産業廃棄物問題

 平成11年10月6日、福岡県筑紫野市平等寺の安定型産業廃棄物処分場内において、3名の従業員の方が死亡するという事故が発生しました。原因は硫化水素で、このガスは約700PPMが致死量ですが、事故があったその日は、1万5000PPMを超える数値が検出されました。

 この事故の直後、当時、筑紫野市議であった原竹岩海は、緊急に臨時市議会を開くことを議長に電話で打診しました。産業廃棄物処理場問題解決のため、急筑紫野市議会にて産業廃棄物対策特別委員会を自ら立ち上げ、委員長に就任しました。その後、市民団体に打診を開始し、区長会や様々な団体〔約40団体〕に声をかけ、自ら県営山神ダム上流域産業廃棄物最終処理場問題対策連絡協議会をも立ち上げました。 市議会代表として通称『産廃連』の初代事務局長を務め、精力的に活動 し、(当時、筑紫野市議三期目。当時の議長へ産廃連の会長就任を粘り強く説得した)一斉住民行動を起こすことを念頭に、県への打診を開始しました。その後、一斉住民行動の自ら先頭に立ち、県庁に三百数名で団体交渉のため訪問し、知事より謝罪 の言葉を得ました。この様子はテレビのニュースにも取り上げられました。    

 

 その後、平成15年に産廃解決議員として、県議会議員に立候補し、初当選しました。 県議一期目にして、14回の登壇にて県議会で訴えました。(平成15年6月~18年6月議会)

 産廃処分場の下流域には、市民の水道水の原水である県営山神ダムがあります。日本で唯一、ダムの上流域に存在する産廃処分場であり、雨水と共に有害な物質等がダムに流れ込む危険性があると、住民に大きな不安を与え続けてきました。約130万トンの廃棄物が埋められた処分場は、平成17年6月、廃棄物処理法に基づき、福岡県によって事業者に許可取り消し処分がなされ、操業を停止しました。しかし、現在でも膨大な量の廃棄物が撤去されずに現場に残されたままの状態であるため、危険性がなくなったわけではありません。

 

 将来にわたる山神ダムの水質に不安があるとして、水道水源の関係自治体や議会、多くの市民から、県に対して早期に安全が確保されるよう様々な要請活動がなされ、原竹岩海を含む関係地域の4名の県議会議員も、党派を超えて、地元の自治体や議会などと一緒になって、問題の解決に尽力してきました。

 また、福岡県内の産廃問題の解決を目的として、産業廃棄物処理場の抜本的解決を求める福岡県促進期成会という組織が、福岡市、北九州市、久留米市、大牟田市の四市を除く県内の全ての市長と市議会議長で構成され、平成19年12月に福岡県へ、また平成20年2月には環境省にそれぞれ要請行動を実施されました。

 この産廃問題に関して、原竹岩海は県会議員初当選以降、議会において頻繁に訴えてきました。そのため、先輩議員からは「君は産廃のことしか訴えないのか」と叱られたこともあります。しかし、この産廃処分場の設置許可をし、監視指導を実施してきたのは県であるため、県行政に多くの責任があります。県営山神ダムの水質の安全の確保のために、その責任問題を県に厳しく何度も訴えました。県は事業者の責任ばかりを言います。当然、事業者に責任があるのははっきりしています。しかし、事業者の責任追及だけでは抜本的な問題解決にはなりません。県と事業者の法廷闘争に時間をかけるより、市民の生活を最優先にし、水の安全の確保に向けて、国・県・市全体が一丸となって努力すべきであるとの考えで、訴え続けてきました。

 

 産廃連は、産廃処分場の産廃を県が全面撤去するべきだと要望を出しましたが、県は、周辺の河川の水の検査やモニタリングにより、生活環境保全上の支障はないとし、産廃を全面撤去するという措置命令を出す法的要件を満たしていないとして、産廃処理は実施されていません。

 

 原竹岩海は、県議会において、水質調査の結果や詳しい内容、及び安全性を追及しました。また、産廃行政に関する全ての権限を持っている県に対して、県の指導監督権を指摘し、具体的な改善対策を求めたところ、雨水が速やかに外に出るための浸透水集排水管再整備、周辺の雨水が入り込まないための雨水排水路整備、全面に雨水が入り込まないように土をかぶせること、通気をよくするための通気管再整備、という4点を事業者に指導しており、平成18年6月から一部実施され、平成19年10月にはおおむね終了した、との回答を得ました。事業者の指導と、改善対策の引き続きの実施の必要性を議会で訴えました。

平成20年4月24日、産業廃棄物問題について

「安定型産業廃棄物処分場問題の解決と廃棄物処理法改正に関する要望書」を

鴨下 一郎 環境大臣

に提出するため、東京の環境省に出向き、要望書を手渡した。

安定型産業廃棄物処分場問題の解決と
廃棄物処理法改正に関する要望書

我が国は、敗戦から復興すべく、世界の先進国に追いつくために、経済活動を最優先させ、大量生産と大量消費を繰り返してきました。その結果として、今日の繁栄がある訳でもあります。

 

 しかし、近年その一方において、全国各地で様々な産業から排出される膨大な量の廃棄物や産業廃棄物処分場に関する件が深刻な社会的問題になっていることは周知のところであります。

 平成11年10月6日、我が国で初めて安定型産業廃棄物最終処分場内において、硫化水素ガスが原因で3人の方が死亡されるという大変痛ましい事故が発生しました。硫化水素ガスの致死量は、約600PPMですが、事故当日の同処分場では、1万5000PPMを越える硫化水素ガスが発生していました。問題は、同処分場の約1.2キロメートル下流域に筑紫野・太宰府・小郡市民約22万人の「命の水がめ」である福岡県営山神ダムがあることです。同処分場から排出される浸透水等の影響により、水道水の将来への水質に不安があり、住民の健康に著しい悪影響を及ぼす恐れがあるとして、地元の自治体をはじめ、議会や住民団体等が本件に係る産業廃棄物の全量撤去や完全無害化など、抜本的問題解決へ向けて活発な行動を実施されています。

 

これらのことから、国におかれましては、安定型産業廃棄物処分場問題の早期解決のため、下記の事項について積極的に取り組まれますよう強く要望します。

1.産業廃棄物問題解決のため、次の廃棄物処理法の改正を求めます。

  • 〔1〕水道水源の周辺及び上流域に産業廃棄物最終処分場等の設置を認めない。
  • 〔2〕産業廃棄物等に関する業の許可を取り消した施設に係る法の適用を明確にする。
  • 〔3〕安定型処分場の構造基準の強化と埋立物の種類の見直し。
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  • 〔4〕安定型処分場の稼動中及び閉鎖後に必要な改善策が実施できるよう財政支援等の法制度の整備。
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  • 〔5〕排出責任の明確化と法律の厳罰化の徹底。
  • 〔6〕福岡県筑紫野市の県営山神ダム上流域にある産業廃棄物問題の解決に向け、国は法の未整備を認めダムの水質安全のため、予算措置や改善対策など積極的に行動すること。          

2.公共関与による産業廃棄物処分場設置の推進。

上記内容にて要望書を提出しますので特段のご高配を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

環境大臣 鴨下 一郎 殿

平成20年4月24日
   福岡県議会議員 原 竹 岩 海
  福岡県筑紫野市紫3丁目5番1号