作付されているヒノヒカリと夢つくしをどのように販売していかれるのか具体的に御回答ください。 
 次に、果樹農業の振興についてお伺いします。気候に恵まれた本県は、全国的にもフルーツが豊富に育っており、全国有数の果樹産地となっております。カキ、キウイ、イチジクは全国二位、巨峰は三位など果樹王国と言っても過言ではないのであります。しかしながら、近年の果樹の価格は全国的にも低迷をしており、特にカキやミカンは大変厳しい状況下にあります。果樹はもともと嗜好性が強く、味や大きさ、色、形などで産地間の価格差が大きくなる作物であります。このため、各県はしのぎを削って優良品種の開発や導入に躍起となっているのが現状であります。本県も、本格的に優良品種の開発、育成、導入に向けて最大限の努力をしなければ、全国有数の果樹産地としての地位はもとより、産地の存続さえ危うい地域がふえてくるのではと憂慮されるところであります。本県の農業総合試験場でも、既にさまざまな研究がなされているとは存じますが、カキやミカンなどの果樹の優良品種の開発や育成の状況及び優良品種への切りかえや品質の高い果実の生産対策の現状についてお伺いします。また、福岡県産の果樹の消費拡大対策についてお答え願います。
 次に、環境に配慮した農法についてお伺いします。県では、平成十七年度から、豊かな生態系や美しい景観など農業、農村の持つ公益的な機能、いわゆる農の恵みを県民の貴重な財産として育て、次代に引き継ぐために、環境に優しい農法に取り組む集落をモデル的に支援されております。この取り組みをさらに拡大させ、集落や地域ぐるみで環境に優しい農法をもっと普及させることが環境面での効果も高いものと考えております。そこで、平成十七年度の県民と育む「農の恵み」モデル事業の成果と今後の対応方針についてお伺いします。
 また、環境に優しい農法として、平成十四年度から、減農薬・減化学肥料栽培認証制度の拡充に一定の努力はされておりますが、まだ十分な広がりがないように思われるのであります。国は十九年度から、農地や水、環境保全の対策なるものを本格的に実施し、農薬や化学肥料の使用を半減する環境負荷の少ない農業への支援を実施すると伺っております。今後、環境に優しい農法を拡大するには、この制度を利用しながら、面的な取り組みを加速させていく必要性を感じますが、知事のお考えをお伺いします。

 次に、残留農薬のポジティブリスト制度への対応についてお伺いします。去る五月二十九日から、すべての農薬や動物用医薬品などの食品への残留基準を設定したポジティブリスト制度が導入されました。この制度では、これまで基準がなかった農薬に対しても〇・〇一ppmという厳しい基準値が設定され、これを超えた農作物は原則流通禁止となるのであります。これらは本人が農薬を散布していなくても、周辺から農薬が飛散し基準値をオーバーした場合、生産物の出荷停止や回収などの対応を求められるものであります。安全で安心な農作物を生産するため、細心の注意を払い薬剤防除を行っても、周囲からの飛散で最悪の結果になることが憂慮されるのであります。また、空中散布におきましても、今後大きな課題になっていくと思われますが、どのように対応されるのかお尋ねします。
 一方、いろいろな種類の農作物が栽培されている地域では、隣接をしている農作物に農薬被害を与えてしまうことも十分に予想されるのであります。このため、集落内や農家同士での十分なコミュニケーションと連携がこれまで以上に重要となってまいります。技術指導を行っている県の病害虫防除所や農業改良普及センターの指導力が今まで以上に重要になると思われますが、県はこの残留農薬のポジティブリスト制度にどのように対応していかれるお考えなのかお伺いします。

林政問題

次に、林政問題についてお尋ねします。
 平成十六年の台風による風倒木被害の復旧状況についてお伺いします。平成十六年は相次ぐ台風により、我が県の森林は深刻な風倒木被害を受けました。特に、台風十八号と二十三号は
星野村を初め九市町村が激甚災害の指定を受ける事態となりました。我が県に未曾有の森林被害をもたらした平成三年の台風十七号、十九号の風倒木被害からようやく立ち直った森林所有者の中には、再度の被害により山の手入れを放棄する人たちも出るのではないかと心配されたものです。以来十五年が経過しましたが、今もなお材価の低迷は続いております。しかも、災害復旧事業には森林所有者の自己負担が伴い、また復旧作業においては労働災害の危険性も高いことなどから、森林所有者が復旧意欲をそがれているという声も一方では聞こえてきます。仮に、被害森林がこのまま放置されることになれば、荒廃が一層進み、森林の持つ公益的機能を発揮することができないことにもなっていきます。平成十六年の台風による風倒木被害の復旧は平成十六年度から三カ年で実施されると聞いておりましたが、ことしはちょうどその三年目になります。緊急性の高いところから優先的に復旧を進めてきた関係から、どうしても現在残っております被害の箇所は林道等の道路から遠い箇所が多くなって、森林所有者の負担も大きくなってまいります。それでも森林を再生し、森林、林業を守っていこうとする森林所有者のこうした現状を十分理解し、その意欲にこたえるべきと思うのであります。
 そこで知事にお伺いします。現地では以上のような厳しい状況があるところですが、復旧は進んでいるんでしょうか。進捗状況と今後の復旧に対する県の取り組みについてお答えください。

環境問題

次に、環境問題についてお尋ねします。
 従来、平成十年六月以前に行われた産業廃棄物の不法投棄につきましては、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法に基づき、都道府県が代執行で産廃の除去を実施する場合に、産廃適正処理推進センターに設置された基金を通じた補助金で事業の支援が実施されてきたところであります。しかし、三位一体改革で、この補助金は平成十八年度以降の新規の原状回復対策事業は、税源移譲に基づき廃止をされたのであります。政府は一定の財政措置を講じていくとされているようでありますが、将来何らかの支障除去を実施する場合、本県に係る財政的影響が心配されるところであります。そこでお伺いします。補助金の廃止に伴い、産廃特措法による支援制度は一体どのようになるのでしょうか。仮に、多くの支障除去の費用までも地方に押しつけたようになるのであれば、それが本当に国民が望んでいる改革なのでしょうか。私には本当に疑問であります。法の未整備等のため、全国で産廃問題が拡散している現状を踏まえ、支障の除去に関する支援制度の充実が必要であると考えますが、県はどうされるのかお伺いします。
 先般、全国市議会議長会で、産廃処分場に関する問題について、国に抜本的解決を求める意見書が採択されました。政府に対する主な要望として、産廃処分場の立地規制、処分場閉鎖後の安全管理、情報公開など安全な環境の制度を確立し、排出責任者の原則を強化して処理コストや処理責任者の実効性の確保などが明記をされております。これらのことは本県としても国に対して強く訴えるべきと考えますが、知事の御見解をお伺いします。

産廃問題

次に、産廃の不法投棄の防止に関する市町村との連携についてであります。茨城県では、産廃の不法投棄に関する監視強化を目的に、市町村職員を県職員に併任し、廃棄物処理法に基づく立入権を与えたのであります。これにより、産廃問題を抱えている現場の市町村職員による迅速な対応が可能となったのであります。同様な権限の付与は、全国で実に十四県で既に実施をされており、機動力に相当の効果があるようであります。このように、地域の実情を把握している市町村と連携を強化することで不法投棄防止の効果が図られると考えますが、知事の御見解をお伺いします。

アスベスト問題

次に、アスベスト問題についてお尋ねします。先般、中皮腫により死亡された八百七十八人に対して厚生労働省が行った追跡調査で職業歴が判明した百七十三人のうち、約七四%に当たる百二十八人がアスベストを扱う建設業や造船、電気工事などに平均三十年就労された方が発病されたと報告されたところであります。また、労働災害として救済されない一般住民の救済制度として三月に施行された石綿健康被害救済法は、独立行政法人環境再生保全機構及び環境省の出先機関において申請が実施されております。しかし、現状として窓口が少ないと思いますが、県はどのような形で支援しているのかお答えください。
 さらに、国は平成二十二年までの五年間の一般住民の救済対象者数を約二万人と推定し、これを人口比で計算をしますと福岡県は約八百人程度となりますが、現在の申請状況についてお伺いします。
 また、県の公共物の吹きつけアスベスト改善事業につきましては一定の進捗があるようですが、民間の施設に関してお尋ねします。飛散性のあるアスベストを使用している民間の施設はどれぐらいあるのか、所有者に対する指導と周知についてお答えください。

福祉問題

次に、福祉問題についてお伺いします。
 障害者自立支援法が本年四月より施行されました。身体、知的、精神の三障害に対する支援の一元化など障害者の声が一応反映された項目もございます。しかし、障害者の方からは、自己責任と競争原理を含んだ仕組みで、問題点が多く大変不満であるとの御意見が多くございます。応能負担から原則一割の負担になり、重度の障害者ほどサービス利用時に負担料金が高額になり、働くことができない人たちは経済的な理由からサービスを受けることができないのが現状のようであります。施設の利用者においては、障害福祉サービスの負担に加えて、食費や光熱水費等も実費負担となっております。また、本年十月からは、身体に障害のある方に支給される補装具についても原則有料となり、障害者の施設利用についても一割の負担となるのであります。さらに、更生、育成、精神通院等に関する医療も四月から原則一割負担と、入院の食費について自己負担制度が導入されたところであります。これらについて、所得に応じ負担上限額の設定や、所得が少ない人については一定の軽減措置が設けられてはいるようですが、障害者の方の負担が増加することは間違いないところであります。そこで知事に伺います。都道府県によりましては、独自の負担軽減策を実施されるところもあり、本県もこの際、県独自の軽減策を実施する必要があるのではないかと考えますが、御見解をお伺いします。

福祉を通じた商店街活性化

 次に、商工問題についてお尋ねします。特に、高齢化社会のまちづくりと商店街振興対策についてであります。
 本県も例外なく商店街の置かれた厳しい現状は周知のところであります。大規模店舗は採算が合わなければ地域の事情とは関係なく撤退し、大きな空白地となり深刻な社会問題となっております。大規模店舗と地域商店街との最大の違いは、商店街は地域と盛衰をともにし、生活や文化、歴史を共有してきたという点であります。商店街が今後生き抜いていくためには、まさに地域とともに生きるというところに活路を見出すことができるのではないでしょうか。地域コミュニティーの中心としての機能充実がその重要なかぎとなるわけであります。その機能の一つとして現在注目をされているものが福祉であります。商店街がさまざまな福祉機能を発揮し、住民同士が助け合う町をつくることができれば、商店街、そして地域住民の相互の利益になるものと考えます。多くの高齢者が安心して生活できるコミュニティーの形成が商店街に新しい住民を呼び寄せ、ひいては商店街に大きな経済効果をもたらすものと考えるものであります。
 先日、改正市街地法が成立し、中心市街地のにぎわい回復に向けての体制が整いました。しかし、この法律の対象となっていない、中心市街地と認定されない多くの商店街が不安を感じているという実態があります。県としては、これらの商店街のにぎわいのために何らかの施策が必要だと考えます。その一つの手だてとして、福祉を軸とした優しいまちづくりを提案したいと考えます。
 そこで知事にお伺いします。商店街の持つコミュニティー機能を遺憾なく発揮し、商店街が福祉に積極的に取り組むことにより、地域が活性化すると考えます。例えば、シャッターの閉まった店舗を地域の高齢者が集うコミュニティーに改造したり、テナントにデイケアなどの各種福祉施設を誘致したり、商店街をバリアフリー化するなど官民一体となった工夫が可能です。福祉を通じた商店街活性化について、知事の御見解をお伺いします。

教育問題

次に、教育問題についてお尋ねします。
 まず、学力向上の対策についてであります。本県議会におきましてもこの問題についてはさまざまな議論が行われてきましたが、注目をされていた国の学力調査もいよいよ具体化してまいりました。文部科学省は平成十九年度に、小学校六年生、中学校三年生を対象として学力調査を実施すると聞き及んでおります。また、本県でも昨年度まで行ってきた統一学力テストについて、参加できる規模を今年度から小学校五年生、中学校二年生の全児童生徒に広げて実施されるようであります。このように学力実態調査を国や県レベルで行い、正確な実態把握に基づいた学力向上の取り組みが具体化されてくることは、学力問題の解決にとって大きな進展であると考えるところであります。このような中、昨年十月、中央教育審議会において今後の義務教育のあり方について答申がなされ、その中で、学力問題に関して次のような指摘がなされているところであります。第一に、学校間の連携の問題であります。九年間の義務教育学校の設置やカリキュラムの区分弾力化などが検討課題として示されており、学力問題の解決に大きな力を発揮するのではないかと期待をされているのであります。二点目は、学校評価の充実についてであります。学校教育の質の保証のためには、常に自校の教育活動や学校運営について自己評価、外部評価を行い、その結果を公表し、教育結果に対する責任を果たすよう求められているところであります。このため、国は本年三月に学校評価に関するガイドラインを作成し、学校現場にも配布をしたと伺っております。そこで教育長にお伺いします。このように今後の義務教育のあり方が示された現在、本県として、どのようにこの動きに対応していかれるのか、教育長のお考えをお伺いします。
 また、本県では学力向上の具体策として、各学校における学力向上プランの作成や、個性、能力を伸ばしていく教育の充実として人材育成事業等が実施をされております。そこで、その成果を評価するスキームについてお伺いします。学力がどれだけ身についたかを確認できる機会があれば、子供たちの学習意欲はますます向上していくものと考えます。熱心に学習し、その成果が確認できれば、人はだれでもやる気を出し、さらなる意欲もわくものであります。例えば、英語検定、漢字検定などの全国的な検定試験が有名でありますが、本県も独自の取り組みを実施すべきと考えます。生徒の学習意欲を向上させ、評価し、顕彰するような教育システムを構築すべきと思いますが、教育長の御見解をお伺いします。

 次に、小学校の英語教育と国語教育の推進についてお伺いします。先般、中央教育審議会外国語専門部会が学習指導要領の改訂に伴う作業結果をその素案として具体化したところであります。小学校段階からの英語教育の必要性を指摘し、英語のスキルの向上と異文化に対する理解やコミュニケーションを積極的に図る姿勢を育成する小学校英語教育の目標を定め、指導内容が提示されております。小学校における英語活動の取り組みは全国的に進められており、既に総合的な学習の時間等において九割を超える小学校で何らかの英語活動が実施されており、生きた英語の授業を大いに推進すべきと考えます。英語教育を音楽に例えるならば、音感、すなわちリズム感を身につけ、音符を読み取り、歌うことができることだと思います。
 そこで教育長にお伺いします。現在の本県における小学校英語活動の指導時間や指導内容等の状況はどのようになっているのか、またその成果や課題についてもあわせてお伺いします。
 また、本県の英語活動推進に関する具体的な施策と、小学校からの英語教育についての教育長の御見解も含めましてお答えください。
 私は前段で国際社会を生き抜いていくには、今や世界の共通語になろうとしている英語教育の推進は大変重要だと考えております。しかし、英語、フランス語、中国語、どの国の言語を話すにしても、基本はやはり母国語の日本語をしっかり勉強していないと自分の意思や考えを正確に伝えることができません。我が国の伝統や文化、歴史を学び、教え、理解させることが大切だと考えております。
 そこで教育長にお伺いします。教育委員会は、英語教育と国語教育を同時に推進することは非常に困難が伴うと考えますが、どのような関連性を持たせ教えているのか、また児童たちに国語教育の重要性を認識させているのかお伺いします。 

暴力団対策

最後に、暴力団対策についてお尋ねします。
 県内には、幾つかの指定暴力団があります。警察本部は去る四月一日、北九州地区暴力団総合対策現地本部を発足し、工藤会の壊滅に向け、積極的に取り組んでおります。そのやさき、
久留米市内に本拠地を置く道仁会内での抗争が勃発し、白昼、けん銃による発砲事件等が発生するなど大きな社会問題となっております。暴力団関係者の事務所等がある近隣住民などや県民に大きな不安を与えております。暴力団は、多くの不法行為を繰り返しており、県民生活そのものを脅かしているのであります。そこで警察本部長にお伺いします。県民が安全で安心して暮らせる社会の実現のため、暴力団対策の中でも、特に道仁会対策の現況と今回の事件の終息に対する本部長の御決意をお伺いします。
 以上で私の代表質問を終わります。ありがとうございました。

◯知事(麻生 渡君)  
福岡西方沖地震の復旧の状況についてであります。玄界島の方につきましては、平成十九年度末を復興完了目標といたしております復興計画を策定いたしまして、これに基づきまして県営住宅の本年度末までの建設、来年度からの玄界島小学校、中学校の再開など、順調に事業を進めております。また、玄界島以外の地域についてでありますが、上下水道、公立学校、河川施設などの復旧は、おおむね昨年度までに完了をしております。道路、港湾施設は今年度中に、また漁港につきましても来年度までに復旧を完了させる予定であります。
 警固断層などの調査についてでございます。警固断層につきましては、県の防災会議の地震対策部会におきまして、研究機関などの調査結果の収集、分析を行っております。宇美断層につきましては、活動周期、最新活動時期などを特定するための調査を実施をいたしているところであります。今後、これらの調査結果も踏まえまして地域防災計画の見直しを行いまして、地震対策の充実、強化を図ってまいります。
 耐震強度偽装問題についてであります。まず、調査の状況でありますが、調査の対象物件といたしましては、県内で五百九十一件、県の管轄区域では百八十五件を特定いたしました。このうち、構造計算書があるものから順次再計算を行っております。今後の再発防止対策でありますけれども、建築物の確認段階で、必要に応じまして構造計算書の再計算を行ってまいります。また、現在、国会で審議中の建築基準法などの改正の動向、中身を踏まえまして、それぞれ新しい体制に的確に対応する考えでございます。
 シンドラー社製のエレベーターの問題についてでございます。緊急に調査をいたしましたところ、現時点で県内に四百六十九基があるわけでございます。そのうち県有施設では二十三基を確認をいたしております。住民の皆さんの相談に早速対応いたしますために、建築指導課及び社団法人でございますがエレベータ協会の九州支部に窓口を置きました。そして、民間施設などにつきましては、管理者あるいは所有者に対しまして、緊急に点検をするように要請を行っております。また、県有施設につきましては、既に点検を始めております。
 子供たちの犯罪被害に対する防止対策についてであります。このために現在、防犯リーダーの養成、安全マップ作成の支援などを行っております。これを通じまして、それぞれの地域におきます防犯活動の活性化を図ってまいります。この地域防犯活動では、それぞれの地域と警察、学校、市町村との連携が大変重要でありますし、そうでなければ効果は上がらないわけであります。今後、県を初め地域や関係機関が一丸となりまして安全、安心まちづくりに取り組むための総合的な戦略を策定いたしまして、地域防犯活動の組織づくり、活動の一層の強化に取り組んでまいります。
 新地方分権構想検討委員会の中間報告についてでございます。今回の中間報告では、地方が新しい役割を担ってまいりまして、基本は、住民がみずからの手で、みずからのことを決められるような社会を実現するという考え方でございます。この目標に向かいまして、税財政改革につきまして七つの具体的な提言をいただきました。これは本当の意味での、地方分権改革の実現に向かって極めて重要なものであるというふうに考えております。
 交付税の問題についてでございます。地方はこれまで景気浮揚対策などのために、国からの要請に基づきまして多くの対策を実施してまいりました。その際、その財源につきましては、将来、地方交付税で補てんをするという国の約束でございました。このような約束のもとに、私どもは起債をし、事業を実施をいたしたわけでございまして、その結果といたしまして、我々地方は多くの県債借入残高を抱えているという状況でございます。このような経緯があるわけでございまして、我々は、国において確実にこのような約束は守られるように、そして国と地方、この信頼関係がきちっと確保できるように働きかけをしてまいりたいと思っていますし、この点を強く主張をいたしております。
 分限免職の問題についてであります。分限免職は職員の身分を失わせるという非常に大きな、重大な不利益処分であります。勤務成績が著しく不良な職員に対しましては、まず再教育を行う。それでもどうしても改善されないという場合には、次に退職を促すというような対応が必要であると考えております。このため、再教育の仕組みを整備することが必要でございまして、現在、その教育プログラムや適格性、事務遂行能力の判定方法など具体的な検討を進めております。
 地方六団体によります国への道州制の提案を積極的に行ってはどうかということについてでございます。これはそれぞれの団体で研究しておりますが、特に全国知事会におきましては、道州制特別委員会を設けて議論を進めているところであります。大勢といたしましては推進論であるわけでありますけれども、県によりましては強い異論が提示されているという現状でございます。したがいまして、このような中で、知事会としての一定の方向を打ち出すべく、今議論を深め、集約に努力をしているという最中であります。
 市町村合併についてでございますけれども、合併推進のための助言、情報提供を行うといったことを積極的に行いまして合併を働きかけ、機運の醸成を図ってまいります。そして、合併の機運、熟度がある程度高まった市町村から順次構想に位置づけまして、推進を図ってまいります。その場合には、私みずからが直接地域に赴くことも含めまして、全庁挙げて合併の推進を図ってまいります。
 税金の不納欠損処理の問題についてでございます。滞納処分することができる財産がない場合とか、あるいは滞納処分をすることによりまして、滞納者の生活を著しく窮迫、困難にさせるおそれがある場合など一定の条件のもとにおきましては、不納欠損処分を行うということになっております。実際にこれらの具体的な適用に当たりましては、これが適切に行われるということが大切でございまして、県と市町村が連携をして設けております地方税収対策福岡県連絡会議の場などにおきまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 このたび、海老井副知事を議会の皆さんの同意を得まして任命をいたしました。どのような点について期待をしているかということについてでございますが、これはまず海老井副知事は、教育の分野におきまして、みずから教育そのものに携わっております。多くの知識、経験を持っておりますし、我々は、教育は非常に大事であり、力を入れていく、また今後もそうしなければいけないと考えているわけでございまして、その意味で、福岡県がしっかりした人材教育を行うために、その知識あるいは経験、これをフルに生かしていただきたいと思っております。同時に、今後の我々の社会は、ますます女性が思い切って活躍ができるという社会でなければなりません。このための大きな目標は男女共同参画社会でございますが、この点におきましても中心的な、積極的な役割を果たしていただきたいと思っております。さらに、県のいろんな政策、制度を改革し、新しいものをつくっていく場合におきましても、やはり女性の視点ということが非常に大事でございます。これを積極的に取り入れていく、その中心になってもらいたいというふうに考えております。
 次に、農政問題についてでありますが、新しい農政計画の目標についてでございます。今回の計画の目標は、経営感覚にすぐれました意欲のある担い手を積極的に育成するのであるということであります。そのためには、やはり農業が収益性の高いものである、ちゃんと農業をやっていって生活ができ、子供の教育もできるというようなものでなければなりません。このためには、土地利用型農業では、土地の集積によります規模の拡大を図って、より効果的、効率的、安定的な生産が行えるような体制をつくっていくことであります。また、園芸農業では、県単独事業によります施設の整備、またこれまでの家族経営型のものから、外から雇用も受け入れていく、導入を図っていく、そのような点に重点的に取り組んでいく考えでございます。
 土地利用型農業の経営安定対策でございますけれども、現在、県内には米、麦、大豆を主体とします集落営農組織は約七百ございます。そのうち経営安定対策の要件を満たすものは約五百五十、特定農業法人が七つ、特定農業団体が二団体設立準備中であります。本県の土地利用型農業を担う永続的な担い手といたしましては、認定農業者と法人化された生産組織の二つを考えております。これらの担い手が県内の水田の面積ベースで約六割程度を占めるということを目指しております。県の方では、このような農業構造の改善が実現できますように、それぞれの地域が定めました水田農業ビジョンの達成に向けまして支援を行ってまいります。
 売れる米づくりについてでありますけれども、本県では、夢つくしを基本に米づくりを行っております。そして、夢つくしの適地が少ない県南地域におきましてはヒノヒカリの作付を行いまして、安定供給あるいは農家の所得の向上に努めているわけであります。しかし、ヒノヒカリにつきましては、九州各県との生産が競合いたしております。このことから、今後は、たんぱく質の含有率で仕分けをしました、おいしいヒノヒカリを安定的に生産、出荷できる方策も確立をいたしまして、売れる米づくりをさらに進めてまいる考えでございます。
 次に、園芸農業、特に果実の問題についてでございます。おいしい果物をつくるというために、まず農業総合試験場では、着色がよくて九月下旬に収穫できるミカン、皮ごと食べられる種なしブドウといった新しい作物の育成に鋭意取り組んでおります。また、カキの方では、早秋、太秋といった優良品種への切りかえを進めております。ミカンの場合には、優良園地を区分いたしまして、収穫されたものにつきましては、さらに光センサーで糖分、甘味ですね、それから酸、これを測定しまして、確実においしいものを出荷するという体制づくりに取り組んでおります。これによって我々のミカンの評価を安定させ、また高めていこうということでございまして、今後とも、このような取り組みによりまして、競争力のある果樹産地づくりを進めてまいります。
 本県の果樹の消費拡大対策についてでございます。このためにテレビ番組を通じた産地の紹介、首都圏では量販店での試食販売、県内では農業祭りといったイベントを通じまして、積極的に県産の果実の宣伝を行っております。今後、果実につきましては、まずおいしい、さらに健康にもよいというようなことを積極的にPRをしてまいる考えであります。また、やはり子供のころから果物好きになるということが非常に大切であります。幼稚園などでの果物教室の開催を含めまして、毎日の食生活の中で果物が定着するということを進めてまいる考えであります。
 県民と育む「農の恵み」モデル事業についてでございます。これは現在、県下十四のモデル地区、約百二十ヘクタールで水稲の減農薬栽培に取り組んでおります。地域の住民の皆さんを中心に、約六百人の皆さんが並行いたしまして田んぼの生き物調査に参加をするというようなことをやっているわけでございまして、このような活動を通じまして、農業、農村の持っております多面的な機能、これへの理解、意識が高まる、これを進めているわけでございます。今後も引き続き、このようなモデル事業を通じまして、生き物の調査、分析、環境負荷軽減への取り組みを図ってまいります。
 環境に優しい農法の拡大についてでありますが、これはJAの水稲部会などの生産組織を重点的に定めまして、減農薬、減化学肥料栽培技術の普及、実証圃の設置を行っております。さらに、本県の認証制度の取り組みを一層推進するということによりまして、環境に優しい農業の拡大に努めてまいります。
 新たな残留農薬制度についての対応についてであります。これは病害虫防除所、農業改良普及センターの方で引き続き、生産者の方に使用基準の遵守を指導してまいります。今回、特に強化されました飛散を防止するための実証試験を行いまして、早急にこれによって得られた技術を普及してまいる考えでございます。また、各地域のJA、市町村、普及センターで構成をいたしております飛散防止対策協議会を通じまして、農家の皆さん同士での農薬散布計画の情報交換、研修会などを行いまして、この面の対策の徹底に努めてまいります。
 林業問題についてでございます。
 まず、平成十六年の台風によります風倒木の復旧状況についてであります。これは激甚災害に係る森林災害復旧事業などの造林事業、治山事業を使いまして進めております。復旧は三カ年で実施することとしておりますが、現在、全体の三分の二を終了し、順調に進んでおります。今年度中にはすべて完了すべく、今後とも、市町村、森林組合と十分協力をいたしまして、復旧に全力を挙げてまいります。
 産業廃棄物特措法の補助金が廃止されたわけでありますが、これについてどうするのかということの御質問でございます。御指摘のように、これは三位一体の改革の一環として補助金が廃止されまして、税源移譲をされるということになりました。これと並行いたしまして、起債する、その場合にこれまでは充当率が必要資金の七〇%でございましたが、これが九〇%に引き上げられるというような措置が講じられました。今後、不法投棄などに起因しますいろんな障害の除去作業を行う場合には、これらの措置を活用して対処してまいる考えであります。
 産業廃棄物最終処分場につきましての国への提言についてでございます。安定型最終処分場につきましては、安全性、信頼性の向上を図るために、現在の基準の一層の強化が必要であると考えております。このため県の方では、最終処分場の立地に当たっての生活環境保全上の配慮事項の明確化、維持管理基準の強化、埋め立て可能な産業廃棄物の見直しなど、国に対して提言を行っております。今後とも、必要な措置が講じられるよう、引き続き働きかけを行ってまいります。
 不法投棄の防止にかかわります市町村との連携の問題についてであります。本県では、保健福祉環境事務所ごとに市町村などの関係機関で構成をいたします不法処理防止の地域連絡協議会を設けております。この場で情報交換、監視パトロールの実施、不法投棄が発生した場合の共同での対応、対処などについての活動を行っております。今後とも、市町村との連携を密にするということを基本にしながら不法投棄の防止に取り組んでまいります。
 石綿健康被害救済制度についてでございます。県の方では、この救済制度をホームページに掲載をしますとともに、被害者などが身近なところで申請手続が行えますように、制度が発足したときから県庁及び十三の保健福祉環境事務所においてこれを受け付けております。本県におきます申請の状況でありますが、受け付け件数は五月末現在で四十一件でございます。
 民間施設の吹きつけアスベスト対策についてでございます。これは、県内の千平方メートル以上の建物約一万五千棟について調査を行いました。その結果、八百七棟で吹きつけアスベストの使用が判明をいたしました。そのうち百二十九棟につきましては、既に対策が講じられております。県の方では、健康被害の防止の観点から、今後とも関係機関と協力しまして、所有者などの皆さんに対しましてそれぞれ適切な対策、管理がなされるように促してまいります。また、県のホームページ、県内各地の相談窓口におきまして、アスベストに関する情報提供を行ってまいります。
 福祉の問題についてであります。
 まず、利用者負担の問題についてであります。今回、利用者負担制度が強化をされているわけでございますが、これはふえ続けております福祉サービスの利用、これが今後とも持続可能な制度とするため、障害者自立支援法におきましては、国と地方の公共団体の費用負担の責任を明確化いたしますとともに、利用者にも応分の負担を求めるという制度となったわけでございます。県の方では、今後、この制度の実施状況を見ながら、必要があれば、御指摘のような点を踏まえまして、国に対してこの見直しなどの提言を行っていきたいと考えております。
 商店街振興対策についてでございます。この振興対策を考える場合に、高齢者の皆さんが集える商店街づくりをするということが非常に大切ではないかということについてでありますが、これは我々が商店街活性化を考えます場合に、非常に重要な視点であると思っております。本県の方では、空き店舗を活用いたしました高齢者の交流施設の開設あるいは健康相談会、町中でのデイサービスの実施、市民大学といった学習会の開催、共同宅配サービスの事業の実施、シニアファッションショーといったイベントの開催、こういうことを非常に多様に行っておりますが、これは高齢者にとりまして、商店街、中心市街地が魅力のあるものにし、また高齢者の皆さんが来やすい町にしていこうということでございます。今後も高齢化社会が進んでまいりますけれども、その中で地域が繁栄いたしますためには、やはり高齢者の皆さんが住みやすく、参加しやすいまちづくりを進める必要があるわけでございまして、地域の創意工夫、これをこの面でも大いに発揮をいたしまして、商店街活性に取り組んでまいる考えであります。

◯教育長(森山 良一君)  
まず、児童生徒の被害防止対策についてでございます。最近、子供が犠牲となる痛ましい事件が多発をしておりますことは、まことに遺憾なことでございます。このような事件を防止するためには、いつでも、どこでも、だれでも起こるという認識のもとで、特に犯罪者は人の目やにぎわいを嫌うと言われておりまして、学校、家庭、地域、関係機関が連携をして、日常的に子供を見守るシステムを確立して、死角をつくらないということが重要でございます。このため、従来の取り組みを再点検いたしまして、子供の危険回避能力を高める防犯教室の開催とか、教職員の指導力を高める研修会の充実、先進事例集の配布、さらには過去の事件の教訓を風化させないための学校防犯推進フォーラムを開催するなど、今後とも安全教育の充実に努めてまいりたい と考えております。
 次に、義務教育の今後の方向性についての対応についてでございます。昨年の中央教育審議会答申におきましては、義務教育の目標設定と成果の検証は国の責任で行い、その実施につきましては、地方の裁量を拡大して、主体的な取り組みを求めるという方向性が示されております。本県におきましては、全小中学校の連携強化に向けまして、指導内容、方法等に一貫性を持たせる教育を進めておりまして、今後、県の研究指定校などにおける研究成果を県下の学校に普及をさせていくことといたしております。また、教育の結果の評価といたしまして、学力調査や学校の自己評価などの取り組みを進めてきたところでございます。今後は、外部評価や評価結果の公表など学校評価のさらなる充実を図るなどの取り組みを推進いたしまして、特色ある教育の実現に努めていきたいと考えております。
 次に、児童生徒を評価、顕彰する教育についてでございます。児童生徒の学力を高めて、個性や能力を伸ばすためには、一人一人のやる気を引き出す教育に努めることが重要であると考えております。本県におきましては、体験的な学習の充実を通じまして、児童生徒の問題意識とか学習意欲の向上を図りますとともに、個性や能力を伸ばす発展学習あるいは科学体験などの事業を実施いたしております。また、各学校におきましては、英語検定とか数学検定、漢字検定などに取り組んだり、校内弁論大会とか理科作品展などを進めたりしている学校も見られるところでございます。今後は、各学校に対しまして、このような学習意欲ややる気を高める取り組みを一層工夫するように指導をしてまいりたいと考えております。
 次に、小学校英語活動の指導状況等についてでございます。本年の二月現在で、本県の公立小学校のほぼすべての学校で総合的な学習の時間を中心といたしまして英語活動が実施をされておりまして、指導時数が一番多い六年生で年間約十七時間となっております。また、指導内容は、低、中学年での歌とかゲーム、簡単な英会話や発音練習などの活動から、高学年では、交流活動とか文字に触れる活動などへと児童の発達段階に応じて広がる傾向にございます。成果といたしましては、外国の人に対して憶することなく接する積極性とか、英語を聞く力の高まりなどが見られております。一方、指導時数や内容などのばらつきによります学校間の格差とか、教員の英語能力の違いによる指導力の差が課題となっております。
 次に、小学校英語活動推進の取り組みと見解についてでございます。本県におきましては、英語活動推進のために、本県も参加しております地方分権研究会におきまして、英語活動教材の開発を行いまして、モニター校で教材活用についての実践研究を進めておりまして、その成果を各学校に普及をさせることといたしております。また、教員の指導力の向上を図りますために、英語活動についての研修を進めておるところでございます。なお、英語活動につきましては、小学校段階からなれ親しませるという観点から意義があると考えておりますけれども、小学校からの本格的な英語教育につきましては、国において現在検討が進められておるところでありまして、その推移を見守りたいと考えております。
 最後に、国語と英語教育の関連についてでございます。国語は、我が国の文化を継承して創造、発展させるとともに、社会を維持していく基盤をなすものでありまして、学校教育のあらゆる教科やさまざまな学問の基本となる大変重要なものと考えております。特に、小学校の国語教育は、自分の意見を述べるための論理的な思考力、互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う力などを培う重要なものでございまして、英語教育を行う際には、この基盤の上にバランスよく行われるべきものと考えております。また、英語に触れることにより、言語に対する関心を高めるなど国語力向上にもよい影響を与える点もあると考えられますので、全体的な計画のもとで適切な指導に努める必要があると考えております。

◯選挙管理委員会委員長(田邊 俊明君) 
電子投票制度の導入についてでございますが、電子投票は、開票事務の効率化や迅速化等を図れる反面で、多額の導入経費がかかることなどが指摘されており、実際にこれを導入した自治体では、機械の故障により執行された選挙が無効となった事例もあるところです。したがいまして、これらメリット、デメリットの諸点を総合的に勘案した上で、電子投票制度の導入について検討する必要があると考えております。このため、福岡県選管といたしましては、市町村選挙管理委員会に対し必要な助言や情報提供を行っているところであり、今後、意見の交換も行ってまいりたいと考えております。

◯警察本部長(殿川 一郎君)  
初めに、児童生徒の犯罪被害防止のための対策についてでございます。県警察では、児童生徒の安全確保のため、学校及びその周辺地域における重点的な警ら、警戒活動、不審者への職務質問による犯罪の未然防止活動、小学校等における防犯教室や不審者等への対応訓練、メール配信システム等を活用した不審者情報の提供など各種警察活動を強化するとともに、子ども一一〇番の家や子供見守り隊等の活動、青色回転灯を装備した車両による防犯パトロールなど地域住民の方々による自主防犯活動への支援を行っているところであります。また、今年六月一日から、学校と警察との情報共有化を目的としたふくおか児童生徒健全育成サポート制度の運用を開始したところであり、この制度を効果的に活用し、子供の安全確保に努めてまいりたいと考えております。県警察におきましては、今後とも関係機関、団体や地域の方々と連携した、きめ細かな被害防止活動に取り組み、子供の犯罪被害防止に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、暴力団対策についてお答えいたします。県警察では、県民の安全で安心な生活を確保する上において、暴力団対策が極めて重要であることから、本年四月、組織犯罪対策局を新設したほか、工藤会の壊滅に向け、北九州地区暴力団総合対策現地本部の設置など、暴力団総合対策に取り組んでいるところであります。このような中、五月下旬に、
久留米市を本拠地とする道仁会の内部分裂によると思われる八件のけん銃発砲、爆発物投てき事件などが発生したことから、新たに四百人を超える体制を構築し、同種事案の防圧、早期事件検挙及び住民の安全確保に向け、諸対策を推進中であります。このうち、住民の安全対策につきましては、特に通学路などにおける児童の安全確保が極めて重要であるとの認識のもと、学校関係者や市教育委員会などと緊密な連携を図り、通学路の変更を含めた安全確認、登下校時の制服警察官による駐留警戒、パトロールの強化、少年警察ボランティア、PTA役員などとの協働見守り活動等を実施しているところであります。県警察といたしましては、今後とも警戒警備の強化等による住民の安全確保を図りながら、事件の早期解決に向けた取り締まりを徹底するとともに、地域住民による各種暴排活動を積極的に支援するなど、道仁会の壊滅に向け諸対策を強力に推進してまいる所存であります。

◯九番(原竹 岩海君)  
ありがとうございました。
 時間が若干ございますので、要望と意見をちょっと言わせていただきたいと思いますが、知事は先ほどの市町村合併のところで、みずからが直接地域に赴くことも含めということでございまして、一歩二歩前進だと思いますので、モデル地区を、何か自分は県知事本人として動いたからこれが成功したという事例でもしっかりつくっていただきたいと思うわけであります。
 そしてまた自立支援法でございますけれども、これは必要がございましたら国に対し見直しなどの提言を行ってまいりたいということでございますが、事実、都道府県で実際に、優しい県政とか都政とかいうことでやっていこうという報告があるわけでございまして、本県でもこういった方々に優しい県政を議会と一体となって進めるべき内容ではなかろうかなというふうに意見を申し上げたいと存じます。
 そして、選挙管理委員長でございますが、私たしかこれで二回目ですね、本会議場でお会いするんだろうと思いますけれども、電子投票でございますけれども、費用が相当かかるということで、これは経営的には当初の初期投資であります。これが全体に普及すれば、再度購入する必要はないわけであります。システムの確立をするかどうかといったことが問題であります。よって、これは私どもの経験でございますが、命の次に大事なものはお金だと思いますけれども、そういったことでも自分たちはカードでしっかり出すことができて、しっかりそういった受け入れ態勢があるわけでございます。選挙も新しい時代に入っていく、そして投票率を上げていく、こういった形で動いていくべきだと思いますので、協議をされるということでございますので、これに関しては質問の継続性を意思を持ちたいと思っております。
 最後でございますけれども、教育長には非常に難しい質問を行ったのではなかろうかなと思っております。英語が大事なのか、日本語が大事なのか、国語が大事なのかということでございまして、本当に申しわけないと思っております。我々も質問で非常に悩みましたけれども、これは非常に大事なことであるということで、確認を含めて質問をさせていただきました。
 それでは終わります。ありがとうございました。