平成20年 9月定例会 (2008.10.01)

後期高齢者医療制度


◯三十二番(原竹 岩海君) 登壇
 皆さん、こんにちは。民主・県政クラブの原竹でございます。通告に従いまして質問をします。
 政府・与党は、我が国の医療制度改革の一環として、第三次小泉内閣において、健康保険法等の一部を改正する法律により、法律の名称を従来の老人保健法から高齢者の医療の確保に関する法律に変更し、内容を全面改正するとともに、制度の名称を老人保健制度から後期高齢者医療制度にと強行採決を経まして改正され、本年四月より施行されたのは周知のところであります。しかし、施行を間近に控えた時期に、被用者保険の被扶養者の保険料の負担について当面の凍結措置などの変更もあり、実施主体である広域連合や市町村の現場は混乱し、全国で誤徴収など事務的なミスが頻発をしたのであります。また、保険料を確実に徴収できると思われる手法として、いわゆる年金からの天引きの制度を導入したことにより、高齢者の皆さんから大きな批判の声や、医療現場からも、今回の医療改革に対して多くの疑問の声が上がっているのが現状であります。このことにより、本県議会はもとより、全国の議会や行政に対して、多くの国民や関係団体から、制度の廃止や抜本的見直しをする旨の意見や要望が上がっておるわけであります。
 そこで、知事に次の四点についてお伺いします。
 まず、本年四月の施行から今日まで、どのような苦情や御意見が県民の皆様からありましたでしょうか。また、これら県民の声に対して、どのように対応されたのでしょうか。
 二点目に、本制度施行後の実施状況を踏まえ、新たな特別対策がなされましたが、その対策の具体的な内容についてお示しください。また、今回の特別対策に該当する県民は、どれぐらいおられるのでしょうか。
 三点目に、これまで例えば、サラリーマンの息子の扶養家族であった高齢の方は、経過措置として、保険料の負担が免除されておりましたが、今月から、いよいよ新たに保険料の徴収がスタートします。このような方が全国で約二百万人おられるとの報道ですが、本県ではどれぐらいの該当者がおられるのかお尋ねします。また、このような方々に対し、どのように周知をされるのか、あわせてお伺いします。
 最後に、この新たな特別対策の決定後に、地方でその周知徹底を図っている真っ最中に、厚生労働大臣が、後期高齢者医療制度を抜本的に見直すと発言をしたことに端を発し、見直し論が紙面を広く割いて毎日のように大きく報道されております。このように、国の根幹をなす医療制度が実施早々にして、定まることができずに、国民を巻き込んでの大騒動になっているわけであります。国民の命の問題である医療制度が実施一年目にして揺れ続ける我が国の後期高齢者医療制度について、知事はどのように受けとめておられるのか。また、このような状況を踏まえ、知事は早急に市町村や広域連合と協議をされ、国に対し制度の廃止も含め具体的な問題点や意見要望をするべきだと考えますが、知事の見解をお伺いします。

公立学校教職員の休退職問題

 次に、公立学校教職員の病気休職者数の増大と、定年前退職者並びに若年退職者問題についてお伺いします。現在における教職員の職場環境は、さまざまな問題を抱えた子供たちへの対応、保護者や地域からのニーズの多様化、学校評価など、新たな制度への対応などが先生方に対して大きく、複合的な問題となって、心身の負担となっているのが現状であります。希望と情熱を持って、やっとあこがれの教員になったものの、初任者は、子供たちの教育指導はもとより、いきなり保護者や地域の対応などに追われ、職場になれることができず、ベテランは、社会の大きな変化に対応ができず、中堅は、団塊の世代の大量退職で負担が一挙に重くなるなど、どの世代も教育の現場で苦しみ、悩んでいるという現場の報告も受けております。このような状況の中、自己都合という内容での定年前退職者や若年退職者も少なくないと仄聞をいたしております。また、文部科学省は、平成十八年度に精神疾患で休職した公立学校の教員は十四年連続で増加をし、過去最高の四千六百七十五人と公表をしております。本県におきましても、政令市を除く県内の公立小中学校、高校、特別支援学校の教員のうち、病気休職者は昨年五月一日現在百十六人、前年比十二人の増で、精神性疾患はそのうち八十五人、前年比二十六人の増、三年前の約二倍となっております。マスコミの報道では、精神科医で、東京都教職員総合健康センターの副センター長は、あえて学校を休職まではしないが、病気休暇をとったり、睡眠導入剤や抗うつ剤の服用でしのいでいる教員も多く、精神が病んでいる教員のすそ野は広いと指摘をされています。このように教える側の先生が病んでいては、子供たちの教育に大きく影響をしているのではないかと言わざるを得ない状況であります。学校運営を円滑にしていくためには、代替教員の配置の充実やメンタルヘルス対策などが急務であると自分は考えるわけであります。
 そこで最初に、代替教員の配置について教育長にお伺いします。病気休職における代替配置の任用形態は常勤となっておりますが、病気休暇の場合、九州各県では本県だけが非常勤となっているようであります。教育県福岡の復興をしっかり目指している本県におきましても、学校運営に支障がないよう、病気休暇代替配置の充実に取り組んでいかなければならないと考えますが、見解をお伺いします。
 次に、メンタルヘルス対策についてお伺いします。文部科学省の平成十八年度の調査では、教職員の病気休職者数が増加するとともに、そのうち精神性疾患による病気休職者数が増加をし、病気休職者全体に占める精神性疾患による休職者の割合が全国平均で六一%となるなど、いずれも過去最高の数値であり、この状況は到底看過できるものではありません。精神性疾患の要因といたしましては、学校問題はもとより、自身の家庭問題など複合的なことも考えられますが、学校がよりよく活性化をしていくためには、教職員が心身ともに健康で、何の心配もなく教育活動ができる環境の整備をしてまいることが喫緊の課題であるのではないかと訴えるものであります。県教委は、教職員が精神性疾患になるのを未然に防ぐために、平成十五年度から、採用後十年程度の中堅職員を対象に、ストレスレベルの自己診断などメンタルに関する研修会の実施をしっかりされております。昨年度からは、管理職に診査の対象を広げられたり、しっかりされておりますが、実際のところの県教委のメンタルヘルス対策の取り組み状況はどうなっているのかお伺いします。
 また、労働安全衛生法では、労働者の健康障害を防止するため、職場での衛生委員会の設置や長時間労働者に対する面接指導についての規定がなされていますが、公立小中学校では、市町村によって実施状況に本当にばらつきがあるのが現状でございます。やっていないところは全くやっておりません。やっているところは全部やっております。いろんな教育委員会で、こういった本当にばらつきというものが福岡県下で、そして子供たちの教育環境の中であっていいのでしょうか。
 そこで、県教委としてこれら教職員の労働安全対策に今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長のお考えをしっかりお伺いをいたしまして、自分の一回目の質問を終わります。

◯議長(貞末 利光君)
 麻生知事。

◯知事(麻生 渡君) 登壇
 後期高齢者医療制度に対します県民の皆さんからの苦情とか意見についてでございます。この制度が施行されました後、六月ぐらいまでは、保険料の算定、納付の方法、制度の名前といったことについての苦情あるいは相談が多くを占めました。七月以降は、いわゆる特別対策によりまして決定されました保険料の軽減の内容、あるいは健康健診などにつきましての相談が中心となっているところでございます。このような状況でございますが、広域連合、市町村におきましては、お問い合わせセンター、そしてまた相談窓口を設置いたしまして個別丁寧に対応をすることに努めてまいりました。県のほうにおきましても、広報紙、ホームページに掲載し、また県政出前講座などの実施によりまして、県民の皆さんの理解を得られるように周知に努めてきております。
 特別対策についてでございます。国のほうでは、制度の施行の状況を検証いたしまして、所得の低い方へ、一層の保険料の負担軽減策を行うということを決定いたしました。本年度から、均等割額の軽減割合を引き上げる、さらに所得割の額につきましても、住民税非課税者などを対象にいたしまして、半分程度にこれを軽減するということにいたして実施いたしております。また、年金からの保険料の徴収でございますけれども、これは本人の申し出がある場合には口座振替ができるという新しい方法も導入をいたして実施いたしています。
 このような特別対策の周知についてでございますが、これは広域連合、市町村におきまして、それぞれの被保険者個々人に対するお知らせ、校区ごとの住民説明会、広報紙の発行などによって理解を求めているところでございます。県のほうでも、わかりやすい資料を作成し、全戸配布の広報紙、ホームページ、出前講座などによりましてその周知を図っておりまして、今後とも、広域連合、市町村と一層協力しながら、この制度の運用を図ってまいる考えでございます。
 後期高齢者医療制度についての見直しでございます。この点につきましては、厚生労働大臣が抜本的に見直すという方向を表明し、政府あるいは与党でも本格的に検討するという動きにあるわけでございます。その場合には、なぜ後期高齢者医療制度というような新しい制度を我々は考えざるを得なかったかという、やはり原点をよく見詰めて検討する必要があると考えております。結局のところは、国民健康保険という最も中心的な医療保険が現状のままでは立ち行かなくなっていくのではないかと、その結果として、我々にとって非常に大事であります国民皆保険制度が揺らぐのではないかというようなことから、このような制度を考えたわけでありますから、この点をきちっと守っていくということを中心に検討していくということが非常に大事であると思います。したがいまして、我々はこの検討の動向を注視しながら、必要な場合には、しっかりとした発言をしてまいる考えでございます。
 残りの点につきましては、保健医療介護部長のほうから答弁をさせます。

◯議長(貞末 利光君)
 平田保健医療介護部長。

◯保健医療介護部長(平田 輝昭君) 登壇
 特別対策による保険料軽減対象者の数についてお答えいたします。均等割が軽減される方は約十八万三千人、所得割が軽減される方は約四万人であり、被保険者全体が約五十二万人でございますので、そのうちの約四割程度の方が特別対策の実施により保険料がさらに軽減されるということとなります。
 それから、十月から新たな保険料徴収のされる対象者についてでございます。健康保険組合等に加入している人の被扶養者であった方が今月から保険料徴収が開始される対象者でございまして、この方は県内で約六万五千人となっております。

◯議長(貞末 利光君)
 森山教育長。

◯教育長(森山 良一君) 登壇
 まず、病気休暇代替教員の配置についてでございます。病気休暇の期間が二週間以上に及ぶ場合は代替教員を配置いたしておるところでございます。この配置に当たりましては、担当の時間数、校務分掌など、学校の実情を十分に考慮しながら、学校運営に支障がないように対処をいたしております。今後とも、病気休暇の取得によって児童生徒の教育に支障が生じないよう、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
 次に、メンタルヘルス対策についてでございます。教職員の精神性疾患による休職者数は全国と同様、本県でも増加をいたしております。このため、県教育委員会といたしましては、精神科医等によるカウンセリングを初めといたしまして複数の窓口で相談に応じますとともに、管理職等を対象といたしまして、職員の健康状態を把握して、適切な措置が講じられるように、ストレスマネジメント研修を実施いたしております。今後とも、教職員が心身ともに健康に教育活動に専念できますように、メンタルヘルス対策の効果的実施に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、労働安全衛生体制についてでございます。県立学校におきましては、労働安全衛生法に基づきまして、衛生委員会の設置や医師による面接指導を全校で実施いたしておるところであります。公立の小中学校につきましては、設置者である市町村で措置することとなっておりますけれども、県教育委員会といたしましては、従来から市町村教育委員会に対しまして、法の趣旨を徹底して、積極的な整備の取り組みの依頼を行ってきております。今後、より一層体制整備を要請してまいりたいと考えております。

◯議長(貞末 利光君)
 原竹岩海君。

◯三十二番(原竹 岩海君) 登壇
 麻生知事と教育長にそれぞれ一点ずつ要望をいたしたいと思います。
 先月二十九日でございますが、新総理は所信表明演説におきまして、後期高齢者医療制度について、一年をめどに必要な見直しを検討しますと一言だけ発言をしておられるわけであります。新しい内閣総理大臣が、混迷する我が国の行政について、具体的にどのように取り組んでいかれるのかと所信表明を多くの国民が注目をいたしておったようでございますが、この後期高齢者医療制度につきましては、文字数でたったの百字程度のワンフレーズで、具体性が非常になかったことは残念でございました。しかし、ワンフレーズだけでも必要な見直しをすると国民に対して発言をしっかりされております。よって、この際、県民の代表として、また全国知事会の代表として、本制度の廃止を含めまして、改善策などを発言されるべき絶好のタイミングだと思われますので、ぜひ政府に対して迅速なる要請行動を起こされますことを強く要望するものであります。
 次に、教育長に要望でございます。先般、私が日ごろから尊敬するとともに、将来が有望視をされておりました一人の教員が、入院先の病室から自分で退職届を提出されまして、受理をされました。関係者から伺った内容でございますが、職場の環境の内容は私の想像を絶するものでありました。頑張れば何とかなるという、そういう精神論だけではどうすることもできないというのが現状であります。教育長は私の質問に対して、メンタルヘルス対策などを実施していると発言されていますが、数字の推移を見る限り、ますます悪化の傾向にあると言わざるを得ないわけであります。夢破れて、自己都合という理由で任期の途中に無念にもリタイアをされていかれた人たちのことを思いますと、国、県、市町村の教育行政関係者は一体何をしておられるのかという、そういった気持ちでいっぱいであります。よって、今後とも、教職員という県教委の大事な人材の育成のため、さらなる御尽力を賜りますことを強く要望しまして、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。