福岡県議会議員 原竹岩海 県政報告 Web拡大版 第31号

9月県議会 原竹岩海「一般質問」

福岡農業大学校と、県立農業高等学校の取り組みについて

原竹岩海 知事への質問内容

 道府県農業大学校は、農業経営の担い手を養成する中核的な機関として、全国42道府県に設置をされており、高校卒業程度の学力を有する者を対象とした、2年間の養成課程を中心に、講義と実習により農業研修教育が実施されています。更に、養成課程卒業者等を対象とした研究課程や、新規就農者や農業者の経営の発展段階に対応した作日別や、技術の内容に基づく多様なコースが、研修課程として開設されています。
 福岡県農業大学校の歴史は、明治20年、農業指導技術者養成を目的に「勧業試験場」に実習生を受け入れたことからスタートし、昭和10年、農業自営者養成を目的として、宗像市に「農士道塾」が解説された後に、昭和55年、それぞれが統合され、現在の「福岡県農業大学校」が設立をされました。本校の卒業生は約1,700名と報告がなされております。 養成科としては、水田経営や野菜をはじめ、畜産など6コースがあり、本年度の学生数は95名、研修科は野菜と花きで、研修生は22名であります。
 本農業大学校は、福岡県農林業総含識験場の広大な敷地に隣接すると共に、多くは場内にあり、実に素晴らしい環境の中、評価の高い教師と、指導員の下、福岡県の農業の未来を見据えて指導と実践がなされていると拝察を致しております。
 しかし、我が国の農業の現状は、戦後から、様々な時代背景があり、大きく変化し、農業者の高齢化問題、農業担い手の不足の中での農地の集約化問題、TPP等の国際環境への対応など、我が福岡県の農業も例外ではないと思うのであります。 また、将来の農業を担う若者を育成する「教育現場等」の充実が近緊の課題となっております事は周知のところであります。
 これらを踏まえ、知事に3点について、質問します。

1点目  この様な本県農業を取り巻く時代背景の下、農業大学校の県行政での位置付けと、存在意義について知事のご所見をお伺いします。

2点目  農業の近代化や「六次産業化」に対応する授業、TPP等による農業を取り巻く環境の変化に対応し、農業を担う農業者の育成等が喫緊の課題と考えますが、知事は、この農業大学校の現状をどのように認識され、今後の課題は何だと思われているのかお示しください。

3点目  県下の農業教育に関する高校と、優れた農業者を養成するために、「農業高校」との連携を深めていくべきだと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

福岡農業大学校と、県立農業高等学校の取り組みについて

知事答弁

 本県の農業大学校は、農業に関する高度な知識及び技術を習得させることによりまして次代の農業と農村社会を担うすぐれた農業者等の養成を行い、福岡県の農業の振興を図ることを目的に設置をいたしております。昭和55年の開校以来、多くの卒業生を輩出しております。
 大学校の現状と課題でございます。農業大学校は、就農を志す者や農業技術指導者を養成する養成科と、農外からの就農希望者に対し、短期的に技術の習得を支援する研修科から、この2つの科から成っております。平成25年度は、卒業した学生62名のうち、44名が就農し、その他の学生も主にJAなどの農業関係団体に就職をされておられます。近年、農産物価格が低迷をしたり、燃油、飼料の高騰によりまして、農業経営は厳しさを増しております。その中で、農業大学校の学生にほ、より付加価値を高めコス トを低減するための再度の知識や技術を習得してもらうことが最も重要であると、思っております。このため、県内では六次産業化に取り組むなど先進的な経営を実践をされておられます農家での研修、また外部講師によるマーケティングの講義、演習などを行っているところであります。
 また、隣接をしております県農林業総含識験場と連携して、試験場が開発をしました「あまおう」、「とよみつひめ」といった県独自の品種の栽培の技術を指導しているところでございます。 農業高校との連携についてでございます。農業大学校においてすぐれた農業者を養成していくためには、就農意欲の高い学生を確保していくことが必要であります。このため、農業大学校の職員が毎年県内農業高校9校、それから農業に関連する科学を持っております高校が4校ございます、合わせて13校がありますが、その全てを訪問いたしまして学生募集に努めてきているところであります。また、七月の夏休み期間中に3日間の日程で、オープンキヤンパスを実施し、高校生とその保護者の方々に対しまして校内見学、あるいは農業実習を行いまして農業大学校の特徴や魅力を高校生や保護者の方々に伝えているところであります。さらに、本年度から、新たに農業大学校におきまして就農に関心を持つ農業高校生を対象にいたしまして、農業大学校の卒業生による講演会でありますとか、在校生との交流会を開催をしておりまして、農業高校との連携を強化しているところであります。

福岡農業大学校と、県立農業高等学校の取り組みについて

原竹岩海 教育長への質問内容

 次に、教育長に「県立福岡農業高等学校」をはじめ、13校の農業教育を、実施されている高等学校に関して質問します。今回、私は県立福岡農業高等学校にお伺いをさせて頂きました。 本校の歴史は古く、明治12年、勧業試験場内に「農学校」が設置されたのが始まりで、明治32年、県議会において、県立福岡農学校の設立が決議され、同34年4月に正式に、「県立福岡農学校」が大学者55名で開校されました。
 それから実に136年の歴史を有し、卒業生は14,236人で、現在でも多くの先達が各界で大活躍をされておられますとの報告を受けたところであります。 また、本校はこの度、文科省から、SPH(スーパー・プロフェショナル・ハイスクール)の研究指定を受け、農業教育の改善を目的に、教職員が一丸となって努力をされておられます。 このSPH事業は、全国で十校しか指定を受けてない事業であり、向こう5年間の期限付きで成果を出さなければならないと言う内容で、本校は、それの初年度だそうであります。 その主な内容としては、フロンティア学習・マネジメント学習・スキルアップ・実用的な資格の取得を目指していくというものであります。
 多くの優秀な指導者による教育と、現場体験をし、更には「九州大学」や「九州沖縄農業研究センター」による最先端の栽培管理技術の指導、共同調査研究の助言、県農林水産部・JA・農業生産者からの指導と助言、企業関係では、インターン・シップによる、現場での研修などを通して、将来は、農業及び、農業関連産業のプロフェッショナルの育成と、専門的な技能と経営感覚を身に着けた「アグリ・スペシヤリスト」の育成を目指すとしております。 これは、農業の六次産業化を推進していく上で、「大変評価すべき授業」であると確信するものであります。これらを踏まえ、2点について教育長に質問します。
  1点目は、農業高校であるにも拘らず、農家の子弟が在校生の2%程度であることが現実ですが、今後の本県の農業の将来を考えた場合、やはり本格的に農業を目指す、優れた多くのリーダーを育成していくべきであると考えますが、教育長のご新見をお伺いします。 また、農業を基盤としながら、「農と食」を繋いでいく産業をfう、幅広い人材育成が求められていると思いますが、これらの取組みについてもお示し下さい。
 2点目に、農業大学校との連携を強め、隣接する「福岡県農林業総含識験場」との関係も深めて、生徒達に農業研究の素晴らしさや、農業大学校で実習などを積極的にしていくべきであると考えますが、教育長のお考えをお伺いします。

福岡農業大学校と、県立農業高等学校の取り組みについて

教育長答弁

 福岡農業高校におきましては、国のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール専業を活用し、大学や研究機関等と連携した先進的な農業教育を行うことで国際競争力を備えた農業経営の担い手を育成することとしております。一方で、食の安全や環境保全が重規される中、農業を基盤としつつ食品や環境、流通等に関する教育も実施しており、農業や食品関連産業を支える幅広い人材の育成にも力を入れているところでございます。このような取り組みにより、社会の変化に対応し、農業を通して地域社会の発展に寄与できる人材の育成に努めてまいります。
 農業高校と農業大学校などとの連携についてでございますが、本年度から農業大学校と合同で就農を希望する農業高校の生徒を対象として将来の農業経営に必要な講習や交流会等を実施しております。また、教職員相互の授業見学や農業技術に関する助言をいただくなど、農業大学校や農林総合試験場との連携を強化し、農業教育の質の向上に努めてまいります。

Haratake Iwami Assembly Reports No.33 Autumn 2014 - Web Extended.