平成20年 2月定例会 (2008.03.07)

産業廃棄物問題


◯三十二番(原竹 岩海君) 登壇
 皆さん、こんにちは。民主・県政クラブの原竹岩海でございます。通告に従いまして、県の環境行政について、その中でも今回は特に産業廃棄物問題についてお伺いしたいと存じます。
 私は、一期目の県議就任当初から、本県の産業廃棄物行政の確立と問題の解決に向け、幾度となく自分の考えを含めまして訴えてまいりましたことは周知のところであります。しかしながら、今もなお、県下では産廃処分場と関係する自治体や地元住民とが水、土壌、大気などの環境汚染問題に関してさまざまな地域であつれきがあるのが現状であります。地元住民からは、産廃処分場に関するすべての権限を有している福岡県に対し、産廃行政への不信感を通り越して、県民の命と健康を守るために、どうして抜本的な改善策をしていただけないのか、そういう憤りの声が大きくなっております。このことを踏まえまして、今回は筑紫野、太宰府、小郡の二十二万人の命の水を有しております福岡県営山神ダム上流域にございます平等寺の複数の産業廃棄物最終処分場に関してお伺いをします。
 本件に関しましては先般、県内の産廃問題の解決を目的として、産業廃棄物処理場の抜本的解決を求める福岡県促進期成会という組織が、政令市や久留米市、大牟田市の四市を除く県内のすべての市長と市議会議長で構成され、昨年十二月県へ、また本年二月には環境省にそれぞれ要請行動を実施されております。要望の主な内容は、一、水道水源地域への立地の規制や処分場閉鎖後の安全管理等の法改正、二、水道水源地域の産廃処分場問題の早期解決、三、福岡県下で発生をしております産廃処分場の違法操業への迅速かつ厳格な対応と問題の解決、四、筑紫野市で起きている産廃問題の早期抜本的解決の以上四点であります。私の地元の産廃処分場問題を初め県内では解決困難な産廃問題が幾つも存在し、これらの対応に県下の自治体の首長や地元の議員さんたちが悩んでおられます現実の裏返しがこの要望となっていると確信をするものであります。筑紫野の産廃問題に関しましては、県民の水道水源のダムの上流域に、およそ百三十万トンの産業廃棄物が埋め立てられているとされる最終処分場があり、その場内で平成十一年十月六日、三人の従業員の方が硫化水素ガスが原因で死亡するという痛ましい事故が発生をしました。これを契機に、山神ダムの水の将来にわたる水質に不安があるとして、水道水源の関係自治体や議会、多くの市民から、県に対し早期に安全が確保されるようさまざまな要請活動がなされており、私たち関係地域の四名の県議会議員も、党派を超えて地元の自治体や議会などと一緒になって問題の解決に一生懸命頑張っておるところであります。そこで、本件に関する産廃問題について次の二点についてお伺いをいたしたいと存じます。
 一点目として、山神ダムの上流域にございます産興の産廃処分場の水質や硫化水素ガスの状況について、また業の許可を取り消した後に、同事業者が県を訴えた裁判の進捗状況について環境部長にお伺いします。
 二点目に、本件につきましては、過去、何回も質問をいたしてまいりましたが、残念ながら、いまだ地元の自治体や住民の皆さんが十分に納得することができる改善策がなされていないようであります。当該処分場の今後の取り組みについて、知事の見解をお伺いします。
 次に、産興に隣接をします旧村川組の産廃処分場についてお伺いします。この処分場は、当時の事業者に対して、許可の容量を大幅にオーバーした産廃が放置されたとして、平成十六年五月二十六日に措置命令がなされておりますが、現在でも撤去されずに膨大な量の産廃物が現場にそのまま残されたままの状況となっております。
 そこで、まず環境部長にこの旧村川組の現状について報告をお願い申し上げます。
 また、このような事例は、平成二十四年度までの時限立法でございます産廃特措法の対象となり、代執行する場合は、国から多くの財政支援を受けることができるのではないかと考えますが、その可能性についてお伺いをしたいと存じます。
 旧村川組も産興と同様、目に見える改善までに至っていないのが現実ではないかと自分は考えるわけでございますが、今後の取り組みについて知事の御見解をお伺いしたいと存じます。
 次に、産業廃棄物税のリサイクル施設整備費補助金の件についてお伺いします。本県は、平成十七年度から、産業廃棄物の抑制やリサイクルの促進を目的に、循環型社会の実現を目指して産業廃棄物税を導入され、税の使途としましては、排出事業者が行う産廃の排出の抑制やリサイクルなどの活動に対する助成、県下市町村の環境問題に関する助成、不法投棄の防止対策やアジア地域の各国の環境を担う人材の育成に充当されています。具体的には、平成十八年度分として総額三億一千万円が循環型社会の構築や環境問題の解決に向け支出をされています。私は、この産廃税や補助金などの交付制度について、早期に導入をするべきと議場で訴えた一人であります。今後とも本制度がさらに充実をされ、環境問題の改善に大きく寄与することを願っております。
 今回、本産廃税の使途でリサイクル施設整備費補助金の交付について、私の考えを含めましてお伺いをしたいと存じます。この制度の目的は、県内で新たにリサイクル施設の整備をして事業を行おうとする業者が対象であり、一業者三千万円が限度額となっております。本県は、産廃の減量化や資源の有効活用を図ることを目的に、産廃に関するリサイクル施設の整備に要する費用に対して、十七年度分として県内の二つの業者へ二千万円と二千三百万円、総額四千三百万円が産廃税から補助金として交付をされています。県は、この補助金交付決定の理由として、当時、実質十六件の企業からさまざまな事業計画の応募があったようでありますが、有識者で構成された福岡県リサイクル施設整備費補助金審査委員会において、技術の先導性、リサイクル効果、県内への波及効果、事業の確実性の観点から審査をされ、今回二業者がいずれも評価が高く、補助金交付をしたと執行部より報告を受けたところであります。私は、この業者選定から補助金交付までの経過や、その手続等について慎重に政務調査をしていく中で、幾つかの疑問点が出てまいりましたので、この件に関し集中的にお伺いをします。
 今回、選定され補助金を交付された二つの業者は、偶然同じ内容の事業計画であり、内容として、本県は建築物の解体時に毎年五万トンの石こうボードが排出をされており、これら廃石こうボードを再生利用するルートの確立や用途の拡大が急務となっており、これらの問題を解決するために再生利用が可能な大型機械を設置するとして県に補助金の申請をされ、審査の結果、交付が決定したというものであります。そこで、三つの点についてお伺いします。
 まず、今回二つの業者が購入をされました大型機械は、偶然にも同じメーカーが販売をしていたことが判明しました。県が補助金を交付されました業者は別々でも、結果として総額四千三百万円の補助金を受け取ったメーカーは、四国にある同じ業者だったのであります。今回、県内から実質十六の企業がさまざまな事業計画を持ち込まれたようですが、どうして同じメーカーの機械購入だけの支出になったのか、大いに疑問に思うところであります。県内より十六社の皆さんがさまざまな計画を応募されたのに、どうして偶然にも同じ内容の事業に交付されたのか、知事の明快なる回答を求めるものであります。
 次に、今回購入されました機械の処理能力は、廃石こうボードに含まれている硫酸イオンやイグロスを十分に処理する、そういった技術や処方を正確に確認されたのかが不明であります。また、公共事業などに再生利用する際の製品に関する安全性や性質の確認をする必要があるとともに、これらに関する公開特許記録など慎重な審査を実施され、補助金を交付するシステムにすべきであったのではないかと思うわけであります。
 そこで環境部長にお伺いします。今回は審査会がこのような選定をされたようですが、この審査会の設置の目的と、メンバーの構成及び本件に関して税金を特定の企業に還元するという厳正な審査会が何回ぐらい開催されたのかお伺いします。
 最後に、私にはどうしても今回の審査会が決定しました内容は、大企業同士の単なる機械の売買契約行為としか思えないわけであります。それよりも、県下に存在する将来性のある中間処理業者の皆さんのさまざまな発想や意見を県が積極的に取り上げて、そこに産廃税の還元や行政がサポートをしていくことで、環境に関する多くの地場企業を育成することができると私は信じるわけで、その辺のところを知事の率直な御見解を伺いまして、質問を終わります。


◯副議長(後藤 元秀君)
 麻生知事。

◯知事(麻生 渡君) 登壇
 まず、産興の問題についての取り組み状況でございます。産興に対しましては、許可取り消し処分を行いました。最も処分としては権限的に強いものでございますが、この取り消し後の処分場の維持管理につきましては、専門家の助言を得ながら、雨水排除などの指導を行っております。また、第一期処分場の許可区域外に埋められました廃棄物の改善措置については、事業者責任を全うするよう、引き続き命令の履行を強く迫ってまいる考えでございます。
 村川組の産廃処分場の今後の取り組みについてでございますけれども、この処分場につきましては、一定の改善作業は実施されておりますけれども、措置命令が全面的に履行はされておりません。今後とも、事業者の責任を全うするよう強く指導をしてまいる考えでございます。
 リサイクル施設整備費補助金の点についてでございます。今回採択をいたしております二件でございますけれども、これは今非常に大きな問題でございますけれども、石こうボード、この排出されておるものを新たな用途として使えるようにしていくというための設備でございます。現在は、石こうボードは大部分が埋め立て処分をされております。さらに、今後の排出量が増加されるというものでございます。これをできるだけ再利用すると、あるいは減量するというようなやり方で処分をしていく、いわばリサイクルをできるだけやっていこうということでございます。この審査に当たりましては、審査会、後ほど説明をいたしますけれども、こちらのほうで専門的にその事業の成果、波及といったことを考えながら、応募の中から選んだものでございます。
 この補助金でございますけれども、これは研究開発補助金じゃございません。現在の廃棄物の処分状況から考えまして、できるだけこれが再利用される、リサイクルを進めたい、これを実行していくために必要なすぐれた施設を整備する、その整備を促進するというための補助金であるわけであります。このようなことでございまして、施設整備という補助金、この目的につきまして、関係の皆さんによく周知をしまして、この制度がこの目的に沿って的確に活用されますように広報をしてまいる考えでございます。

◯副議長(後藤 元秀君)
 角環境部長。

◯環境部長(角 敬之君) 登壇
 産興の現状についてでございます。産興の処分場につきましては、定期的に水質等の検査を実施しております。検査結果では、浸透水のCODにつきましては、雨水排除等の改善工事以降、確実に減少傾向を示し、本年二月時点で、基準値にほぼ適合する状況になっております。また、硫化水素についても、濃度が低下した状況で推移をいたしております。
 産興の裁判の進捗状況についてでございます。本裁判において、県が行った許可取り消し処分の正当性を強く主張してきたところでございます。本年二月四日に結審し、四月二十五日に判決の予定となっております。
 村川組の措置命令後の現状についてでございます。当該処分場におきましては、一部急勾配の廃棄物を平たん化する作業を行われましたが、命令の履行には至っておりません。
 村川組への産廃特措法の適用の有無についてでございます。産廃特措法は、有害物質等による生活環境の保全上重大な支障が生じ、または生ずるおそれがある場合に適用されます。本件処分場については、現在そのような状況にはなく、したがって産廃特措法の対象になるものではないと考えております。
 リサイクル施設の整備補助の審査会の設置目的等についてでございます。補助対象となる事業計画の選定に当たり、審査を適正かつ円滑に行うため、学識経験者や経営の専門家等六名から成る審査会を設置しております。本件の審査に当たっては、委員会を一回開催したほか、審査委員の会社訪問による経営審査や事業予定地の調査を実施したところでございます。

◯副議長(後藤 元秀君)
 原竹岩海君。

◯三十二番(原竹 岩海君) 登壇
 一定の回答を賜ったところでございますけれども、非常に厳しい回答でございまして、私は、再質問一点と、意見と要望を発言させていただきたいと存じます。
 再質問のほうからでございますけれども、産興の産廃処分場の件に関してでございますが、知事、あしたでございますけれども、午後の二時から、地元の自分たちの市のセンターで市民集会が開催されます。その内容でございますけれども、報道にもちょっと出ておりましたが、数百人規模でございますけれども、地元住民の皆さんが産廃の処分場と水質汚染との因果関係について法的判断を求めます公害調停を政府の公害等調整委員会に申請するということを目的といたしております。自分たち福岡県議団地元の四名は、改善のために一生懸命しっかり頑張っておりますが、残念ながら自分たちの誠意がどの辺まで通じておるかというのは心配でありますけれども、こういったことで市民集会が開催をしっかりされるということでございます。それを踏まえまして、産廃行政の福岡県の最高責任者として、本件に関しましても、知事は長く、しっかりかかわっていただいたわけでございます。今日までの御尽力には市民の一人としまして敬意さえ一応申し上げたいと存じます。現在の地元の二十二万人の命のダムに関係する地元の県民に対して、どのようなお気持ちなのか、お答えをいただきたいと存じます。
 次に、施設整備費でございますけれども、これは意見と要望であります。知事のほうから一定の解釈なり説明がございましたが、産廃税を補助金として企業へしっかり還元するわけです。本件に関しまして、職員さんから私は何回も説明を受けたわけでございますが、理解をしっかりできなかったのは自分が問題だったのかどうか、いまだはっきりわかりません。自分は、あくまでも県民の目線でもって、しっかり考えてまいりたいと思っております。県民の皆さんや、今回応募をされた十数社の皆さんに対しても、自信を持って今の知事のそういった説明というものをそのまま言って報告するという、そういった気にはなれません。もう少し自分なりに本件に関してはしっかり調査をいたしてまいりたいと存じます。
 この際でございますが、要望でございますけれども、秘密会のような会合とか、専門の委員会でございますか、あいまいな選定の評価とか、そういったことではなくて、さまざまな環境団体や各自治体の環境職員の方も一緒に選定の中に参画をして、そして情報をすべて公開して、しっかり責任ある説明ができるシステムを構築することで産廃税をしっかり還元ができるのではなかろうかなと私は考えるわけでございます。最後に、今後とも、そういったことを実施されますよう、麻生知事のほうには要望をしっかり申し上げたいと存じます。
 最後でございますけれども、今後とも、県におかれましては産廃行政の確立に向けしっかり御尽力を賜りますことを要望申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。


◯副議長(後藤 元秀君)
 麻生知事。

◯知事(麻生 渡君) 登壇
 産興問題についてでございますけれども、これは住民の皆さんの公害調停ということもあるようでございますが、県のほうでは産興に対しましては、すべての事業許可を取り消すという最も強い措置をとっておるわけでございます。これに対しましては、御質問にありましたような、今、産興側は、これを不服といたしまして裁判で争われておる最中でございます。一方で実際の、特に水の問題が生活環境上きちっと守られるようになっておるかということについてでありますけれども、これは非常に重点的な監視体制をとっておりまして、浸透水あるいは周辺の地下水、河川水のそれぞれについて、きちっとモニタリングをし、分析をしておるという状況でございまして、水質の監視ということをしっかり今後も続けてまいります。