平成18年度 決算特別委員会 (2007.11.01)

障害者の雇用問題


◯原竹岩海委員
 
 おはようございます。民主・県政クラブの原竹といいます。よろしくお願い申し上げます。
 私は今回、障害者の皆さんの雇用問題について何点か質問と確認をさせていただきたいと存じます。簡潔に質問させていただきますので、簡潔にお答えをお願いできたらと思います。
 障害者の採用に関しましては障害者雇用促進法というものがございまして、これは御存じのように、障害者の雇用を促進をするために一定の雇用率が定められておりまして、障害者の雇用が義務づけられておるわけであります。
 雇用するほうの事業主さんに対しましては、特定求職者雇用開発助成金とか障害者雇用調整金、報奨金なるものが一定の制度化がなされております。そして、昨年でございますけれども、障害者自立支援法というものが制定をされたわけでございますが、こういったことを踏まえまして質問に入らせていただきたいと存じます。
 厚生労働省の資料でございますけども、障害者自立支援法によります改革のねらいというのがあります。こういった中で、二項目めでございますが、「障害者がもっと「働ける社会」へ」ということで書いておられまして、一般就労へ移行することを目的とした事業を創設をするなど、働く意欲と能力のある障害者が企業等で働けるよう福祉側から支援をするということでございます。
 そこで、質問でございますけれども、障害者自立支援法によりまして就労対策を抜本的に強化をし、福祉から雇用への流れを促進するといった方向性が示されておりますが、実際のところでございますが、それでは障害者雇用の現状はどうなっているのか伺いたいと存じます。

◯入江種文副委員長 
 家守新雇用開発課長。

◯家守新雇用開発課長 
 障害者雇用の現状でございますけれども、これはハローワークの集計数値でございますが、昨年一年間で新たに就職された障害者の方が千九百人ほどで、現在県内で就業中の障害者の方が一万二千人。これは一年前と比べて七百人ほど増加しております。ただ、一方で、雇用率一・五八ということで、県内の法定雇用率の一・八よりも低いという状況になっております。

◯原竹岩海委員 
 若干低いですものね。そういうことです。
 関係する行政がいろいろしっかり頑張っておられると思います。障害者雇用全体としましては、若干の進捗、一定の評価はできると思います。しかしながら、現実はまだまだ不十分ではないでしょうか。少なくとも私はそういうふうに感じるわけであります。
 福祉施設を退所されて一般就労に移行された障害者というのは、実態の数は何人ほどでございますか。

◯家守新雇用開発課長  
 現在百十二名ということでございまして、低い水準でございます。自立支援法に伴いまして目標設定いたしまして、これを今後四年間で四倍に引き上げるということにしております。

◯原竹岩海委員 
 今後四年間で四倍ということでございますけれども、かけ声だけではいけないということ、費用も伴う、スタッフ体制も充実をしなければならない、いろいろな難問があるのではないかなと思っております。現実は非常に厳しいという認識のもとに、それでは、一般就労を希望する障害者を送り出します施設としまして、それを受け入れる就業支援機関との関連、連携といいますか、こういったことが非常に不十分ではないかと自分は考えております。自立支援法の理念を実現するためには、福祉と雇用との緊密な連携が必要であり、担当の部局としてその辺がしっかりやれておるか、最近の取り組み等の経過の御報告をちょっとお願い申し上げたいと存じます。

◯家守新雇用開発課長 
 まさに雇用と福祉の連携は大変重要であると考えておりまして、県では障害者の就業生活支援センター、その名のとおり、就業と生活を一体的に支援する、こういったセンターを県内四ブロックに設置しております。それぞれのブロックにおいて、福祉も、それから雇用も、関係機関のネットワークを組んでおります。
 それから、自立支援法に伴いまして障害者計画を立てることになっております。その策定に当たりましては、保健福祉、それから生活労働部も当然連携しております。このほか教育委員会、こういったところと連携して策定、総合的な推進を図っております。
 それから、福祉施設に対しましては、折に触れて企業情報の提供であるとか、あるいは会社面談会の案内、こういったことを図っているところでございます。

◯原竹岩海委員 
 披瀝はされましたけども、少なくとも自分たちは、障害者や福祉関係の事業者の皆さん双方から相当厳しい御意見を伺っております。私は現状は厳しいと思いますね。それで、私は、生活労働部のほうにこの問題をすべて押しつけようという考えはございません。前向きな議論をいたしてまいりたいと考えております。
 障害者からは、一割程度の食費の負担増に耐えられないので、サービス利用を中断せざるを得ない。事業者とか施設からは、日払い方式の導入とか単価の切り下げ等により急激な収入減になり、経営難で職員の皆さん方の賃金のカットをせざるを得ない。一部の職員の皆さんは、半分はボランティアのような精神力で頑張っております。仕事外でバイトをされております。こういったことでも、労働環境をしっかり守っていこうということで、現場から悲鳴が出ております。本件に関して生活労働部としてはどうなのか、あなた方の部としてやれることは何なのかということを、もう一回ちょっと御回答をお願い申し上げたいと存じます。

◯家守新雇用開発課長 
 今御指摘のありました自立支援法に伴います利用料の軽減措置、それから、事業者の収入減に対する激変緩和措置、こういったものが保健福祉部のほうで本年四月から取り組まれて、一定の改善措置がなされております。生活労働部といたしましては、一般の民間企業に就職する希望のある方へのきめ細かな訓練であるとか、あっせんであるとか、そういったことで一般就労に全力を上げるというのが我が部の責務であると考えております。

◯原竹岩海委員 
 方向性と取り組みというのは大体わかってきましたけれども、それでは、今後、障害者の皆さん方の雇用というものをさらに具体的に拡大をする必要があるのではないかなと思っております。意気込みだけではなくて、具体的な施策について御回答をお願い申し上げたいと存じます。

◯家守新雇用開発課長 
 雇用拡大のための具体的な施策ということでございます。
 現在、障害者の方の求職件数は年間四千五百件ぐらいございます。一方で、先ほどちょっと申し述べましたけども、就職件数が一千九百件ということで、就職率が大体四割ということになっております。こうしたことを考えますと、もっと企業開拓をやっていく、そのためには、企業のいろいろな意識改革をやっていく、それから、就職あっせんのためのいろいろなチャンネルをもっとふやしていく、それから、マッチング率の向上といいますか、要は、求人と求職者のきめ細かな、就職できるようにお互いをマッチングさせていくというようなことを取り組む必要があると考えております。

◯原竹岩海委員 
 マッチング率というのはちょっとわかりませんので。専門用語でございますね。大体、具体的にしっかり回答をいただいておりまして、その辺は希望が少し持てるんじゃないかなと思っておりますが、さらに、その解決のために県としてどのような対策を講じられるのか、もうちょっと突っ込んでお願い申し上げます。

◯家守新雇用開発課長 
 まず、企業開拓の部分ですけれども、これは企業者の意識改革ということで、県としては、中小企業団体中央会と連携いたしまして、組織的に実習を受け入れてくれる企業の開拓をやっております。それから、これはことしから始めたんですけれども、県が障害者の方の就職あっせんに直接乗り出すということで、入り口の職業相談から、それから会社を紹介して、それから職場定着まで一貫して行うというような新たな事業を取り組んでおります。それから、三番目は、先ほどちょっと申し述べましたけれども、生活と就業の一体支援を行うセンターをどんどんふやしていくということで、ことしは福岡市のほうに一カ所増設して、県内四ブロック体制を構築したところでございます。

◯原竹岩海委員 
 すごい才能を持っておられますね。本当に、立て板に水のようにぼんぼん成果が出てきましてですね。しかし、そうは言っても、知的障害者とか重度の方の就職率というのは、私は本当に厳しいものがあるのではなかろうかなと思います。障害者自立支援法の中で非常に苦しんでおられます。あなた方の部局の中でしっかりサポートすること、こういったことが必要になってくるのではなかろうかなと思っております。いろいろな雇用対策をやっても、現実はなかなか一般雇用に結びつかないのではなかろうかなという心配を一方ではいたしております。こういった重度の方、そしてまた知的障害、この辺が一番難しゅうございますが、県として、担当部局のほうとしての対策がございますか。

◯家守新雇用開発課長 
 一部重複になりますけれども、やはり、企業の方の意識啓発はまず真っ先に必要ではないか。それから、県としてのいろいろなきめ細かな職業訓練をやると。
 それから、二番目は、繰り返しになりますけれども、先ほどの就業生活支援センター。これは、知的あるいは重度の方は、就業支援だけではなくて、生活面の支援と一体的にやらないといかんということがございます。例えば、住宅であるとか年金相談であるとか、そういったものを行うセンターというふうに位置づけておりますので、これをどんどん増設していくということ。実際、このセンターにおいては知的障害の方が約七割を占めるということで、そういったセンターになっていると思います。
 それから、三番目は、重度とか、それから知的の方が働きやすい業務に特化したような会社、これを特例子会社といいますけれども、親会社とは切り離して、そういう特定の業務に特化した子会社をつくって、それを親会社の法定雇用率に算入するといったような制度もございますので、その制度の普及、それから設置、促進、こういったことを図ってまいりたいと思います。

◯原竹岩海委員 
 ありがとうございました。しっかり頑張っていただきたいと思います。機会がございましたらもう一回課長のほうにも伺いたいと思いますが、質問の方向がちょっと変わりますが、最後でございますけれども、部長のほうに、今までの自分たちのやりとりを伺っておられたと思いますが、担当の最高責任者として、部長のお考えなり、今後の方向性なり、コメントを賜りたいと思います。

◯入江種文副委員長  
 権現生活労働部長。

◯権現生活労働部長  
 この問題につきましては、やっぱり障害者が地域社会におきまして人間としての尊厳を持って生き生きと暮らせるということが重要だと思います。そのためには、やっぱり障害者がその働く意欲と能力を発揮して充実した生活ができる、そのための雇用が非常に大事ということでございます。
 ただ、おっしゃるように、雇用というのはなかなか容易ではございません。そういう意味で、私ども、いろいろな政策努力をしながら、雇用の促進、就労機会の拡大に取り組んでいく必要があると思っております。

◯原竹岩海委員  
 ありがとうございました。障害者の皆さんの中でも、特に知的障害者と重度障害者の方の雇用というのは、現実は非常に難しいものがあるんじゃなかろうかなと思っております。生活労働部長におかれましては、今後とも引き続き障害者の皆さん方の雇用の促進のために御尽力をいただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと存じます。ありがとうございました。