平成18年度 決算特別委員会 (2007.11.08)

産業廃棄物問題


◯原竹岩海委員
 おはようございます。民主・県政クラブの原竹岩海でございます。
 私は産業廃棄物問題について質問をさせていただきたいと存じます。
 最近ですけれども、地球温暖化に関する件が大きな問題となっております。また、本県におきましても例外ではございませんで、CO2削減の問題などの環境問題が山積をいたしておるわけであります。本委員会でも今般、森林の問題や温暖化の問題を初めとしまして、自然環境に関します農林水産の問題など、実に多くの環境に関する件が審査をされたところであります。
 私は本日、麻生知事に環境行政に関する産業廃棄物問題についてお伺いをさせていただきたいと存じます。今回は、その中でも福岡県営山神ダム上流域にございます産業廃棄物処分場についてお伺いをしたいと思っております。
 本件に関しましては、麻生知事に対しまして幾度となくしつこいぐらいに議会や委員会等で議論をしっかりさせていただいたところであります。また、産業廃棄物問題の抜本的問題の解決に向けまして、山神ダムの命の水に関する、地元選出の藤田県議を初めとしまして、周辺の関係、私も含めまして四人の県会議員が一緒になって一生懸命頑張っているところでありますが、まことに残念ながら、産廃に関する市民団体の一部の方から、地元県議の産廃問題に関する具体的な成果がない、そういう非常に痛烈な御批判がございます。そして、本会議で幾ら議員たちを代表し訴えても、しっかりとした効果がないではないかと。まことに残念な訴えでございます。
 このことを踏まえまして、私たち県議団の今日までの産業廃棄物問題解決に向けましたその活動に対する麻生知事の御見解なり御感想を賜りたいと存じます。

◯江口吉男委員長
 麻生知事。

◯麻生 渡知事
 筑紫野の産業廃棄物の問題につきましては、いろいろなグループなり立場の方がこの問題の指摘及び解決に向けて活動をされておられまして、活動内容もいろいろ多様であったというふうに思います。そういう中で、私どもの県議の先生方が、何とかこの問題について解決を図りたいということで非常に努力されておるということについては、もちろん私も十分承知をいたしています。
 ただ、成果がない成果がないと言われますけれども、実は、我々はあれについては最も激しい措置を今とっているわけですね。それは根本的に業務ができない、業ができないように諸免許を停止してしまったということであります。これまでの日本の産廃行政の中でも、ここまで徹底したことをやったことはないわけなんです。その結果としまして、現在、我々のこの停止処分につきまして、根本的に法的におかしいんじゃないかというようなことがありまして、まさに訴訟になってしまい、争われておるというような状況であります。
 しかし、一方でその間、我々はその水質の管理ということでは非常に神経を使っておりまして、その水質の検査ということについてはきちっと行っていますし、その結果も公表しながら対処を進めておるということであります。

◯原竹岩海委員
 次の質問のところまで知事が一定の回答をされましたので。しかしながら、二期目でございますので、順序に従って質問を進めさせていただきたいと存じます。
 知事、本日質問をするに当たりまして、執行部の方に、麻生知事もぜひごらんをいただきたいということで、産廃連に関する市民団体の資料を渡しておりましたんですが、ごらんをいただきましたでしょうか。

◯麻生 渡知事
 ええ、見ました。

◯原竹岩海委員
 この資料は、私の地元でございます筑紫野市の市民団体でございます産廃連が作成されまして、広く市民に配布をされております。そして、参考までに申し上げますが、この団体の正式名称でございますけれども、少し長うございますけれども、県営山神ダム上流域産業廃棄物処理場対策連絡協議会と申しまして、平成十一年十月の六日に、日本で初めて産廃処分場にて硫化水素ガスが原因で三名の方が残念ながら亡くなったという死亡事故が発生し、すぐ下流域に関係をする市民約二十二万人の飲料水の将来にわたる水質に不安があるということで、私が当時、市会議員の時代に、市議団や区長会や婦人会、五十六団体が合流をいたしまして結成をいたしたわけでございます。私は市議会の、当時の環境に関する常任委員長を拝命いたしておりました関係から、産廃連の初代の事務局長に選任されまして、その当時から県の執行部の方とは面識があったわけであります。
 さて、この会の資料ですけれども、市民団体は国に対しまして公害の調停を持ち込むという方針を明確にいたしております。これは、当該処分場の改善が進捗をしていないということが大きな原因でありました。その結果として、このような行動へいったのではないかと思うわけであります。そして、私、産廃連が市民に交付されました資料を持っておりますけれども、公害調停をということが書いてあります。そして、事故から八年が経過、福岡県は撤去をするつもりはない、改善工事すら進めていないと。そして、被害のおそれを裁判に訴えるにはと。そして、証拠を自分たちでしっかりと調査をしないといけないというふうなことが書いてありました。そして、公害調停なら国が調査をしてくれるというタイトルでございます。
 私は、自分が事務局長のときには、藤田先生を通して県との信頼関係のもとに、法の議論の中でしっかり意見交換会をやっておりましたが、現在はひょっとすると県もその対象になっておるんではないかなと心配であります。こういったことで、私は知事にちょっと確認でございますけれども、地元住民の皆さんが県の産廃行政に対しまして不信感といら立ちをしっかり持っておられるんだろうと思うんです。そして、産廃連が今日まで県に対しましてさまざまな要請行動をされましたことは知事も御存じと思います。この問題の解決に向けまして、知事は今後どのように取り組んでいかれるのか。御見解だけでも伺えたらと思いますが。

◯麻生 渡知事
 幾つかの側面があるわけなんですけれども、一つは先ほど申しましたように、ここの処分場につきましては、営業ができない状態にしてしまいます最も強い処分でございます許可の取り消しを行っております。しかし、処分を受けました会社のほうは、これが適切なものではないということで裁判に訴えておるわけであります。したがって、この裁判で我々の主張が認められませんと、もう一度もとに戻りまして、許可が復元されるというようなことになってしまい、これまでの産廃行政でやってきたことが根底から一転、逆転してしまうということになります。
 したがって、まずは今の訴訟においての我々の立場、これが認められるように最大の努力をしなければいけないと思います。それから一方で、今の処分場の水を中心としたこの管理の問題、これにつきましては、今しっかりした体制をとっております。この体制を維持しながら、特に水質管理がきちっと行われるように今後もやっていくということでございます。
 もう一つは、処分場の許可区域外にある、確かに廃棄物が積まれているわけですが、これをどうするかという問題がございます。これについては、まず原則に戻りまして、かつての事業者がこれを回復するという法的な義務を負っておるはずでございますから、これをちゃんとやらせるということをしてまいるということでございます。
 ただ、この事業者とは、一方では裁判で根本的に争うという状態の中でこの指導をしていくということでございますから、その意味では大変難しい状況でありますけれども、やはり私どもはこの原則をきちっと貫いていくという努力をしなきゃいかんと思っています。

◯原竹岩海委員
 ありがとうございました。
 私も四年から五年ぐらい、これ、ずっと勉強を集中的にいたしており、非常にこれは難しい問題です。複合的な問題もありまして、最後に述べますが、これは法律の問題も私は避けて通れないと思うんですね。抜本的な問題の解決ということで。
 先ほど知事のほうから裁判問題という発言がございました。さきの審査では環境部長のほうから必勝の体制でしっかり臨むという強い御決意があったところであります。本当に申しわけないんですが、最高責任者は麻生知事でございますので、この裁判に向けましての御決意をお願い申し上げたいと思います。
 万が一でございますが、万が一敗訴することがありましたら、地元住民はもとよりでございますけれども、これは大変な歴史的な結果でございますので、その辺の麻生知事の御決意をもう一度確認をさせていただきたいと存じます。

◯麻生 渡知事
 裁判の最大の争点は、我々は許可処分を取り消して事業者でないという状態にしたわけなんですが、そのような強い処分に相応するだけの違反事実があったのかということが中心になります。これについては、我々はそこに至るまでのいろいろな行政指導、あるいは警告、あるいは部分的な処分を行ってきました。その積み上げの結果、この処分をしなければ問題の本質的な解決にならないというふうに判断をして許可の取り消しをやったわけなんですけれども、この立場を我々は明確に主張して、勝訴のために努力をしてまいる考えでございます。

◯原竹岩海委員
 ありがとうございました。しっかり頑張っていただきたいと存じます。
 最後になりますけれども、関係する県議の先生方と、この産廃の抜本的問題の解決の議論をする中で、廃棄物処理法という法律の壁にどうしてもぶつかってしまうわけでございまして、県議会とか県行政だけでこういった、十年も前のことでございますけれども、このことが現時点で自分たちにどれだけできるのかという、現実的な大きな壁にどーんとぶつかるわけでございます。そして、現行法の廃棄物処理法は多くの不備があるのではなかろうかなと私は思っております。やはり政府がこの廃棄物処理法を根本的に是正をされ、結果として県営山神ダム上流域の最終処分場のような問題は今後、全国のさまざまな地域で発生をしていくことは明白であります。これをストップさせないかんと思うわけです。
 本件に関しましては、私ども環境省に毎年、陳情に伺っております。何回伺いましても、「あ、また来られましたか。地元の問題ですよ。帰ってください」と言わんばかりでございます。こういったことでは、私は国と地方はいけないのではないかなと。やはり、自分たちの地方がしっかりできるように法改正をするべきではなかろうかなと、そのように考えております。
 県も政府に対して積極的に政策提言をいたしておるということを伺いました。本件に関しましては一定の評価を私はいたしております。この産業廃棄物問題は、全国的な広がりを見せるという重大な問題であります。
 さらに、麻生知事は全国の知事会の会長でございますので、本件に関しまして、その会長という立場も含めまして、ぜひ麻生知事の法に関する見解と法整備へのその取り組みについてお伺いをしたいと存じます。

◯麻生 渡知事
 産業廃棄物につきましての現在の法制については、我々は幾つかの点で強化ないし修正されるべきであるというふうに考えております。
 一つは、その産廃場を許可をする場合においての配慮の中に、やっぱり水源ということについて環境配慮を明確にしなきゃいかんのだという規定を置く必要があるんじゃないか。そしてまた、処分に当たっての設備基準、あるいは処分の種類、対象物の種類等々についても、もう少し明確な定義をしておかなければ、これが実は産廃処理行政を非常に混乱させ、困難にしている原因でございますから、そういう点の強化が必要であると考えております。
 この考え方で我々は国に対して直接意見を出しておりますけれども、全国知事会もほぼ同じような形で今の規制を強化すべしということで提案をいたしております。提案をしているんですけど、なかなかまた別の観点の議論もありますものですから、国全体としてはいろいろな法的な改善努力はいたしておりますけれども、まだ十分な点に立っていないということでございます。

◯原竹岩海委員
 ありがとうございました。
 あのですね、知事、意見になりますけれども、ダムの上流域にこういった設置が違法性がないということ自体が不作為ではなかろうかなという感じがするわけでございます。こういったこともしっかり提言をされておるようでございます。今後、日本国内でこういった事態が生じないためにも、全国の知事会のリーダーのトップとして、しっかり御尽力をいただきますことを強く要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。