文部科学省は、平成20年3月28日、中学校学習指導要領の改訂を告示しました。それにより、1・2年生の保健体育授業において、武道・ダンスを含めた全ての領域が必修となりました。
中学校の武道教育に関して、教育長に次の3点についてお伺いします。
1点目
公立中学校における種目別の実施状況についてです。
県教委が実施した「平成25年度中学保健体育科における武道及びダンスに関する調査」によりますと、武道の種目別実施状況は、一部に複数の種目を実施している学校がございますが、本県公立中学校344校中、柔道236校(68・6%)、剣道142校(41・3%)、相撲11校(3・2%)、その他12校(3・5%、空手・弓道・なぎなた)と聞いています。これは、全国的にも同じ傾向にあるようです。
一方、私立中学校では、全28校中、柔道8校、剣道20校、相撲1校、空手2校、合気道2校、なぎなた1校と聞いております。
本県の公立中学校において、柔道に比べ、剣道などの実施率が低い理由をどのようにお考えかお尋ねします。
2点目
武道の授業における安全対策についてであります。
「武道必修化」に際して、特に「柔道の授業」に対して、保護者やマスコミ等から、「教育現場に十分な指導者も設置をされず、危険ではないか!」との声が出はじめた時に、平成25年2円25日の読売新聞に、「北海道の中学校において、武道必修化1年目にもかかわらず、柔道の授業中に、10校で12人の生徒が骨抗するという事故が起きていたことが判明。」という報道がなされました。
本県においても、平成24年度の武道必修化以降、県内全公立・私立中学校で、打撲や、骨折など日本スポーツ振興センターの絵付金の対象となった武道の授業中に発生した事故件数は、平成24年度が182件、平成25年度が、136件と報告されており、武道の授業開始から僅か2年間で、318件の事故が、発生を致しております。
これは、指導経験の浅い教員が指導していることが、一つの要因ではないかとも言われております。
柔道を例にとりますが、本県ではございませんが、柔道の経験がない教員が多いにもかかわらず、初心者のための講座は全部でたったの6時間との報道や、今回の武道必修化のために「黒時の資格」をとられた教員もおられるようですが、一部では努力された黒時の資格にも疑問が残るところがございます。
例えば、愛知県では、たったの6日間で、大分県に至っては、僅か2日間で黒時の資格をとっておられるとの報道もなされています。
一方、文部科学省では、平成24年3月に、武道の授業を実施する上での安全管理を徹底する観点から、特に柔道に関する授業の安全かつ円滑な実施に向けて通知がなされています。
すなわち、授業の安全はもとより、教員の安全に対する指導力の向上が求められております。
このことは、柔道に限らず、剣道にも相撲にも通じるものと思われます。
これらのことを踏まえ、教育長は、本県の武道授業開始から僅か2年間で、318件の事故が発生している現状をどう受け止められているのかお伺いします。
また、武道における、安全対策に向けて教員への研修はどのように行われているのか具体的にお示しください。
3点目
柔道における指導内容についてです。
柔道が実施をされている中学校の生徒からは、時間をかけて準備運動や、柔軟体操等をしっかりと行った後に、結局は「受身の練習」ばかりと言う声などが聞かれます。
これは「学習指導要領」が示すところの「我が国固有の伝統と文化に触れることができる指導の在り方」なのか疑問が残ります。そもそも柔道に限らず、武道を学ぶ意義は、礼に代表される伝統的な行動の仕方や考え方を学習し、「自己制御力」の育成等人間形成にあるのではないかと考えます。
そこで、このような事を踏まえ、より良き武道の授業はどうあるべきと考えておられるのかお伺いします。