明治以来わが国の経済成長を支えてきた中央集権型財政システムは、一方で、過度の東京一極集中による中央と地方の格差拡大と様々な社会のひずみを生み出し、今や機能不全に陥りつつあります。九州の自立を考える会は、このような現状を憂慮する福岡県議会議員が党派や政治的理念を超えて結集し、さらに広く九州の財政界の皆様のご賛同をいただいて平成23年9月に設立しました。
私達は、九州をはじめ各地方が自立し、地方における産業政策・成長戦略や国民生活に関わる行政を一元的かつ総合的に担う一方で、国は国際社会における国家としての存立に関わる事務や全国的な統一を要する事務等に専念する、このような新しい役割分担によって二重行政や国の週剰な負担を解消する真の地方主権型社会を実現することが、国と地方を活性化させ、ひいてはわが国の新しい時代を拓くことにつながると考えています。
このため、私達「九州の自立を考える会」は、これまでの問題に九州全体で取り組み、全国をリードして、まず九州が自立することを目指し、国と地方の新しい役割分担のあり方や九州が自立的に成長するための戦略づくりといった公共政策問題の研究を進めてきました。
しかし、東京一極集中による中央(東京圏)と地方の「経済・雇用格差」も大きな一因と考えられる我が国の出生率の長期的低下は、ついに人口減少社会の到来を招き、日本創成会議(増田寛也座長)は、地方の人口流出がこのまま続くと、2040年までに896(全体の49・8%)にのぼる市区町村(うち九州は125市区町村)が消滅するおそれがあるとの試算を公表しています。超高齢化の問題やわが国の企業の国際競争力の低下、地方の職場と雇用の喪失の問題も深刻です。
わが国が直面するこれらの課題を克服し、再び、着実に成長の道を歩んでいくためには、地方に新たな産業と雇用を創出し、地方経済を再活性化させるほかなく、そのための戦略を立て、直ちに実行しなければなりません。国も、このことを自覚し、「地方創生」を政策の柱とすることを宣言しています。そのため私達は、九州の成長戦略に係る政策提案を行うため、3月に作業部会を立ち上げ、専門家からの提言など12回に及ぶ審議を通じて政策提言を作り、10月6日の自立の会総会で承認されました。今後、国や九州知事会、九州各県議会議長会、九州市長会等関係する団体に提言書を提出する予定です。