福岡県議会議員 原竹岩海 県政報告 Web拡大版 第32号

6月県議会 原竹岩海「一般質問」

農業改革問題と農地中間管理機構について

原竹岩海 質問内容

我が国の農業を取り巻く環境は、農業者の高齢化や後継者問題、耕作放棄地の全国的な増加傾向、中山間地域の限界集落問題など、農業環境は危機的状況にあると言われています。
農地改革と農地中間管理機構に関し次の2点について知事に質問します。

1点目  国の規制改革会議は、5月22日の「農業改革に関する意見」の中で、農業共同組合の見直しを提言しました。その当時の内容は、「中央会制度の廃止」「全国農業共同組合連合会の株式会社化」「信用事業の農林中央金庫への移管」などであります。 これは、農協を通して、日々生活をされておられる農業者と、農業関係団体に、大きな衝撃が走っております。
 このような中、6戸31日に「規制改革会議」から答申がなされ、当初の内容が見直されているようですが、今後どのようになっていくのか正に流動的な状況にあります。 そこで知事に、政府の規制改革会議による「農協改革」に係る答申に対する、率直なご所見をお伺いします。

2点目  「農地中問管理事業」について質問します。 先般、公表されました参議院専務局の報告では、平成24年我我が国の農地面積は、約455万haで、昭和36年の6O9万haと比較し大幅に減少傾向にあります。
 一方、担い手への農地集積状況は、担い手が利用する農地面積は、平成22年で約226万ha、農地面積全体に占める担い手の利用面積の剖合は50%弱にとどまり、いまだに、面的集積は十分ではなく、規模拡大した農家でも依然として圃場は分散傾向にあるのが、我が国の農業の現状であり、本県も、同様の課題を抱えているところであります。
 こうした状況の下、政府は農業改革の目玉として、農地を借り受け、地域の中心的な担い手に集積・集約する事業を行う「農地中間管理機構」を新たに設置し、今後10年間で担い手の農地利用が全農地の80%を占めることを目標としています。
 本県も本年3円「公益財団法人福岡県農業振興推造機構」を「農地中問管理機構」に指定し、事業の取り組みを進めているところであります。
 そこで知事に「農地中間管理事業」に関する具体的なご新見を伺います。
 現在、事業の募集が始まっておりますが、新しい事業を効率的に進めていくためには、農業者への丁寧な説明や関係機関との連携が重要となります。
 更に、この専業の成功のカギは、担い手を明確化した「人・農地プラン」に基づき、いかに農地を集約することができるかにあります。この「農地中間管理事業」は、農地の集約を進めていくということが目的であります。
 小川知事は、農地中間管理事業について、農業者にどの様に周知されてこられたのか、また、「農地集積」をどの様に進めていこうとされておられるのかお伺いします。率直なご所見をお伺いします。

農協改革について

知事答弁
  • 農業協同組合は、農業生産力の増進、農業者の経済的社会的地位の向上を図ることを目的に設置され、経済事業のほか、信用事業、共済事業を総合的に行っている。
  • 福岡県に於いては、県産農産物のブランド化、食育・地産地消、農地中間管理事業の推進など、本県の農政を進める上で重要な役割を果たしているところである。
  • 先日、6月13日に規制改革会議において、提言から内容が見直された答申がなされた。その内容は、中央会の新たなf度への移行、全国農業協同組合連合会の株式会社化への検討などとなっており、この答申を踏まえ、今月末までに「規制改革実施計画」を閣議決定すると聞いている。いずれにしても、農業協同組合は、農業者の相互扶助を目的として自主的に設立された協同組合であり、民間組織である。従って、その改革は、「自己改革」が基本であると認識している。
  • また、農協改革の議論に当たり、今後、農業の構造改革を進める上で、農協が大きな役割を担っていることに十分配慮し、関係者の意見を聞いた上で、慎重かつ丁寧な議論が必要であると考えている。
  • 先般、6月2日、九州地方知事会が開催されたが、その席でも九州各県の知事同士、こうした考え方で一致し、今後、国に要請を行う予定である。

農地中間管理機構の周知と担い手への農地集積について

知事答弁
  • 県では、3月に、各地域の農林事務所年に、市町村、農業委員会、農協等からなる地域推進会議を設置し、農業者に対し説明会を52回実施した。
  • 本年度から、更に担い手である「個別大規模農家」や「法人化された集落営農組織」に対し、市町村、JAと連携して個別に訪問を行い、農地中間管理事業の周知を図り、積極的な活用を働きかけてきた。この中で、「これまで規模拡大をしてきたが、農地が分散しており集約をしたい」、「地域での話し合いが必要であり、この制度をきっかけに規模拡大ができれば良い」と言った意見が出ている。県としては、県内にモデルとなる集落を20ケ所設置し、農家自らの話し合いを支援することで、この専業を活用した担い手への農地集積の先進事例をつくり、周辺地域への波及を図っていく。
  • また、貸付農家に対しては、農地の貸付を促すため、国では、農地を機構に10年以上提供した場合に、協力金を交付することとしているが、より一層、集積が加速するよう、県においては、3年以上の貸付に対しても協力金を交付することととしている。
  • 農地中間管理機構では、本年6月から本事業への申し込みの受け付けを開始した。県では、本事業を積極的に活用し、水田農業の持続的発展のために、永続性のある担い手が中心となる生産構造に誘導していく。

Haratake Iwami Assembly Reports No.32 Summer 2014 - Web Extended.