はじめに、
本県の「森林行政の取り組みについて」質問します。

 

昭和20年~30年代にかけて、我が国は戦後、焦土と化した国土の復興と、それによる急激な木材の需要から、多くの地域で森林や木材に関する産業が成長しました。

 

こうした状況を背景として、政府は 「拡大造林政策」として人工林育成事業をほぼ全国的に展開し、林業の振興を図り、森林所有者による森林整備が促進されていくことを目的として、昭和39年 「林業基本法」が制定されました。

 

しかし、昭和40年代以降、エネルギー革命や、外国産の安価な木材が大量に輸入され、国産材の価格は一挙に下落し、多くの林業経営者の経済状況は大変厳しくなっていきました。 昭和30年には、我が国の木材自給率が90%以上あったものが、現在では20%にまで落ち込み、実に80%が輸入材に占められております。

 

この状況を打開できずに、ズルズルと 今日に至っているのが我が国の森林産業の現状であると言っても過言ではないと思います。

 

このような中、林業経営の皆さんの生産意欲は低下し、林業離れによる後継者不足、就業者の高齢化、森林組合の財政的課題、放置された森林問題、限界集落の問題まで懸念をされています。 これらのことから、国もようやく 「林業基本法」を大幅に改正し、平成13年「森林・林業基本法」を制定しました。 これにより、生産体制一辺倒から、森林の持つ機能を将来にわたって、持続的に 発展させていく政策へと大きく見直され、森林の持つ、多面的機能を重視した整備・保全等の新たな事業が精力的に実施をされています。

 

また、本県と県議会も、「荒廃した森林を再生するために、新たな施策に取り組む必要があり、そのためには、森林の有する公益的機能の恩恵を受ける県民に、広く公平に税負担を求めることが適当である。」として、平成18年12月に「福岡県森林環境税条例」が制定され、平成20年 4月1日から施行されました。


これらの動きに感化されたかのように、最近は森林所有者の当事者や森林組合関係者だけではなく、県内の市町村をはじめ、多くのボランティアの参加や、多くの民間団体・企業等が自然や環境を守ろうという観点から様々な形での林業に関する支援の取り組みの報告がなされております。 これら県の森林行政の積極的な取り組みに対して真摯に一定の評価をさせていただきたいと存じます。

 

さて、これら様々な取り組みの中で、 今回は県産の間伐材を利用した、「福岡の森の『木になる紙』」について、何点か 確認と質問をいたしたいと存じます。
この「福岡の森の『木になる紙』」とは、「国民が支える森林づくり運動」の一環として、福岡県内森林から搬出される間伐材を利用し、製紙メーカーと協力して、福岡県産の間伐材を活用した「コピー用紙」を製品化するものであります。 この「コピー用紙」の販売価格に一定の金額を上乗せして、上乗せ分を県内の森林組合を通して、森林所有者に還元する仕組みとなっています。

 

この資金を活用して、森林所有者から、森林組合が間伐を受託することにより、 間伐が的確に進捗し、森林の保全と公益的機能の維持がなされ、県内の林業が活性化されると共に、地球温暖化防止にも貢献できるという、大変素晴らしい取り組みであります。

 

この取り組みの発端は、平成20年の 九州知事会等で九州森林管理局も参加し、「木になる紙」の利用にむけて協議され、九州各県で具体的に取り組まれています。


そこで、知事に次の2点についてお伺いします。
1点目に、この「木になる紙」事業の 展開次第では、間伐が進捗するなど持続可能な林業の取組みに大きく貢献することができると考えております。
熊本県では、全国で有名な、ゆるキャラの「くまもん」を先頭に販売促進に勢いをつけているようであります。 佐賀県も、県内の市町村等と共同体制の準備をしているとの話もあります。
一方、本県の販売促進の動きや、アピール度が若干弱いのではないかと私は危惧をいたしておりますが、知事は県産品のセールスの最高責任者として、本件に関してこれまでどのように取り組まれ、どのような成果があったのかお伺いします。


2点目として、これら一定の成果を踏まえて、本県は「木になる紙」の事業展開に関して、今後更にどのように進められていかれるのかお伺いします。