平成20年 水資源対策調査特別委員会 (2008.02.18)

雨水の再利用


◯渡辺英幸委員長
 次に、「下水処理水再利用の取り組みについて」を議題といたします。
 執行部の説明を求めます。木原下水道課長。

◯木原下水道課長
 それでは、下水処理水再利用の取り組みについて、お手元の資料で御説明いたします。
 資料の一ページをお開きください。まず、「1」のはじめにでございますが、これまで幾度となく渇水被害を受けております本県におきましては、地域の安定的な水供給が重要な課題でございまして、新たな水資源の確保とともに節水型、循環型社会の形成が求められております。質、量ともに安定してございます下水処理水を貴重な水資源の一つとして積極的に活用したいと考えてございます。下水道課におきましては、平成十七年度から十八年度にかけまして、学識経験者や専門家から成る下水処理水再利用検討委員会を設置いたしまして、当県におきまして適用可能な下水処理水の有効利用策を抽出いたしますとともに、再利用を検討する際の手順、配慮事項等についての整理を行ってまいりました。この検討委員会におけます検討結果をもとに、本年度、「福岡県における下水処理水再利用に関するガイドラインと解説」として取りまとめておりますので、その概要を御報告させていただきます。
 次に、「2」の下水処理水再利用の基本方針でございますが、検討委員会におきまして、下水処理水再利用の基本方針を以下のとおりとしてございます。まず、下水処理水を積極的に活用しまして、水資源の有効利用を図るということでございます。次に、下水処理水の利用用途といたしましては、処理水を直接使用いたします水洗用水、散水用水及び親水用水、また河川などを経由して使用されるものといたしまして、農業用水、河川維持用水を抽出いたしております。
 次に、「3」のガイドラインの概要でございますが、ガイドラインにおきましてはそれぞれの下水処理水の再利用用途に応じた検討手順等を取りまとめてございます。二ページをお開きください。再利用の検討の事例といたしまして、ここでは下水処理水を水洗用水に利用する場合の検討フロー図をお示ししてございます。このフロー図の流れに従いまして、1)から4)まで四つの項目について検討を進めていくということとしております。まず、1)の配慮事項の整理といたしましては、水洗用水に下水処理水を再利用する場合は衛生面などに配慮いたしまして、国土交通省が定めております水質基準を遵守することとしてございます。次に、2)としまして、公的水質基準等と終末処理場の処理水質との比較を行うこととしております。この公的水質基準とは、例えば、この表の中の、大腸菌が不検出であること、あるいは濁度が二度以下であることなどでございますが、これらの水質基準と実際の終末処理場の処理水質との比較を行いまして、基準を満たしていない項目につきましては、次の3)の対応策の検討という作業を行うこととなるわけでございます。この表は、水質基準を満たしていない項目についての対応策とその効果を取りまとめたものでございます。例えば、大腸菌が基準を満たしていない場合には、処理方法として塩素消毒を追加し、また濁度が基準を満たしていない場合には砂ろ過という処理方法を追加するなどの対応策を示しておるわけでございます。三ページをお開きください。4)のコストの算出及び設置条件の整理といたしまして、下水処理水を再利用するため必要となる追加処理にかかるコストの目安といたしまして、供給水量別年経費という算定値を参考としてお示ししております。これは追加すべき処理施設の建設費を耐用年数で除しまして、年当たりの換算建設費というものを算定し、また毎年の維持管理経費を合計したものをこの供給水量別年経費としてガイドラインの中にお示ししたものでございます。これは事業化することについて検討する場合の財政的な目安として活用できるものと考えております。
 最後に、「4」のガイドラインの活用と取り組みについてでございますが、本ガイドラインをもとに県内市町村への広報・啓発活動、技術指導等を行うことによりまして、下水処理水再利用の促進を図ってまいりたいと考えております。
 説明は以上でございます。

◯渡辺英幸委員長
 ただいま説明は終わりました。
 これより質疑を行います。
 何か質疑はありませんか。

~略~

◯原竹岩海委員
 一点だけなんですけども、どの辺で質問をしようかと思っておりましたが、下水道の先ほどの説明の中で、処理水の再利用といったことがございました。それを踏まえて、どちらの部に聞いていいのかわかりませんので、意見を含めまして、一点だけ質問申し上げたいと思います。水資源の確保と利用というのがありますが、これはダムをつくるということが一番わかりやすい内容でございますけれども、少し方向性を変えた場合、雨水の確保と雨水の再利用ということも水資源確保の一つの方法ではなかろうかと思っております。一つの事例だけ申し上げますけれども、福岡には、小中学校を中心に広範囲な、公共のグラウンドもそうでございます、施設等がございます。こういったところで雨水を一たん確保し、これをトイレを中心として中水といいますか、再利用をしっかりやっていくといったことが考えられるのではなかろうかと思っております。私が住んでおります筑紫野市というところに西鉄通り商店街というのがありますが、これは六月から八月にかけまして、夕立だけで商店街が完全に三メーターから四メーター水没をやっていくという毎年恒例の商店街でございまして、近年、災害が発生をしたわけです。それには背景がありまして、最近、国道三号線バイパスが設置をなされまして、そこは近隣の山間地域に全部バイパスが通ったわけです。山間地域というのは、御存じのように、雨水を一たんしっかりためるわけです。森林でございますので。しかしながら、そこに全部国道が通ってしまったということで、舗装道路が整備をされまして、両面に雨水専用の側溝が整備をされまして、何百年来という細い河川に完全に直結をされました。そして、その下流域に短時間であっと言う間にどっと雨水が集中するわけでございます。結果的に、雨水による被害というのがあるわけで、こういったことを考えた場合には、これの問題の解決のためには、一たん、どこかでこういった雨水をしっかりプールをしなければならない。それで、これをプールするだけではなくて、近隣のトイレとか、その辺のところで再利用する、こういったことも一方の水資源の人間ができる思慮の方向性じゃなかろうかと思いますが、こういった質問、事業計画等が今後おありということでございましたら、その辺のところまで含めて、どちらかに説明をお願い申し上げたいと思います。


◯渡辺英幸委員長
 杉本河川課長。

◯杉本河川課長
 今のお尋ねでございますが、河川の災害防止、浸水防止という意味からいいますと、河川について、雨水をいかに流出を抑制するかという議論が今なされております。そのためには、治水の面からいいますと、上流側に調節池をつくるとか、そういった事業も所によってはやっているところでございます。今、委員のお尋ねでございますが、まず学校の敷地とか、そういった地下に水をためるという意味では、地下の貯留浸透事業というのもございます。それにつきましては今、福岡市とか、北九州市等でやられている事業があります。それを再利用するというような方法につきましては、河川課の所管ではございませんので、そこまでは私どものほうでは所管しておりませんので、申しわけございません。

◯渡辺英幸委員長
 鳴川開発課長。

◯鳴川開発課長
 今、河川課のほうから、洪水調節機能の面で説明がございました。雨水を有効に利用することについては、福岡県においてもいろいろ方策を考えております。例えば、これは個人的な施設になりますが、雨水を一時タンクにためておき、これを散水、庭の水まきとか、そういった面に利用しております。これは強制ということじゃなくて、推進というふうな意味で、いろんな普及方策を考えているところでございます。例えば、福岡県におきましては、こういった雨水利用のパンフレットをつくりまして、各民間団体あるいは個人向け、市役所、役場等に配布して、利用方法を検討していただいている状況でございます。雨水については、そういったふうな考え方を持っております。

◯原竹岩海委員
 急に聞いたので回答ができないと思いますので、今回は意見にしたいと思いますが、こういったことも大事な事業ではなかろうかと思っておりますので、具体的に、議会のほうにも、わかりやすいそうした事業の進捗状況等を今後ともございましたら御報告をお願い申し上げたいと思います。終わります。